安全工学
Online ISSN : 2424-0656
Print ISSN : 0570-4480
ISSN-L : 0570-4480
56 巻, 3 号
安全工学_2017_3
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
高齢者交通リスクの現状と支援策 小特集
  • 大嶋 菜摘
    2017 年 56 巻 3 号 p. 151-158
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    全人口の4 人に1 人が65 歳以上という超高齢社会を迎える中,高齢ドライバーによる交通事故が大きな社会問題となっている背景には,高齢ドライバー数自体の増加と,ドライバー1 人1 人の事故リスクの増加という2 つの要因が存在すると考えられる.本稿では,高齢ドライバー事故の増加要因を改めて整理した上で,特に高齢ドライバー1 人1 人の事故リスクに焦点を当て,高齢化に伴う様々な機能低下と自動車運転におけるヒューマンエラー,そして交通事故の発生に繋がるまでのメカニズムおよびそれらの関連性を検証する.また,高齢ドライバーが安全に運転を継続するための対策手法について,今日の自動車社会の技術開発・普及の進展も踏まえて考察する.

  • 谷口 礼史
    2017 年 56 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    今後,高齢運転者の大幅な増加が見込まれる中で,高齢運転者による交通事故の防止対策は喫緊の課題である.このため,政府は対策の一環として,自動ブレーキなどの一定の安全運転支援機能を備えた車(「安全運転サポート車」)の普及を促進することとし,平成29 年3 月に今後の取組について中間取りまとめを行った. 中間取りまとめでは,安全運転サポート車について,事故分析の結果を踏まえたコンセプト及び愛称「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」を定めるとともに,「自動ブレーキの搭載率を2020 年までに9 割以上とする」ことを目標として掲げ,今後,様々な取組を進めることとしている.具体的には,官民を挙げての普及啓発活動,自動車アセスメントの拡充,自動ブレーキ等の先進安全技術の国際・国内基準の策定等に取り組むとしている.

  • 大前 学
    2017 年 56 巻 3 号 p. 166-172
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    自動車の自動運転について,研究開発の流れや技術を概観し,筆者の自動運転技術に関する研究経験に基づいて安全に関連する技術課題を考察する.さらに自動運転の実用化として,正常なドライバーと同等の運転を実現する自動運転,人間を超える運転により新たな価値を創出する自動運転,いつでも,だれでも,どこへでも行ける社会を実現する自動運転の三つ方向について考察する.

  • 北村 憲康
    2017 年 56 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    交通死亡事故では,高齢歩行者が被害者となる比率が年々上昇している.特に高齢歩行者が横断中のものが多く,事故防止ではドライバーによる歩行者保護を心掛けた運転は不可欠だが,それだけではなく,高齢歩行者が十分な安全確認をした上での横断も求められる.一方で,死亡事故の分析を通じて,高齢歩行者の横断行動のリスクは一定程度の把握をすることができる.内容では,まず,高齢歩行者の死亡事故につながるリスクを示し,次に,それらのリスクを高齢者の横断行動毎に定量化したモデルを示す.対策では高齢歩行者及びドライバー双方への安全教育の必要性を述べた上で,高齢歩行者のリスクとそれらを定量化したモデルによる教育の方法をまとめる.また事例を交え,警察,企業などの単体ではなく,市民が一体となって社会活動の一環として取り組むことの重要性も述べる.

総説
論文
  • 柴垣 光男, 福田 隆文, 佐藤 吉信
    2017 年 56 巻 3 号 p. 194-205
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    ハザードは,システムの状態が内部及び外部からの作用によって次々と変化して危害に至るプロセスとして把握できる.ハザードを同定し, その抑制策を導出するためには,状態と作用を時系列上で把握する必要がある.本論文では,まず作用によって,システムの状態が危害へ向かって遷移していくプロセスを,“状態-作用(S-A)プロセスチャート”で表現することを提案している.次に,ハザード抑制の基本原理(a)ハザードの除去,(b) 望ましくない状態変化を抑制する,(c)ハザード制御により安全な状態へ移行する,に基づき,S-A プロセスチャートを用いてハザードの抑制策を体系的かつ系統的に導出する方法を示している.そして,環境試験槽の停止に起因するハザードの同定及び抑制策導出にS-A プロセスチャートを適用して,その有効性を実証している.

資料
  • ―航空自衛隊の学生操縦士を対象として
    仲村 彰, 髙城 雅裕
    2017 年 56 巻 3 号 p. 206-213
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    現在,航空自衛隊では,操縦士に対するNTS の教育訓練に取り組んでいる. 教育訓練の実施の際には,訓練効果や訓練対象者の能力評価のための評価指標が求められる.そこで,本事例研究は,学生操縦士に対するNTS 評価指標開発を試みたものである. 具体的には,評価指標開発のために,インタビューにより学生操縦士に重要なスキルを案出の上,各評価段階に対して,行動指標を記述した評価表の作成を行った. NTS の教育訓練は,近年,航空分野だけでなく,様々な産業に広まっていることから,情報共有のため,報告することとしたい.

  • 半田 安
    2017 年 56 巻 3 号 p. 214-221
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2017/06/15
    ジャーナル フリー

    化学プラントには様々な危険源が存在する.事故を防ぐには潜在する危険源を管理することが必要だ.危険源を管理するにはタイミングも必要だ.化学プラントのライフサイクルに合わせ危険源を管理することが求められている. 化学プラントのライフサイクルは,設計に始まり,安全性評価,運転管理,設備管理,工事管理と続く.化学プラントという設備を取り扱うのは人であるから,教育訓練も管理の対象となる.更に,化学プラントは生き物であるから常に変化が伴う.ならば変更管理という問題も存在する. 一連の管理がしっかりとなされてこそ安全に化学プラントを運転し維持管理することができる.今回化学プラントを対象にした事故の切り口で,この管理という問題をとりあげ過去の事故事例から学んできた教訓を1 年にわたって紹介していきたい.

事故・災害ニュース
談話室
会報
feedback
Top