安全工学
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55 巻, 3 号
安全工学_2016_3
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 藤原 広行
    2016 年55 巻3 号 p. 163-169
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    東日本大震災や阪神・淡路大震災など,我が国は繰り返し大規模な自然災害に見舞われてきた.今後発生が懸念されている南海トラフや相模トラフにおける巨大地震対策を進めることや,台風や豪雨等による気象災害に適切に対応していくことは,我が国にとって喫緊の課題である.災害対策の基本は,事前に起こりうる被害を想定し対策を講ずることである.一方,災害が発生した場合に,迅速に被害状況を把握し適切な初動体制の確立や災害対応につなげていくことも極めて重要である.最新のICT を駆使し,広域にわたる災害が発生した場合でも被害全体をリアルタイムに推定,状況を把握することで概観でき,かつ詳細な推定により町丁目単位,個別建物レベルでも利用可能なリアルタイム被害推定・状況把握システムの研究開発が進んでいる.こうしたシステム開発の現状について報告する.
  • 清水 健康
    2016 年55 巻3 号 p. 170-174
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    最近の状況について官庁から発表される事故統計では発生件数は高止まりとのことであり,また数年前には大きな事故が立て続けに発生し大きな問題となった. ちょうど,プラントの現場運転員を始めとして関係者の大きな世代交代時期にもあたっており,現にそれに起因する様々な問題も発生している.更には,日々の運転,設備の管理,現場の育成等について責任を持つ立場の管理者も,建設や事故,トラブルを経験したことのない新たな世代に代わっている.そういったこともあって,最近では現場管理者のレベルについての懸念が見られる1),2). 現実問題として,化学プラントの安全を推進していくにあたり,現場をまとめ,指揮を執るべき課長,係長といった管理者クラスに対し,教育によるレベルアップが必要であり計画的に実施すべきであると考えている.長年,化学プラントの環境安全関係業務に携わり,更にその後の再雇用期間に現場管理者クラスの教育を担当してきた経験に基づき,その必要性と最近の教育がらみの問題点についてまとめた.
  • 長谷川 和俊
    2016 年55 巻3 号 p. 175-181
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    近年の日本の化学産業におけるリスク管理に関し,欧米の状況と比較検討して基盤的問題点を論議した.その結果,①リスクベースの事故統計評価の実施,②リスク管理へ本質安全技術とリスク・コミュニケーションの導入推進,③化学工場の自衛消防隊による自らの事業所における火災・爆発への第一義的対応,④リスク管理の基盤になる事故調査における人と管理の精査および詳細な報告書の透明性と公開性の確保,⑤重大事故の第三者機関による調査,⑥GHS(化学物品の分類および標記に関する世界調和システム)に沿った分類および格付けの実施,⑦性能規定による自主保安の推進,⑧行政による安全文化醸成の土壌整備,の8 事柄の実現を規制行政へ求める.
  • 相引 梨沙, 義澤 宣明, 山口 健太郎, 下村 徹, 氷川 珠恵, 瀧 陽一郎, 山添 真喜子, 栗山 章
    2016 年55 巻3 号 p. 182-188
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    日本を訪れる外国人旅行者(以下,訪日外国人旅行者)は,2015 年に過去最高の1 973 万人を記録し,今後も増加が見込まれている.観光立国実現に向け,災害時における訪日外国人旅行者の安全確保の重要性が高まっている. そのため,例えば観光庁では,訪日外国人旅行者の受入れを担う地域や民間事業者による災害時の安全確保のための環境整備やICT(情報通信技術)を活用して災害情報を提供するプッシュ型情報発信アプリ「Safety tips」の提供を行っている. 本稿では,訪日外国人旅行者に向けた災害時の情報提供の取り組みを紹介するとともに,災害時に情報弱者となりうる人々に向けた今後の災害情報提供のあり方についても考察する.
  • 佐々木 正大
    2016 年55 巻3 号 p. 189-194
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    平成26 年,危険ドラッグに起因する死傷事件・事故が相次ぎ,同年6 月には東京池袋において1 人が死亡し6 名が重軽傷を負う交通死亡事故が発生した.店舗に対する検査命令・販売等停止命令等により,販売店舗は徐々に減少し,昨年7 月に『全滅』するに至った. 本稿では,被害を防止するために講ぜられた危険ドラッグ対策について紹介していきたい.
資料
  • ―繰り返された多数の消防士の殉職,犠牲
    平松 雅伸
    2016 年55 巻3 号 p. 195-204
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    2015 年8 月12 日夜,中国天津市の危険物倉庫で大きな爆発火災事故があり,消火にあたった数百人の消防士が殉職,負傷するとともに,多数の住民が死傷し,また,住宅建物設備の損壊も生じ,生活・生産・物流・環境汚染等の面で深刻な影響があった. 事故発生当初の速報としては,インターネット上を始め,かなりの情報が発信されていたが,直後から当局の情報管理や制限により,被害状況,調査の進捗や報告の状況,再発防止策が見えにくかった. 公開された事故情報やその後の調査報告書から見えてきたのは,事業者の法令遵守の逸脱や規制当局の違法許可,消防技術の教育不足等の課題であり,総合的にみて事業者の安全文化から社会構造までにわたり根の深い問題と捉えられた.
  • 消防庁危険物保安室
    2016 年55 巻3 号 p. 205-209
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    太陽光発電は,エネルギー基本計画(平成26 年4 月11 日閣議決定)において,「エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で,重要な国産エネルギー源」である再生可能エネルギーと位置づけられ,導入が加速化されており,危険物施設への太陽光発電設備の設置要望が増えていることから,「危険物施設の多様な使用形態に対応した技術基準のあり方検討会」を開催し,危険物施設に太陽光発電設備を設置する場合のリスク及びその対策について検討を行った.当該検討会の結果を報告書として取りまとめるとともに,「危険物施設に太陽光発電設備を設置する場合の安全対策等に関するガイドライン」を作成した. 危険物施設に太陽光発電設備を設置することにより危険物施設の事故リスクが増大することを踏まえ,危険物施設の許可を受けた者は当該危険物施設に太陽光発電設備を設置する際の安全対策を確実に実施するとともに,適切に維持・管理する必要がある.
災害事例分析
  • 八島 正明・板垣 晴彦
    2016 年55 巻3 号 p. 210-217
    発行日: 2016/06/15
    公開日: 2016/06/29
    ジャーナル フリー
    東日本大震災の津波で破壊された防波堤鋼管の撤去工事のため,酸素アーク溶断機を使った解体作業中,海中において爆発が発生し,潜水士が死亡する労働災害が発生した.本稿では,災害の概要,原因究明のために行った測定と検証実験(実験室での小スケール爆発実験と海中での水中酸素アーク溶断実験),同種災害の再発防止対策を述べる.調査の結果,本件災害は,経年で地質由来のメタンが鋼管矢板内に滞留した状況で,水中酸素アーク溶断によるガス抜き用の穴あけ作業を行った結果,鋼管内で爆発が発生し,開口から生じた高圧の噴流が潜水士の腹部に当たり,負傷,その後死亡したものと推定された.
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