安全工学
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特集号: 安全工学
38 巻 , 6 号
安全工学_1999_6
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
ヒューマンファクター特集
  • 黒田 勲
    1999 年 38 巻 6 号 p. 346-351
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    チェルノブイル原子力発電所事故以来,世界的に一般化した安全文化の言葉の意義と具体的要件について考察した.日本産業がたどってきた安全の軌跡の背景を,労働安全,産業用ロボット導入,原子力発電,石油化学産業の面から解析し,日本人の社会的,歴史的文化がもたらす家族主義的企業構成,企業への高い帰属性とボトムアップ型安全発想のプラス面と.恥の文化,法律的風土に基因するあいまい文化のマイナス面を抽出し,今後の新たな安全文化構築の必要性を述べた.

  • 小松原 明哲
    1999 年 38 巻 6 号 p. 352-358
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    ベテラン作業者は,ベテランであるがゆえの認知行動特質がある.したがって,ベテラン作業者にあっても,その認知行動特質をふまえたシステム設計を行うことが,認知エラーを防止する上で有益であると考えられる.本稿では,ベテランの起こす典型的なヒューマンエラーを整理した.つぎに,行動形成要因について,フラストレーション解消行動がベテランに特有の要因であることを指摘した.これらをふまえ,認知エラーを防止するためのシステム設計の方策にっいて検討した.

  • 行待 武生
    1999 年 38 巻 6 号 p. 359-364
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    プラントのヒューマンファクターズを規定する背景的特質および六つの使命にっいて述べ,っぎにパフォーマンスシェイピングファクター(PSF)の意味と重要性を説く・その上で難解とされる事故時チーム行動のPSF評価・設備管理とPSF管理のつながり・そしてこれからのプラントヒューマンファク ターズに関する所見を詳述した.

  • 杉本 旭
    1999 年 38 巻 6 号 p. 365-372
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    本来,安全の判断は,被害を受ける立場のもつ権利であるが,現実には,機械の製造者(あるいは第三者)が判断する.それは,機械を労働者に手渡す前に判断するという安全の本質による,やむを得ない現実である.国際規格ISO/CD12100では公平な判断が「危険の公平分担の原理」で与えられる.安全管理に関するグローバルスタンダード(ISO16000)においても,同じ原理が適用されており,機械安全と労働安全を統一する新しい安全の体系がまとまりつつある.

  • 井清 武弘
    1999 年 38 巻 6 号 p. 373-379
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    古くから事故や災害の原因究明や対策研究・検討の重要性が認識され,これにより「対策」が明らかになり,これらの中でヒューマンファクターの関与も明らかになってきている.今後,先取り的な安全対策を考える上でヒューマンファクターの位置づけはきわめて重要である。筆者らは,リスクアセスメントの安全管理における役割などを調査する目的で,欧州,豪州,米国等の関係機関の調査を実施している.これらの中から,ヒューマンファクターがどのように位置付けられているか,参考例を紹介する.

  • 佐谷 克明
    1999 年 38 巻 6 号 p. 380-388
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    ヒューマンエラーの発生構造を検討するとともに,住友化学における過去5年間の災害およびヒヤリハットの発生事例をヒューマンエラーの視点から解析し,いかなる要因がトラブル発生に結びついているか,また,ヒューマンエラーの連鎖がどのような形態で生じているかを検証した.この結果からヒューマンエラーの発生を未然に防止するため,どのようなアプローチが必要かを検討した.

  • 吉野 賢治・藤本 順三
    1999 年 38 巻 6 号 p. 389-399
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    1979年3月に起きた米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故から20年が経過した.この事故を契機に原子力においてヒューマンファクター問題が注目され現在までヒューマンファクター研究を継続している.そこで,原子力発電におけるヒューマンファクター問題を時系列的にまとめ,その関連研究から得られた具体的な研究成果を報告する.

