安全工学
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特集号: 安全工学
35 巻 , 1 号
安全工学_1996_1
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
阪神・淡路大震災特集(その2)
  • 小出 仁
    1996 年 35 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    阪神・淡路大震災は,地震の予知と防災に多くの課題を示した.地震の長期・中期予知は近年大きな進歩をしたが,短期予知には成功していない.地球にかかわる諸現象は複雑であり,特に時間を予測することは難しい.地殻変動観測や活断層調査の強化が行われているが,地震発生機構などの基礎研究や地下地質環境の総合的調査の拡充を提案する。 短期予知の困難さからみて,曖昧な地震予知しかできない状態で,実質的に災害を軽減するための総合的な防災システムの構築が必要である.

  • 高田 至郎, 李 騰雁
    1996 年 35 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    近代都市神戸は,世界でもほかに類をみない直下型地震により,あらゆる施設に甚大な被害を受けた.特に,湾岸施設は神戸港にとどまらず姫路港から堺港まで広範囲にわたって被災した.岸壁の前面への移動・沈下,背面エプロン部の沈下・陥没およびコンテナクレーンの脚部座屈・倒壊などのさまざまな被害形態を呈している.被害総額は1兆400億円に達している.本文は湾岸施設の被害状況と対策にっいて紹介し,その被災メカニズムと耐震対策などについて考究する.

  • 安村 基
    1996 年 35 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    兵庫県南部地震における木造家屋の被害の程度,特徴を建物の仕様,建設年度との関係においてを調 べた.被害の著しい地区では,比較的古い土塗り壁,葺き土を有する瓦屋根の建物の多くが大破以上の被害を受けており,比較的新しい木造建物でも,構造計画や施工に問題のあるものでは,大破以上の被害を受けたものもあった.被災建物を復旧する場合は,まず応急危険度判定や被災度区分判定に基づき被災度の判定を行い,これに基づいて補修,補強などの復旧計画を行う.また,既存の建築物を補強する場合は,耐震診断を行い,この結果に基づいて,耐震補強を行う.

  • 渡辺 史夫
    1996 年 35 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    地震被害調査によると,建設年代と建物被害に密接な関係があることが示されているので,1950年基準,1971年の部分改訂および1981年基準(現行基準)を簡単にレビューする。つぎに,鉄筋コンクリート構造の典型的な被害パターンを抽出し,その原因および再び同様の被害を起こさないためには,構造設計においていかなる点に注意を払うべきかを述べる.最後に,構造設計(耐震設計)の将来像を,性能設計,施主,使用者,構造設計者,施工者および社会機構に言及しながら模索する.

  • 辻本 誠, 江本 哲也
    1996 年 35 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    本稿は,(社)日本建築学会拡大防火委員会の行った建築防火設備被害に関する二つの調査と,名古屋大学辻本研究室の行った集合住宅の住戸扉被害調査の結果に基づき,地震災害における防火設備の位置付けを明らかにすることにより,機能すべき対象災害の異なる防火設備が,設備を収納する建物自体の存立が危うい状況下で,なぜ保全されていなければならないかを検討した.防火設備は,地震時に建物そのものに被害が生じた場合にもその機能が保全されているべきである.今回の震災による防火設備被害は,現状の設備耐震性能が決して十分ではないことを明らかにするとともに,どのような被害をどこまで許容するかの社会的合意を形成しておく必要がある,という技術的には解決しえない問題もあわせて提示したものと思われる.

  • 室崎 益輝
    1996 年 35 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    阪神・淡路大震災における上水道施設の被害と復旧状況,さらにそれによる機能被害の概要を取りまとめたものである.水道施設の被害では,地盤の悪いところで被害が集中していること,管路を中心に10万か所に及ぶ漏水がみられたこと,耐震継ぎ手を用いた配管には被害がみられないことなどを明らかにしている.応急給水と復旧では,漏水箇所が多かったことに加え家屋倒壊の影響を受けて復旧が遅れたこと,全国から多数の支援を得て給水や復旧が展開されたことなどを明らかにしている。機能被害については,被災生活,医療活動,消防活動など多方面に大きな影響をもたらしたことについて述べている。最後には,今後の対策のあり方として,耐震水道システム,緊急貯留システム,自然水利システム,早期回復システムを提案している.

  • 能島 暢呂
    1996 年 35 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    本稿は,兵庫県南部地震(1995年1月17日,マグニチュード7.2)による電力施設とガス施設の被害概要と緊急対応および復旧過程についてまとめたものである.ライフライン系の壊滅は,多数の死傷者と建物被害とともに阪神・淡路大震災の様相を特徴づける被害の一つであった.中でも,都市のエネルギー供給を担う電力施設およびガス施設の被害は都市活動に短期的・長期的に多大な影響を与え,緊急対応や復旧過程において多くの問題を残し,地震防災対策の再検討を促すものであった,

  • 広谷 徹
    1996 年 35 巻 1 号 p. 57-67
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    1995年1月17日に阪神・淡路地域を直撃した兵庫県南部地震は,死者5500人以上,全半壊・消失家屋20万棟,被災した人は200万人を超える戦後最大の大惨事となった.テレビ・ラジオなどのメディアは,放送史上に残る大規模な災害報道に取り組んだ.被害の全貌を素早く,正確に伝える「被害報道」,被災地向けの安否情報,生活情報などの「防災報道」のあり方が課題として残された.また,パソコン通信などのニューメディアなどが災害報道に初めて本格的に登場し,今後の可能性の方向を示唆した.近代都市にとって不可欠な通信も大きな被害を受けた.通信回線自体の被害以外に,停電の長期化による交換機の故障が注目された.阪神地方で電話の「輻較」が,大規模かっ長期間に渡って発生し,高度情報化社会の災害時の問題として残された.メディアの災害時における役割の重要性が一層明らかになったと同時に,今後のあり方も問われている.

