化学工業の研究開発部門では,同種の製品を大量に生産する工場に比較して,研究者は少量ではあるが多種類の爆発性化合物や高圧ガスを長時間取り扱うのが一般的である.このため,爆発や火災事故が発生すると,その被害規模は小さいが災害の発生する確率は工場の場合よりも高くなることが考えられる.研究開発部門では,工場従業員と同程度以上の災害の危険性があることを認識し,工場とは異なった独自の安全管理のもとで安心して研究に打ち込める環境の整備が重要である.本報告では,研究所内で発生する爆発災害を対象とし,その安全対策の基本的な考え方を明らかにする.つぎに,実際に高圧ガスを扱う実験棟(高圧実験棟)の建設計画を進めるにあたり,研究所に特有な安全対策を盛り込んだ 具体的な設計例を示す.
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