航空業界では,航空機事故に運航乗務員が関与している割合が大きいことに着目して,運航乗務員の ヒューマンファクターにかかわるCRM(CrewResourceManagement)訓練を開発し,事故防止に取 り組んでいる. CRM訓練は,操縦室にいる乗務員をチームというコンセプトで捉え,ストレスのかかる運航環境下において,リソースを有効に活用することによって,ヒューマンエラーの発生を極力減らすこと,また,エラーが発生した場合,事故に結びっくようなエラーの連鎖を断ち切ることができるようなマネージメント能力を潤養する訓練である. 訓練は,知識と取組み姿勢に重点をおいたセミナーと,演習を中心としたシミュレーター訓練から構 成されている. CRM訓練は,発展途上にあるものの,業界全体としてその有効性は認識されており,乗務員の資格 要件として義務付けられているのが世界的な趨勢である.
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