  • 岡山 義邦
    1996 年 35 巻 1 号 p. 68-80
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    1995年1月の兵庫県南部地震では,港湾施設にも大きな被害が発生した.わが国の外貿コンテナの30%を取り扱ってきた神戸港は岸壁,護岸,防波堤,臨港交通施設などに甚大な被害を受け,コンテナクレーンなどを含めた港湾機能のほとんどが耐震バースを除いて麻痺同然となった.特に岸壁は激しい地震動による傾斜,沈下などの変形を生じ,クレーン損傷,電気の不通,アクセス経路の遮断などにより大半が使用不能となった.神戸港には,神戸市ならびに埠頭公社が55台のコンテナクレーンを保有しているが・今回の地震ではこのすべてになんらかの被害が発生した.本報文は地震直後から数回にわたって行われた運輸省による被害調査ならびに神戸市および神戸港埠頭公社により得られた被災データを通じて,地震による港湾施設の被害状況をコンテナクレーンを中心として述べたものである.

  • 後藤 隆雄
    1996 年 35 巻 1 号 p. 81-92
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    大震災後の大気環境影響を3期に分類し,前期では,長田区などの中小零細の化学工場地域で丸2日間の地震火災が発生し,有害物質が人口密集の下町を暴露した問題を検討し,長田区で肺炎などが多い現象を見いだした.中期では,震災地への救援車両,工事車両や重機などの増加で,避難所周辺の大気環境は悪化した.NO2調査を実施した結果は幹線道路周辺の避難所の大気汚染が深刻になっていることがわかった.粉じん汚染も深刻になっていることをデジタル粉じん計と簡易カプセルにより調査した.結果は環境庁結果とも一致した.後期では西宮甲子園浜野焼き場の煙害を受けた武庫川団地でNO2粉じん同時捕集カプセルで調査し,NO2粉じん共野焼き場に面して高濃度であった.震災後の疫学調査として阪神間2468地点のNO2測定と1 586名の健康アンケートとのデータを集約した.震災後の呼吸器系症状を訴えた比率がNO2濃度と有意に相関した.

  • 井野 盛夫
    1996 年 35 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    静岡県は,1976年の地震学会において東海地域で鳳大地震の発生時期が切迫しているとの発表を受け,地震対策を県政の最重要施策として位置付けて積極的に推進してきた.まず東海地震の被害想定による対策目標を設定し,それに基づいて避難路,避難地,消防施設,福祉施設,学校,防潮堤などを地震対策緊急整備事業や地震対策一般整備事業(緊急整備事業以外の県や市町村の単独事業)によって整備し,耐震化を進めた.一方,地震の被害が広域で大規模となって行政だけでは十分に対応ができないことから,住民が隣保互助精神による自主防災組織を育成し,地震予知による対策効果を増すため国が行う地震予知観測へ積極的に協力をするとともに,9月1日に国,県,市町村,住民が参加する総合防災訓練や7月初旬に市町村が行う津波避難訓練など,地域の状況に合わせた訓練をあらゆる機会をとらえて実施し,地震防災センターを設けて常時県民への防災意識の啓発などを行ってきている,しかし,被害想定によって対策内容を充実させていくことだけには限界があり,北海道南西沖地震,釧路沖地震,ロマプリータ地震,ノースリッジ地震など数多くの被害状況を分析して対策の見直しをたびたび行ってきた.今回の大震災から,静岡県は津波を含め東海地震対策に多くの教訓として「地震対策300日アクションプログラム」を取りまとめ,人的・物的被害を減少させる努力を行っている.

  • 上田 三夫・矢代 晴実
    1996 年 35 巻 1 号 p. 99-105
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    阪神・淡路大震災をきっかけに「危機管理」という言葉が注目を集めている.阪神・淡路大震災における被災企業の危機管理の死角にっいて明らかにし,現在の危機管理の問題点を示した.そして企業が危機管理を考える場合の企業の行動を,緊急事態への準備,緊急事態発生直後の対応,業務の復旧のステップに分けて,それぞれのステップにおける項目を整理し,問題点を明確に示した.これらを基に,企業における危機管理の考え方の一例を示した.

  • 田和 淳一
    1996 年 35 巻 1 号 p. 106-112
    発行日: 1996/02/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    今回の阪神・淡路大震災は損害保険業界としても初めて経験する都市型大地震であった.種々マスコミで取りあげられたとおり地震リスクに備える保険として地震保険があるが,この地震保険の創設の経緯ならびに補償する内容を説明する.あわせて,今回の震災に対して損害保険業界としてどのような対応を行ったか,また,各損害保険会社が交通が途絶している中で,どのようにして損害調査を行っていったのかを紹介する.

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