安全工学
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特集号: 安全工学
21 巻, 6 号
安全工学_1982_6
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
巻頭言
地震対策 特集
  • 井上 威恭
    1982 年 21 巻 6 号 p. 325-332
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    産業施設として本稿では主としてコンビナート等の施設をとりあげて,次のような考え方に基づいて地 震対策のあり方を解説した. (1)地震対策はシステム全体の安全を考えるべきであるから,システム工学的にアプロ一チしていく必 要がある.(2)地震対策は地域住民の受けるリスクを評価した後,リスクの重要度に適応した地震対策を施すべぎ である. (3)既存設備の地震対策ほ,現在各地で行なわれている防災アセスメントにおける災害想定に基づいて行なわれるべきであって,具体的には通商産業省およぴ消防庁で行なわれている地震対策を例示した,(4)地震対策は急がねばならないが,100年の長期計画のもとに現実的に逐次実行していかねばならな い矛盾した宿命がある.

  • 嶋 悦三
    1982 年 21 巻 6 号 p. 328-344
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    地震は地球内部に発生する断層運動に伴うものであり,繰返し同じ場所に発生するというのが,現在の地震学の基調になっている.この観点に立てば,過去に地震におそわれた場所は,いっの日にか再び地震におそわれることになる、したがって,過去の地震活動を知る乙とは将来の活動を予測する上で重要な情 報となる, 小文では,歴史地震の史料にも基づき,本邦太平洋沖に発生する大地震の発生様式についてのべ,繰返しの期間が1000年ともいわれている内陸の地震については,活断層の発掘を通じて,歴史地震よりさらにさかのぼった過去の地震活動を知ろうとする最近の研究にもふれつつ,日本の地震活動の一端を概観した.

  • 萩原 尊禮
    1982 年 21 巻 6 号 p. 333-337
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    日本列島とその周辺で発生する地震の性格について簡単に触れ,現在わが国で進められている地震予知 研究の概要を述べる.

  • 上原 陽一
    1982 年 21 巻 6 号 p. 345-353
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
  • 梅村 魁, 矢野克巳,寺本隆幸
    1982 年 21 巻 6 号 p. 354-358
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    我国における建築物の耐震設計は,世界に先がけて1924年紅震度法が法制化され実施されてきた.これは,建物にその重量に比例した静的外力を地震時に作用するヵに相当するものとして与えることにより,建物にある程度以上の抵抗力をもたせようというものである.その後,地震波の観測や建物の弾塑性解析等の諸データを用いて動的解析が行なわれるようになり超高層建物設計に利用されるようになった、これらの知見を踏まえて1981年に建築基準法施行令の改定が行なわれ,設計用地震荷重をせん断力係数で表示すると共に変形制限・保有水平耐力の確認等の規定が設けられ,中小地震とまれに発生する大地震との2段階の検討が義務付けられるようになった.また,建物内部に設置される設備機器についても,その耐震性を確保すべく耐震基準が公表されている.

  • 大島 榮次
    1982 年 21 巻 6 号 p. 359-365
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    アセスメント手法の一般的な特徴を述べ,とくに石油コンビナートの地震災害に対して防災アセスメントを適用する場合の手順および間題点の指摘を行なった。また,具体的に石油タンクが地震によって被害を受ける過程についてイベントトリー解析を行なった例について説明を行ない,防災アセスメントの意義 を解説した.

  • 鵜戸口 英善
    1982 年 21 巻 6 号 p. 366-371
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    最近のプラント施設の耐震設計基準として,現在施行されている発電用原子炉施設に関する耐震設計基準等,ならびに原子力以外の一般産業施設に対するものの例として,高圧ガス設備等の耐震設計基準を紹介し,それらの制定の背景,耐震設計基準の基本理念と考え方,各基準の内容の要点などにっいて概説し ている.

  • 柴田 碧
    1982 年 21 巻 6 号 p. 372-378
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    耐震設計の将来の進展について,著者の見解を述べる.現在の世界の耐震設計マベルはまちまちであるが,既存設備対策とか,運転に関係する人々の問題などつぎつぎに対応しなければならないことがでてくる.その辺の問題を紹介しながら議論を展開する.

  • 芥川 眞知
    1982 年 21 巻 6 号 p. 379-386
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    地震によって起こる地盤災害は,平野部・丘陵部に発生するものが重要である.これらについては被災の媒体である地盤の構成に大きく依存するので,平野の地盤の成因,その構成の特徴と被災のメカニズムとの関係についてのべた.また山地部における災害は,降雨を原因とするものと共通する点が多いので,降雨によるものと地震によるものとのメカニズム・形態・規模の相異点を主にして解説した.

  • 山本鎮男,藤岡豊一
    1982 年 21 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    昭和56年10月に通産省は告示515にて“高圧ガス設備等耐震設計基準”を発刊して高圧ガス施設の 塔および貯槽の耐震設計を規定した.同基準において,基礎を固定とした平底円筒貯槽の耐震設計の手法 がかなり陽に示されている. 他方,自治省においても危険物施設である平底円筒油貯槽の耐震設計の規定を昭和58年3月を目処に改定する準備を集めている.一般に平底円筒油貯槽は平底円筒高圧ガス貯槽と異なりアンカーがない.そのために,地震時に平底円筒油貯槽の底板が基礎から浮き上がる現象を呈する場合もあり得る.本稿では通産省告示515に示されている基礎を固定とした場合の耐震設計の手法を概説した後,貯槽の浮き上がり 現象について述べることとする.

