安全工学
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特集号: 安全工学
33 巻, 6 号
安全工学_1994_6
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
先端技術の安全特集
  • 米田 久仁
    1994 年 33 巻 6 号 p. 346-353
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    日本の半導体産業はめざましい発展を遂げてきたが,そのかたわらシランガスによる火災爆発など幾度かの事故を経験した.業界各社はそれらを教訓に法規制レベルを超えた独自基準と体制および手法を もって安全衛生管理を行っている. 本稿では半導体工場における安全関連法規制のうち化学物質にかかわる規制に的を絞り,‘‘消防法”,“高圧ガス取締法”,“労働安全衛生法”,“作業環境測定法”ならびに5‘毒物及び劇物取締法”などの各法 律を概説するとともに,一般的な安全衛生管理体制を紹介する.加えて,現在半導体業界が直面している内外の化学物質規制の一部動向についても概略を紹介する.

  • 近藤 重雄
    1994 年 33 巻 6 号 p. 354-360
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    半導体製造などの先端産業で原材料ガスとして用いられているシラン,ジシランなどの特殊材料ガスは,爆発範囲が広く,自然発火性であったり,分解爆発性であったり,毒性を有していたり危険性のきわめて大きいものが多い.そのため,平成3年の高圧ガス取締法の改正により,消費には厳しい技術規準が課されるPとともに都道府県への届出が必要になった.本稿では,最近明らかにされつつあるシランなどの特異的な発火爆発現象のメカニズムの解説に力点を置きながら,特殊材料ガスー般の危険性につ いてあらまし述べる.

  • 金子 晃治
    1994 年 33 巻 6 号 p. 361-368
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    先端産業の中で,ガスの使用量および種類の多い半導体産業における保安設備を設計するための指針と留意点をまとめることは,現場における保安管理を容易にそして確実に行うために重要である.また,従来の主流であったガス警報監視装置から,種々のリスクを回避するためのシステムとしての考え方に変えていくことによって,大規模化,複雑化することによるコストアップを押さえ,保安上の精度を向上させることができる.

  • 林 年宏
    1994 年 33 巻 6 号 p. 369-375
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    事故例を収集・分析することは,同種の事故の再発防止に有用であることはもちろん,事故原因に関連する類似の物質,工程,装置,取扱い方法などに潜在する危険性について,問題点の指摘と事故防止対策の策定のための貴重な情報・教訓を与えてくれる.本稿では,半導体関連産業において発生した爆発.火災,中毒などの事故例をできるだけ多く示して危険源の存在を明らかにし,事故の防止のための 一助としたい.

  • 北野 大
    1994 年 33 巻 6 号 p. 376-386
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    わが国および欧米先進国は工業化学物質の安全性事前審査制度を1973年以降発足させている.この制度では化学物質が製造または上市される前に,化学物質が人および環境に及ぼす影響を審査しており,年間1t以上製造または輸入される新規の化学物質が対象となる. わが国の法は特に環境経由での人への安全性を評価する方式をとっており,魚介類への蓄積性の大きい物質は事実上上市できないといえる.新規化学物質開発の早い段階から安全性をも含めたスクリーニングを組み込むことが,ますます必要となっている.

  • 渡辺 恵市郎
    1994 年 33 巻 6 号 p. 387-392
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    組換えDNA技術の実用化は近年急速に拡大しており,広範囲の産業分野に大きく影響を与えつつある. 本稿では,組換えDNA技術工業化段階での安全対策について,組換え体の安全性評価,設備・装置 の安全性評価および安全対策,事故時の対策を関係各省庁の指針の内容を紹介することで概説した.

  • 竹内 浩士
    1994 年 33 巻 6 号 p. 393-399
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    当所で開発した大気浄化用の光触媒の概要を示すとともに,実用化に移行した際の安全性を検討した,この光触媒は二酸化チタンを主成分とし,300~400nmの近紫外光を照射することで,環境濃度から10ppm程度までの窒素酸化物および硫黄酸化物を効率よく除去することができる.生成物は希薄な硝酸,硫酸であり,長時間使用後も水洗により除去能力を維持できる.トンネルなどの閉鎖的空間を人工光源を用いて浄化できるほか,太陽光を利用した屋外での直接的な使用(大気環境浄化)が初めて技術的に可能となった.この方法は従来の発生源対策を補完するものであるが,発生源よりも下流における対策であるため,環境や生態系に及ぽす影響はより大きいと考えられる,いくつかの評価項目について,光触媒材料やその使用にかかわる安全性についての考え方を示した.

