情報化社会とよばれる現代社会は,情報システム(コンピュータシステム)への依存度を増し,現在ではあらゆる部面において情報システムなしに機能し得ない状況になっている.この情報システムをめぐっては,利用上の便利さや効率性に関する光の部分のみがクローズアップされ,システムの機能不全にかかわる蔭の部分にっいての対応を軽視する傾向が一般に見うけられる.種々の原因による情報システムの機能不全に対する合成語として情報セキュリティ†といった表現が見られる反面,情報セーフティという表記は寡聞にして知らない.さらに,情報システム導入へのコスト投下は効率性とのからみで是認されやすいが,これに対してセキュリティなりセーフティヘのコスト投下には消極的となるきらいがある.そこで本稿では,こうした情報システムの現在の特徴とそれにかかわる問題状況と,それに対する情報システムのセキュリティならびにセーフティ導入の意味を考えることにしたい.
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