  • 吉澤 由里子
    1999 年 38 巻 6 号 p. 400-407
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    東京電力(株)原子力研究所ヒューマンブァクターグループでは,原子力発電所で行われているいろいろなヒューマンエラー防止活動を支援している.特にヒヤリハット情報を共有する活動に対しては, ①ヒヤリハット情報の表層的な事実だけではなく,背景をきちんと把握することが情報の共有に重要であるため,それを効果的に理解するための事例分析方法の提案,②ヒヤリハット情報を簡便に共有するためのデータベースの構築,③活動を効果的に進めるためのヒントとするため無事故企業調査の 実施などの支援を行っている.

  • 垣本 由紀子
    1999 年 38 巻 6 号 p. 408-415
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    操縦行動は,典型的な情報処理過程であるが,注意の働きが密接に関与している.注意は,生体リズムの有する覚醒度とおおいに関連しているが,大陸間を運航する超長時間フライトや深夜シフト勤務に伴う断眠によりその働きはしばしば阻害される.情報処理過程にエラーが介入しやすくなり,操縦パフォーマンスは,いろいろなかたちで阻害される.その最悪の結果が事故である.これらの対策として話題になっているのが人工光照射とNap(いねむり,仮眠)の効果である.照明の中でも,10001ux以上の明るいライトは,メラトニンホルモンを抑圧し,パフォーマンスを改善すると,多くの実験がこれを証明している.しかし,生体リズムによるパフォーマンス損失を完全に補うものではない.Napについては,45分程度の短Napより120分の長Napのほうが良い結果であった.

  • 須藤 桂司
    1999 年 38 巻 6 号 p. 416-426
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    航空業界では,航空機事故に運航乗務員が関与している割合が大きいことに着目して,運航乗務員の ヒューマンファクターにかかわるCRM(CrewResourceManagement)訓練を開発し,事故防止に取 り組んでいる. CRM訓練は,操縦室にいる乗務員をチームというコンセプトで捉え,ストレスのかかる運航環境下において,リソースを有効に活用することによって,ヒューマンエラーの発生を極力減らすこと,また,エラーが発生した場合,事故に結びっくようなエラーの連鎖を断ち切ることができるようなマネージメント能力を潤養する訓練である. 訓練は,知識と取組み姿勢に重点をおいたセミナーと,演習を中心としたシミュレーター訓練から構 成されている. CRM訓練は,発展途上にあるものの,業界全体としてその有効性は認識されており,乗務員の資格 要件として義務付けられているのが世界的な趨勢である.

  • 池田 敏久
    1999 年 38 巻 6 号 p. 427-434
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    ヒューマンファクターからみた鉄道のしくみの特異性,鉄道の安全の現状と当面の課題を要約し, JRの主要な安全課題となっている「列車事故」,「ホーム事故」,「踏切事故」,「触車事故」,「鉄道自殺」などへのヒューマンファクター対策の動向と展望をまとめる.

  • 小澤 宏之
    1999 年 38 巻 6 号 p. 435-442
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    建設においては,不安全行動災害の防止が大きな課題となっている。 しかし,災害の対策については,原因を直接・間接・管理的原因に分け対策を立てているのが現状で ある. 災害や事故の防止対策を検討する上では災害の直接の引き金になった直接原因だけではなく,その背後に潜む背後要因を明らかにしなければ有効な対策は立てられない.そして,背後要因のうちでも特に人間の本質に起因するミスに着目した分析が重要であると考えられる。 ヒューマンファクターに関する研究は,他産業に比べ遅れているが,建設業は,労働集約型の産業であるためヒューマンファクターに着目した検討が注目されている.ここでは,建設業における取組みな らびに当社の取組みを紹介する.

  • 勝原 光治郎・岡崎 忠●・亀山 道弘・宮田 修
    1999 年 38 巻 6 号 p. 443-449
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー

    避難時の人間の心理を集団心理とみてモデル化し避難行動のシミュレーションを行った.早く着くという目的遂行の上で必要な遠近・混雑などの入手情報は限られている. 関しては人々は想像活動をし,するというモデルである。 実船実験を行い,その結果をシミュレーションで再現することができた. このシミュレーションプログラムを使って・避難時聞が最小となる最適避難経路を求める方法と,その逆の避難時間が最大になる最悪避難ケースを知る方法を示した.あらゆる心理状態を考慮すると,一般に避難行動はこの最適と最悪の問に位置すると考えるとよい.

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