  • 楠神 健
    1994 年 33 巻 6 号 p. 400-407
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    鉄道の自動運転を考える際のヒューマンファクタ上の課題をおもに安全性・信頼性の観点から検討した。まず,列車運転にかかわる機能を整理し,今後の運転環境の変化から,運転業務の性質が「機械向き」に変化することを示した.つぎに,産業界で示された自動化の問題点や今後のシステム設計の原則などを概観した上で,自動運転システムを構築する際に課題となる事柄や留意すべき点を整理し,自動運転の今後の方向を示した.

  • 増井 隆雄
    1994 年 33 巻 6 号 p. 408-415
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    わが国の原子力発電所は,1994年9月現在48基が運転されており,安定した電力の供給源としての役目を果たしつつある,このような状況にあって,原子力発電所をさらに安全なものとするために,種々の改良,改善がなされているが,ここでは,加圧水型原子力発電プラント(PWRプラント)の計測制御システムおよび運転自動化の概要,原子力発電所での運転の自動化と安全性について述べ,さらなる信頼1生,安全性,運転性の向上に向けての自動化およびマンマシンインタフェースのあり方について述 べる.

  • 山内 久雄・中川 佳午人
    1994 年 33 巻 6 号 p. 416-423
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    平成4年に操業を開始した新エチレンプラントの概要を,特に自動化技術の導入に重点をおいて紹介する,また,自動化技術と人間,安全とのかかわりについて考察する.

  • 森宮 康
    1994 年 33 巻 6 号 p. 424-431
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    情報化社会とよばれる現代社会は,情報システム(コンピュータシステム)への依存度を増し,現在ではあらゆる部面において情報システムなしに機能し得ない状況になっている.この情報システムをめぐっては,利用上の便利さや効率性に関する光の部分のみがクローズアップされ,システムの機能不全にかかわる蔭の部分にっいての対応を軽視する傾向が一般に見うけられる.種々の原因による情報システムの機能不全に対する合成語として情報セキュリティといった表現が見られる反面,情報セーフティという表記は寡聞にして知らない.さらに,情報システム導入へのコスト投下は効率性とのからみで是認されやすいが,これに対してセキュリティなりセーフティヘのコスト投下には消極的となるきらいがある.そこで本稿では,こうした情報システムの現在の特徴とそれにかかわる問題状況と,それに対する情報システムのセキュリティならびにセーフティ導入の意味を考えることにしたい.

  • 山田 茂
    1994 年 33 巻 6 号 p. 432-441
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    コンピュータシステムの障害原因として,複雑化・多様化したソフトウェアの開発プロセスで潜入した人為的欠陥や誤りによるものが顕著になってきた.本稿では,開発プロセスにおける品質管理の重要性を述べた上で,「当り前品質」特性としてのソフトウェア信頼性と,安全性重要度の高いシステムに対するソフトウェア安全性について・基本的考え方と計測・評価技術を議論する.特に,信頼性・安全性評価法として,ソフトウェア信頼度成長モデルおよびソフトウェアFTAを,具体例を挙げて考察する.

  • 東福寺 則保
    1994 年 33 巻 6 号 p. 442-449
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    東京国際空港(羽田)の新ターミナルビルが1993年9月に運用を始め,1994年9月には関西国際空港が開港し,公共輸送における航空輸送の比重はますます高まっている.空港は航空輸送の始点・終点であり,その空港交通流の安全性と効率を維持しているものが航空管制である.本稿では,まず空港における航空管制の現状と概要を紹介する. つぎに,二っの航空事故例を説明し,空港面の安全性にかかわる現状と問題点について検討する.また,シュミレーション実験事例をもとに空港周辺のターミナル空域が空港の安全性とそれに関係する機能性に影響することを概説する。 最後に,航空需要の増加に備えて,空港や空域の安全性や機能性をどのように改善していくかに関す る研究開発の現状を紹介する.

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