近年 , 地球温暖化に伴って熱中症が多発している . 熱中症の大半は一般環境にて発生しているが , 職場 における熱中症も多く発生しており , 建設業 , 特に小規模な建設業にて多くの熱中症死亡者が発生してい る . 職場における熱中症対策としては , 暑熱ばく露の評価と軽減 , 作業管理 ( 休憩 , 服装 ), 定期的な水 分・塩分の摂取 , 暑熱順化 , 健康管理 , 救急体制の整備 , 熱中症教育 , 統括管理が挙げられる . このほ ど , 労働安全衛生規則の改正により , 全ての事業場における熱中症対策が罰則付きで義務化された . 義務 化された事項を遵守することはもちろん , 実効性のある熱中症対策を着実に行うことが求められる .
同じ組織内で , 同じような事故が繰り返し生じることや , 他の組織で生じた類似する事故が自組織でも 繰り返される例は数多くある . なぜ先に起きた事例を組織として学ぶことができないのだろうか . どのよ うにすれば先に起きた事故から学び , それを組織として生かしていくことが出来るのだろうか . 本稿で は , この疑問に対する答えを考察する . 具体的には , 組織構成員一人一人の学びと , それを組織に定着 し , 組織内に継続的に発信していく重要性 , さらにはそれらを妨げる要素への考慮という観点から , 安全 工学シンポジウム (2023) オーガナイズドセッション「温故知新 : 事故は何故繰り返されるのか」の講演 者が , それぞれの観点から論述する .
交通戦争とまで呼ばれた時代からの日本の交通事故死者数の推移を統計的に概観し , 若年層および高齢 層の人口構成と運転免許保有状況との関連から , 事故発生の構造的要因を分析する . 特に高齢歩行者や児 童 , 自転車利用者が当事者となる事故の増加傾向に着目し , 現行の制度的対応の限界について考察すると ともに , 世代横断的かつ多層的な対策の必要性について検討する . さらに道路上の優先性を定めるトラ フィックヒエラルキーや柔軟な回復力を指すレジリエンスの概念を導入し , 混合交通社会におけるリスク 低減と安全確保に向けた道路空間設計および行動規範の構築にかかる提案をする . また道路交通法の理念 をすべての道路利用者が正しく理解し , 主体的な安全行動を選択するための教育や啓発の在り方にかかる 提案をする .
労働経済学における労働安全の扱いについて , 教科書的な内容や国内での学会発表 , 国際学術誌に掲載 されている論文をサーベイして最近の研究動向を紹介した . 労働経済学のほとんどの教科書において , 安 全の話題は「補償賃金格差」を生み出す多様な要因のひとつという位置づけで登場することがわかった . 国内の経済学の学会では近年労災事故についての発表はなく , やや関連のあるテーマとして職場における メンタルヘルスに関する数件の発表が見られる程度であった . 一方 , 労働経済学を対象とした国際学術誌 では全体の 2 ~ 3% 程度が労働安全に関わる内容であると見積もられ , この分野の研究が堅実なペースで 蓄積されている様子もうかがわれた .
理科実験では , 様々な化学物質を取り扱う . その中には可燃性物質が含まれるため , 火災 , 爆発が発生 し , 施設等が焼損 , 破損することがある . 加熱などの操作を行うために , 裸火 , 加熱器具などを使用する ため , 火災 , 爆発 , 高温物体との接触などによって火傷などの負傷を負うことがある . また , 理科実験で 取り扱う化学物質の中には , 毒性のあるものがある . 化学反応によって , 毒性のある化学物質が生成する ことがある . それらの化学物質に暴露されて体調不良になり , 救急搬送されることもある . 火災 , 爆発 , 負傷 , 体調不良などの発生防止 , それらが発生した際の再発防止などに役立てるため , 理科実験が関係し た火災 , 爆発などの事例とその対策を示す .
本研究は , インターネットモールにおける消費者の安全知識と安全購買行動の関係性について , 消費者 属性 ( 年齢 , 性別など ) との関連も含めて調査した .500 名のオンラインアンケート調査と統計分析の結 果 , 若年層を中心に安全知識レベルが低い傾向が明らかになるとともに , 「安全性マークや生産国の確認」 「商品レビューの活用」などの安全購買行動を積極的に行う消費者ほど , 安全知識レベルが高い傾向にあ ることが示唆された . 一方で , 公的サイトでのリコールや事故情報の確認行動については有意差が見られ ず , すべての安全購買行動が安全知識と直接関連するわけではない可能性も示唆された . 本研究は , 消費 者教育の設計やネットモール事業者の施策立案の基礎的知見を提供するものである .
混合溶剤に対する化学防護手袋の耐透過性評価にリアルタイムモニタによる簡易測定が適用できること が示されている 1) . 本研究では , 透過速度の違う多くの有機溶剤の組合せの混合溶剤について , リアルタ イムモニタにより薄手ニトリル / ネオプレンゴムの耐透過性の試験を行ない , 純物質より透過が速い混 合溶剤があることを見出した . そこで , どのような条件において , 混合溶剤が純物質より透過が速くなる かについて検討を行ったところ , 純物質より透過が速くなる可能性がある混合溶剤 ( 溶剤 1 と溶剤 2 で構 成 ) は , 溶剤 1 の溶解度パラメータ < 化学防護手袋の材質 ( または透過が短い溶剤 ) の溶解度パラメータ < 溶剤 2 の溶解度パラメータの関係になる場合であった . 溶解度パラメータは , 適切な化学防護手袋を選 択する上での重要なファクターであると考えられた .