安全工学
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61 巻, 3 号
安全工学_2022_3
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 牧野 良次
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 3 号 p. 168-176
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル 認証あり

    2000 年に中央労働災害防止協会が行った調査研究「安全対策の費用対効果-企業の安全対策費の現状とその効果の分析-」は,安全対策の費用対効果比を1:2.7(事業場平均の推定値)としつつ,企業が安全(労働災害防止)対策費の持続的投入を進めていくためには費用投入の重要性の根拠とその効果を示していく必要があると指摘した.しかしながら事業場が自らそのような評価を実施するための方法や支援ツールは未だ整備されていない.そこで中央労働災害防止協会は2020 年度から3 年計画で,企業が自社の労働災害防止対策の経済的評価を事前にかつ簡便に実施できるよう支援する方法論・ツール等の整備及びその普及を行うことを目的とした調査研究事業を立ち上げた.本稿はその中間取りまとめ結果について報告するものである.

  • 杉本 泰治, 森山 哲, 福田 隆文
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル 認証あり

    福島原子力事故まで,日本の安全文化は国際的慣行と一致せず,不足があったといわれる.1986 年からの一時期,スペースシャトルのチャレンジャー,原子力のチェルノービリ,再びスペースシャトルのコロンビアの三つの事故は,西洋社会を震撼させ,その衝撃が,安全文化へ向かわせた.日本の場合,三つの事故とそこから導かれた安全文化への無関心が,福島原子力事故までの約25 年間,安全確保の大切な部分を空白にしてきた.安全文化を理解するには,五つの関門があり,それを一つずつたどると,日本の課題が見えてくる.特に,規制行政に正当な関心を持つこと,専門技術を担う技術者とマネジメントを担う経営者との相反の解決,および,個人が自分で考え,行動し,その結果に自分で責任をとる「個の確立」,という課題がある.

  • 豊かな技術社会共創を目指して
    瀬谷崎 裕之
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル 認証あり

    人類の歴史を振り返ると石器に始まる「技術」と,人と人とのつながり「コミュニティ」が社会を発展させてきた.今後は革新的なテクノロジーと新たなコミュニティが社会変化をもたらすだろう.革新的なテクノロジーとはデジタル,バイオ,コミュニケーションなどの分野の先進的な技術である.また,地域社会や会社などの従来型のコミュニティが衰退し,コミュニケーション技術やライフスタイル,人々の価値観の変化が新たな形での人と人とのつながりを拡大し,今までにないコミュニティが形成され,価値創造や社会課題解決にとって重要な役割を果たす.このコミュニティは現在のNPO の未来形でもある.本稿ではこのような未来のコミュニティを「共領域」と呼び,共領域による社会課題解決の実現可能性と共領域のあるべき姿を論じる.

論文
  • 今村 友彦, 末柗 潤一, 柳 弘也
    2022 年 61 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル フリー

    可燃性ガスのフィジカルハザード評価に資することを目指し,比較的低流速で流動するプロパン/空気予混合気の消炎距離の流速依存性を実験的に調査した.この流速範囲では,流速の増加に伴って消炎距離が狭くなった.電極平板間に火炎核が滞在している時間が流動により短縮されるため,火炎核から電極平板への熱損失量が減少することに起因する.流動時の消炎距離を静穏時の消炎距離で規格化すると,無次元火炎伝播速度(流動環境下及び静穏環境下での火炎伝播速度の比)のみの関数として整理できた.つまり静穏時の消炎距離の値では,比較的低流速で流動する予混合気の着火リスクを過小評価することになるが,静穏環境下での消炎距離と火炎伝播速度の関係を良好に予測できれば,流動環境下での消炎距離も精度よく予測できると期待される.

  • 大塚 輝人, 持田 智, 古谷 隆志
    2022 年 61 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル フリー

    前報で可燃性物質を扱う環境下での爆発性雰囲気生成の度合いを,保護方策のダウンタイムとして捉える手法を提案した.本報ではその考え方に基づき,放出抑制保護方策を加えて危険区域の判定に必要な放出等級との対応を検討した.高希釈度・換気有効度可の時,連続等級でゾーン2,第2 等級で非危険区域となるが,放出時間に100 倍超の差があることから,ゾーン2 の100 分の1 未満として非危険区域と考えられる爆発性雰囲気の年間存在時間を0.1 時間未満とすることで整合することが分かった.放出抑制保護方策と希釈保護方策との組み合わせにより,爆発性雰囲気の存在する時間の現実的な低減方策を提案し,非危険区域を確保する手順を示した.この時の低減率はIEC TS 60079-42 のリスク緩和係数と合致する. さらにインターロックとの組み合わせにより,機能安全のレベルについて考察した.

資料
  • 相馬 知也
    2022 年 61 巻 3 号 p. 209-211
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2022/06/15
    ジャーナル 認証あり

    スマート保安を実現するためには,デジタル技術を製造や保全など直接携わっている現場の人が使う必要がある.その中心になる技術はAI である.しかし,今のAI 技術は現場が使えるレベルではない.またAI のシステム実装も現場の作業を意識してはおらず,主に分析者の目線で作られている.このような中,現場主導で使えるAI 技術およびその実装としてインバリアント技術がある.化学プラントをはじめ発電や加工など様々な産業分野の現場レベルで使われているインバリアント分析の技術および事例について紹介する.

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