安全工学
Online ISSN : 2424-0656
Print ISSN : 0570-4480
ISSN-L : 0570-4480
55 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 木下 典男
    2016 年 55 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    2005 年(平成17 年)には,ヒューマンエラーによる事故が相次いだことから,2006 年(平成18 年)には,運輸事業者の経営管理部門を含めた全社的な安全管理体制を構築・実施,見直し改善することにより事故発生のリスクを減少させる「運輸安全マネジメント制度」が法改正により導入されている. ここでは,同制度の導入経緯,内容,効果,政策ビジョンに基づく取組み,今後の方向性について述べることとする.
  • 渡部 利範
    2016 年 55 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    電気製品は,金属,プラスチックを材料とする機械部品と,モータ,コンデンサ等の電気・電子部品等から構成されており,製品寿命を確保するためには,それらの部品の寿命を十分検証して設計することが求められる.製品寿命の設計思想の第一は,電気製品を構成する電気・電子部品や機械部品の故障率の減少である.その方法とは,電気・電子部品,機械部品の定格の意味や背景を理解し,部品の定格への余裕(ディレーティング)をとることである. 第二は,電気・電子部品が壊れて製品に被害が及んだ場合における,危害(感電,発火,怪我等)の程度の減少であり,その方法は部品ごとの特徴を捉えた安全設計思想を採用することである.電源回路には発火しないアルミ電解コンデンサや難燃バリスタを使用し,ヒータやモータ等への電気保護素子を使用する.加えて,電気・電子部品を金属製のカバーで覆う方法も併用し電気製品における製品寿命の安全設計思想を実現する.
  • 宮武 裕和, 義澤 宣明, 河合 理城, 平川 幸子, 滝澤 真理, 村上 佳菜, 佐藤 理, 高木 俊治, 鈴木 元
    2016 年 55 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により,放射性物質を含むプルームが発電所の周辺や福島県内のみならず周辺県にも到達した. 事故後,多くの組織や機関が沈着した放射性物質により上昇した空間線量率の測定を行ってきた.なかでも,日本原子力研究開発機構による走行サーベイでは,広範かつ継続的な空間線量率の測定が行われ,福島周辺県についてもその測定結果が公表されている. 本研究では,走行サーベイにより測定された空間線量率をもとに,栃木県全域と栃木県内の一部の自治体について,屋内外の滞在時間,建物の遮へい効果,空間線量率と実効線量率の関係等を考慮して,住民の外部被ばくによる実効線量を評価した.
  • 眞田 光昭
    2016 年 55 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    最近のガバナンス改革の下でほとんどスルーされている監査役問題.上場企業の大多数は監査役設置会社である.2 ~3 名の社外取締役を送り込む程度の取締役会改革では限界があり,「遊休」監査役の改善なしに不祥事防止はありえない.不祥事防止なしには「稼ぐ力」など絵に描いた餅となりかねない. 「遊休」監査役問題の根幹は株主の無気力無能力である.したがって監査役活性化には株主の意識改革が先行しなければならない.その上で,監査役との対話を通じた株主による「監督」が重要なカギとなる.期待する「取締役職務執行監査」の範囲を合意し,一連の監査役活動について説明責任を果たす.そのために必要な情報,手段を明らかにする.このアプローチは現在急増中の監査等委員会設置会社においても適用されるべき,有効な手段である.
論文
  • 藤原 茂樹, 吉野 貴之, 高野 研一
    2016 年 55 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    医療機関ではインシデントの報告件数が増加しているが,インシデントの増加ではなく,報告する文化が定着しつつあるとも考えられる.事故の低減にはこのような医療従事者の安全意識を創り出す源としての安全文化が重要である. 本研究は,医療安全文化水準の現状と病院間の格差や文化醸成要因を診断するため,安全文化の8 軸モデルに立脚し,病院全職員を対象にアンケートによる安全意識調査を実施した.49 施設4 967 人の回答を統計分析すると安全文化水準は他産業より若干低いものの同様の傾向を得た.また安全文化の醸成は経営者の関与に大きく左右されることが示唆された.それが病院の安全管理体制や個人の安全意識に作用し,安全に関する教育・体制・個人の姿勢を構築し,病院組織の安全文化醸成に寄与することで安全パフォーマンスを向上させることが示唆された.
  • 石油精製・化学産業等大規模設備を有する事業所を中心として
    東瀬 朗, 高野 研一
    2016 年 55 巻 2 号 p. 125-136
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    安全文化診断の結果を各事業所で活用する,あるいは安全文化に関連する評価・監査・調査を行う場合,安全文化の認識に対して職位がどのような影響を与えるかの理解が重要である.本研究では,独立して実施された事業所幹部向け安全文化調査及び従業員向け安全文化診断の比較(23 事業所)及び従業員向け安全文化診断(32 事業所)の職位間比較を行い,管理者層と現場従業員層の安全文化診断に対する回答傾向及びその関連を検討した.その結果,管理者層と現場従業員層では特に「組織統率」「積極関与」など「組織文化の基盤」に属する設問で乖離が大きくなること,設問の内容により管理者層と現場従業員層の回答が正の相関を示すものと無相関なものに分かれること,事業所幹部向け診断では従業員層による診断結果と設問によっては逆相関を示す項目が存在することなどを示した.
トピックス
資料
  • 消防庁危険物保安室
    2016 年 55 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2016/06/01
    ジャーナル フリー
    給油取扱所に液化水素関連設備を設置する場合に必要な安全対策のあり方について,高圧ガス保安法令上の液化水素関連設備に係る安全対策の内容を確認した上で検討を行った.その結果,消防法令上,ガソリン等の給油関連設備又は液化水素関連設備で発生する火災が相互に影響を及ぼさないための措置を講ずるとともに,給油取扱所内の火災が液化水素関連設備に与える影響について,想定される輻射熱を考慮して,液化水素貯槽と給油関連設備との離隔距離を設けるほか,圧縮水素充塡設備と給油関連設備の間に障壁を設ける措置を講ずることとした.
学術活動報告
事故・災害ニュース
談話室
会報
feedback
Top