  • 森肇,高橋行茂,小山和夫
    1982 年 21 巻 6 号 p. 394-401
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    我が国のような,地震の多発地域に大型貯槽等の構造物を設置する場合,耐震設計は誠に重要であり,合理的なものでなくてはならない,近年,液体エネルギーを安全に貯蔵する必要1生が大きく叫ばれ,その解決方法の一つとして,地下貯槽による本質安全を主目的とした方式が,各種關発され,利用されてきている.本稿では,地下貯槽の耐震設計の現状を,設置墓数の多いLNG地下式貯槽を中心に述べるとともに,実地震の観測から得られた知見等も合せ紹介する.

  • 栗林 栄一
    1982 年 21 巻 6 号 p. 402-406
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    耐震設計の基本的手順を示すと共に埋設管の耐震設計の基本事項を示している. 各論においてほ,石油パイプラインの耐震設計の概要と応力算出法ならびに安全度の照査の骨子を示している,さらに,ガス導管に対する最新の知見を織り込んだ耐震設計法を示してい胤また上下水道,電力,通信に係る耐震設計法について触れている. 全文を通じて基本的には応答変位法といわれる表層地盤のせん断波動による変形を静的に置換した方法を中心に解説すると共に,慣用の構造規定による必ずしも応力解析を必要としない簡易な方法についても 触れている. 要は地震後の機能存続に目標をしぼった耐震設計を行なうことの必要を提唱している.

  • 尾上 賢, 鹿熊 英昭
    1982 年 21 巻 6 号 p. 407-414
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    地震に伴う2次災害を防止するために,制御用地震計を使用して構造物に破壊をもたらすおそれのある地震動を検知し,電力や燃料の供給停止,列車ほか交通機関の運転停止などの緊急安全措置を講じることが行なわれている.本稿では,この種の制御用感震器における地震動の検知の仕方,感震器の対震遮断システムヘの使われ方にっいて紹介する.現在使用されている感震器はぼとんど機械式の加速度計である.電磁式で波形記録などの多重機能をもつものも実用化されているが,信頼性を重視してなお,主流は機械式のものである.更に,万一誤動作の場合,社会的影響の大きい重要施設では複数台の感震器をおき,制御信号の発信には多数決採決方式を採っている.人に震度階を知らせた弘最大加速度値を表示したりする簡易な感震器も,人の集まる場所を対象に普及しつつある.

  • 安倍 北夫
    1982 年 21 巻 6 号 p. 415-419
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    北海道浦河を昭和57年3月に襲った地震は,本土とし.て久方の直下型震度6の烈震であった、丁度冷雨の降る日で大部分の家で暖房をしていたにもかかわらず,心配されていた火災は1件もなかった,これまでの研究や調査でほ震度6では物理的にも心理的にも,火を消すことは至難のわざであるとされていた.にもかかわらずなにゅえ浦河では火を出さなかったか.過去のいくつかの調査例と比較しながら地震のときの人間行動を中心にこの間題を解明してみる, パニックや混乱をコントロールするものとしての人間的対応,ことに事前の対策や,過去の経験,学習,や訓練がどのように生きるかを知ることは防災対策のキーポイントでもある.

  • 松田 有弘
    1982 年 21 巻 6 号 p. 420-426
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    震災対策は,災害の予防,災害応急対策,災害復旧等各般にわたる総合的な対策として,国,地方を通じ多くの防災関係機関によって推進されている.しかし,都市化の進展は,地震の発生による被害を大規模化する潜在危険を増大し,震災対策は,地域住民の生命の安全性確保を目的とする都市行政上の重要かつ緊急なテーマとなっている.そこで本稿ほ,主に地方公共団体における震災対策の現況の概要を紹介のうえ,当面する基本的な課題について,私見を述べることにしたい.

  • 大津 康祐
    1982 年 21 巻 6 号 p. 427-438
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    地震対策を的確に行なうためには,その対策となる施設が地震時にどのような被審を受けるかを予想することが重要な要素である、そのためには,地震とその被害関係に関する情報を正しく収集しておくことが必要である.そこで,ここでは,特に化学プラント関係を中心とした産業施設に被害を及ぼした,関東大地震,薪潟地震,十勝沖地震,宮城県沖地震の各地震事例についでの被害状況について整理してみることとした.また,これらの地震に関する情報を探すための手引となるよう調査報告書等についてもできるだけ詳細に記述し,今後の参考資料としていただくこととした.

  • 村上 處直
    1982 年 21 巻 6 号 p. 439-445
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
  • 白崎 正彦
    1982 年 21 巻 6 号 p. 446-449
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー

    昭和39年の新潟地震の際,昭和石油(株)新潟製油所では原油タンク群に第1火災,旧工場地区に第2 火災を生じた.これらの中より火災の輻射熱に関係する事例をとり上げて示した。 第1火災の初期にはスロッシングにょる溢油が3000klにも達したので,その防油堤の北半部は防油堤火災となった.この防油堤よりそれぞれ30mと60mの地点にあった木造家屋は火災後も引火を免れて 残っていた. 防油堤火災の災害想定に防油堤内に一つの大きな火炎を形成することを基本とすることに対し,タンクによって区画されたおのおのの空間に適合した火炎を設定することを基本とする方が実際的と思われ,その場合の輻射熱の試算結果もぼぽ妥当な値が得られた.

  • 研野 作一
    1982 年 21 巻 6 号 p. 450-452
    発行日: 1982/12/15
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
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