安全工学
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56 巻, 2 号
安全工学_2017_2
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 牧野 良次, 小川 哲彦
    2017 年56 巻2 号 p. 76-83
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,安全対策の費用や実際に事故が発生した際の損害の事後評価額といった情報を企業横断的に集約しそれらのデータを分析することができれば安全管理に関する有効な知見を得られる可能性があること,およびそのために解決が必要な課題を示すことである.安全管理に対するメリットを1)安全対策の効果の検証,2)経営者や従業員への動機付けの手段,および3)企業を社会的に評価する手段の観点から整理した.データは主として企業活動に関する貨幣評価額によって示されることから会計学(特に管理会計)の知見を利用することが有益と思われる.そこで本稿では会計学について概説し,さらに安全管理の隣接分野で会計が適用されている事例を紹介した.課題として,データの質を揃えるため安全対策費用や事故損害額を計算する手法の標準化が必要であることを述べた.

  • 黒崎 由行
    2017 年56 巻2 号 p. 84-91
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    欧米の多国籍企業(以下,「グローバル企業」)が実施するサプライヤーCSR 監査に,日本企業が大企業といえども労働安全衛生管理面で適合できない事例が散見されている. 筆者は,その理由はグローバル企業に比べて特異な日本企業の労働安全衛生マネジメントシステム(以下,「OHSMS」)にあると考え,その検証を試みた.その手法として,製造業を対象に,日本企業とグローバル企業,両者のOHSMS を知る専門家18 名に優劣の相対評価を依頼した. その結果,OHSMS から抽出した6 要素において,「従業員の参画」は同等,「リーダーシップ」,「リスクアセスメント」,「コンプライアンス」,「リスク管理策」,「監査」の5 要素は日本企業が劣位にあると評価された.ISO45001 の発行を控え,グローバル化に直面する日本企業はグローバル企業とのギャップを認識し,OHSMS の改善に努める必要がある.

  • 柴崎 惣・土屋 朋也・二宮 光良
    2017 年56 巻2 号 p. 92-98
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    国内・海外問わずプラントでは安全確保のための様々な取り組みが行われている.一方で国内と海外では取り組みの方向性が異なるとされてきた.例えば国内ではできる限りリスクを排除しようとする傾向があるのに対し,海外ではリスク評価に重点を置いて技術的措置の要求水準を決定するといった違いである.しかしながら近年では国内でもリスクの考え方を主体とした安全性評価へ移行しており,従来のような規制値遵守だけでは対応できなくなってきている.そこで海外プラントで主流となっている「セーフティケース」として取りまとめられる安全性評価スタディー体系を紹介する.

  • 中村 肇
    2017 年56 巻2 号 p. 99-106
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    プラントの安全を考えるうえで,ベテラン技能者の持つ熟練技能の次世代への伝承は重要な問題である.製造業における技能伝承の問題は,団塊の世代の大量退職に伴う「2007 年問題」として注目を集めたが,ここ数年再び関心が高まっている.本稿では,まず製造業における技能伝承の2007 年以降の状況と現時点での問題状況を概観したあと,企業が技能伝承を戦略的に進めていくための方法論である「技能伝承戦略のフロー」を紹介する.そのうえで,安全の観点から捉えた技能伝承の問題について「プラントを安定安全に運転するための技能の伝承」「非定常作業及び異常時・緊急時に対応するための技能の伝承」「プラントに働く技能者の安全のための技能伝承」に分けて議論し,最後に将来に向けてAI 活用時代の技能伝承について展望する.

  • 杉山 大志
    2017 年56 巻2 号 p. 106-113
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    地球温暖化問題に関して,環境影響への適応および排出削減に伴うリスクを概観し,対応戦略のあり方を考察した.環境影響には科学的不確実性が大きいことから,適応と排出削減の間は,単純なトレードオフ関係にあるとは言えない.また適応のための主要な手段は,防災の推進や所得の向上等による災害脆弱性の克服であるため,経済開発のための手段とほぼ重なり,後悔しない対策である.他方で,排出削減は「厄介な社会問題」であり,明確なゴールは存在せず,例え2℃に温暖化を抑制してもそれで適応が不要という訳ではない.このため,リスク管理の戦略としては,適応と排出削減の両面での対策を並行して進めつつ,適宜見直していくことが望ましい.

  • 遠藤 正之
    2017 年56 巻2 号 p. 114-122
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    金融に係るリスクについて,個別金融事業者のリスクを中心に,市場リスク,信用リスク,流動性リスク,オペレーショナルリスク,法務・規制リスク,ビジネスリスク,戦略リスク,風評リスク,システミックリスクの9 カテゴリーの概要とリスクマネジメントの取組みを説明し,最近の動向としてFinTech やマイナス金利政策に係るリスクについても考察する.

  • 金 佑勁
    2017 年56 巻2 号 p. 123-126
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    安全安心な水素エネルギー社会を実現するため,水素の取り扱いに十分な安全性の検討が必要である.本総説では燃料電池車事故の最悪シナリオを想定して,圧縮水素容器の安全対策である容器安全弁PRD (Pressure Relief Device)が作動する場合と作動せず破裂する場合についてまとめた.特に,実験結果と数値解析による計算結果を比較し,安全距離について推定し,燃料電池自動車の圧縮水素容器の影響度と安全性を述べた.

資料
  • 後藤 隆雄
    2017 年56 巻2 号 p. 127-133
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/04/15
    ジャーナル フリー

    2016 年10 月12 日埼玉県新座市の東京電力施設内地下ケーブルで火災が発生し,その影響で都内58 万世帯の停電が発生した.東電の説明では27.5 万V のFO ケーブルが絶縁破壊でケーブル内中心注入の絶縁油に引火したとされている.今も火力発電所からの電力が市道埋設電力ケーブルを通って変電所に向かう路線上の住民はケーブルからの電磁波や絶縁誘電体と交流高電圧の相互作用で発生する連続スペクトルのX 線にも被ばくしている事を実証した.さらに増設発電所と変電所間の市街地を大電力ケーブルが通過すると現行の2 -3 倍電磁波や電離放射線を被ばくする懸念がある.つまり,新規増設ケーブルは本格的な安全対策なしに,現状下での電力ケーブルを増設することは,安全性の観点から問題であるといわざるを得ない.

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