安全工学
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60 巻, 4 号
安全工学_2021_4
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 野本 泰之
    2021 年60 巻4 号 p. 225-229
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    二酸化炭素消火設備の誤作動・誤操作による死亡事故が今まで繰り返されている. 最近では,令和3 年 4 月15 日に,東京都新宿区の地下駐車場で,二酸化炭素消火設備が作動し作業員4 人が死亡,2 人が負傷した1).今までこの様な事故が起こる度に経済産業省,厚生労働省,消防庁,自治体等14),15)から注意喚起が繰り返されているが,この誤放出による事故は後を絶たない.火災の消火を目的として設置された設備で,火災とは関係なく人が亡くなる事は非常に残念なことである.二酸化炭素消火設備が設置されたビルの保守に携わる方々も含め二酸化炭素消火設備と関わる全ての人の安全確保の一助となる様に,このような事故を防止するためのポイントを設計上の注意点を含め米国の安全関係の規格であるNFPA12 を参照しながら述べる.

  • 貴志 孝洋
    原稿種別: 総説
    2021 年60 巻4 号 p. 230-233
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    平成28 年6 月から,労働安全衛生法に基づき,一定の危険有害性を有する化学物質(令和3 年6 月現在674 物質)を製造あるいは取扱う「すべての」事業者は,化学物質のリスクアセスメントを実施することが義務化された.また,有害性のリスクだけではなく,危険性のリスクについてアセスメントを行う必要がある.しかしながら,特に危険性のリスクアセスメントは一定の専門知識を要するとともに,第三次産業を中心に,自身がリスクアセスメント実施義務を負っている自覚がない事業者も多くいる状況にある.一方,厚生労働省では「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」において,さらなるリスクアセスメント対象物質の増加を示唆しており,事業者の対応が急務になっている.ここでは,事業者の対応の一助となるよう,労働安全衛生法に基づくリスクアセスメントの概要について,リスクアセスメントを支援するツールなどを紹介するとともに,今後の動向についても解説する.

論文
  • 柴垣 光男, 福田 隆文, 佐藤 吉信
    2021 年60 巻4 号 p. 234-245
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    S-A(State-Action)プロセスチャートは,ハザードをシステムレベルの事象及び状態の生起順序,タイミング等に依存して発現するハザードの同定・分析に適している.しかし,ハザード及びリスク抑制策を導出するために不可欠な部品の故障等のシステム要素レベルでの分析に適していない.この課題に対して,本論文は,まずS-A プロセスチャートで表される状態変化及び遷移作用とFT(フォールトツリー)の事象とが関連付けられた優先AND 構造を持つFT(S-A-FT)への展開法を提案している.次に,2 冗長電源システムの故障に至るプロセスの分析に本技法を適用し,S-A-FT ではS-A プロセスチャートとFTA とが互いに補完的役割を担うことによって,合理的なハザード及びリスクの分析が可能となることを示している.

  • ―経年化機械設備に起因する「はさまれ,巻き込まれ」労働災害―
    渡辺 純哉
    2021 年60 巻4 号 p. 246-254
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    厚生労働省が,平成29 年度から令和元年度において実施した「老朽化した生産設備における安全対策の調査分析事業」1)~3)では,約500 事業場のデータから経年化した設備の労働災害リスクの要因として,「設備の老朽化」と「保護方策不備」の二つを挙げている.本稿では,当該報告書に記載されたデータを用いて,経年化した機械設備の保全方式や点検方法,労働災害防止のための保護方策などの安全対策について多変量解析を行った.経年化設備の点検箇所や点検項目について解析した結果,安全装置や安全装置の機能との相関性が高い解析結果が得られた.また,経年化設備では,安全装置の最新レベル化の点でも保護方策の不備による安全対策上の問題点があることが明らかとなった.解析結果について報告する.

  • ―保護方策の不備による「はさまれ,巻き込まれ」労働災害―
    渡辺 純哉
    2021 年60 巻4 号 p. 255-262
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    我が国の製造業では設置後30 年以上経過する経年化機械設備の数が多くなっている.本稿では,厚生労働省が,平成29 年度から令和元年度において実施した「老朽化した生産設備における安全対策の調査分析事業」1)~3)のアンケート回答結果をもとに,前報4)に引き続き,経年化設備による労働災害について「保護方策不備」の点から安全対策の解析を実施した.その結果,製造業において機械等による労働災害として最も多い「はさまれ,巻き込まれ」災害が,機械設備の「保護方策」の不備が原因で起きていることが明らかとなった.「機械の包括的な安全基準に関する指針」5)では,機械の設計・製造段階及び使用段階での「保護方策」が示されているが,多くの古い設備では,十分な対策が実施されていないことが明らかとなり,重点的かつ優先的な安全対策が求められる.

  • 渡邉 嵩智, 伊藤 誠
    2021 年60 巻4 号 p. 263-274
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    従来の安全解析では予測が困難な大規模複雑システムの創発的な事故に主眼をおいた安全解析手法としてSTAMP/STPA がある.この手法は既存システムの安全検証や改善に資する手法であることが既往研究にて明らかになっているが,これから新たな市場を創造するために開発される先例のないシステムの安全解析としての有効性は十分に示されていない. 本研究では,未来の無人車両システムを対象としてSTAMP/STPA による安全解析を行い,安全解析手法の有効性を評価した.分析の結果,本安全解析が①体系的分析,②安全設計に係る概定仕様の不備の明確化,③開発先例のないシステムの実用化に向けた新たなルール制定に係る論点整理,に有効であることが確認できた.

資料
  • ―広域な事業エリアを有する鉄道事業者として―
    吉留 和宏, 齊藤 綾, 榎原 俊太, 加藤 亘, 寺田 和嗣
    2021 年60 巻4 号 p. 275-280
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    列車運行に関する安全施策の経営判断は,種々の客観的数値を参考としながら判断されることが望ましく,これを実現する有力な手法の一つがリスクアセスメントである.当社の事業エリアは,関東・甲信越・東北地方の広域にわたり,鉄道を中心とした事業を地域特性ごとや技術分野ごとに分けて管理している.このように事業エリアが広域にわたる鉄道事業者で,リスクアセスメントを実務的に実施しようとすると,さまざまな課題を克服しなければならない.著者らは,これらの課題を克服しながら,列車運行に関する安全上のリスクの定量的分析手法を開発した.また,この手法を用いてJR 東日本の全エリアのリスクを可視化し,実務的運用へとつなげた.

  • 中村 昌允
    2021 年60 巻4 号 p. 281-292
    発行日: 2021/08/15
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

    技術・技能継承が重要であることは多くの企業が認識しているが,うまく進展していないのが実情である.技能継承に課題があった事例として,新幹線台車枠亀裂事故,半導体工場火災事故,技能継承の良い事例として,伊勢神宮式年遷宮,獺祭の杜氏なし酒造り,ダイセル式生産革新を紹介する. これらの事例よりいえることは,一つは,技能継承を製造現場だけに任せるのではなく,トップの強いリーダーシップのもとに,組織してシステム的に取り組んでいくことの重要性である.二つは「継承すべき技能とは何か,すなわち,コア技術とは何か」を問い直し,肝となる技術・技能は継承し,そこに,新たな技術の進展を組入れた取り組みの重要性である. 人も変われば,設備も変わり,周囲の社会も変わっていく.企業はその時代に即した技術・技能を創り出していかないと,時代の進歩に取り残される.

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