安全工学
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特集号: 安全工学
42 巻, 6 号
安全工学_2003_6
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
土壌汚染の現状と対策特集
  • 安田 憲二
    2003 年 42 巻 6 号 p. 359
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
  • 辻原 浩
    2003 年 42 巻 6 号 p. 360-363
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    土壌汚染はすでに明治期より社会的な問題となっていたが,土壌汚染対策に関する法制度の確立は長く環境行政上の課題であった。しかし,近年,企業の工場跡地等の再開発,企業における環境意識の向上等により,重金属,揮発性有機化合物等による土壌汚染が顕在化してきていた.このような汚染の判明事例の増加を背景に,土壌汚染対策のルール化の必要性が徐々に認識されるようになるなど社会的状況も変化がみられるようになった。こうした状況を踏まえ,土壌汚染対策法が平成/4年5月に成立し平成15年2月より施行されている。本稿では,土壌汚染対策法成立までの経緯と法律の概要,土壌汚 染対策の今後の課題等について概説する。

  • 神奈川県環境農政部大気水質課
    2003 年 42 巻 6 号 p. 364-366
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    神奈川県は,平成9年10月に公布した神奈川県生活環境の保全等に関する条例に基づき,土壌汚染対策に取り組んでいる.この条例では,特定有害物質を使用等する施設からの排水の地下浸透を禁止するなど未然防止対策を定めるほか,特定有害物質使用事業所を廃止しようとするときや土地の区画形質の変更を行おうとするときに土壌調査等を義務づけている.また,区画形質の変更時には,汚染された土壌の飛散,流出を防止するための計画を作成して実施することなどを定めている. さらに,土壌汚染に係る調査などの記録の作成を義務づけており,特定有害物質使用地を譲渡等するときは相手方に記録を交付することを義務づけている. 本県では,条例に基づく土壌汚染対策の取組みとともに,土壌汚染対策法の施行に伴い,法と条例を一体として進め,より効果的に取り組んでいくこととしている.

  • 木下 弘志
    2003 年 42 巻 6 号 p. 367-374
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    海外の土壌汚染規制法と比較した場合,日本の土壌汚染対策法の特徴として,以下の点をあげること ができる. ・法の目的や規制対象が限定的である。 ・行政は・原則として調査・対策を実施しない。 ・土地所有者に調査義務を課している. ・土地所有者の対策義務について,免除・軽減措置がない. ・汚染の有無を一律基準値によって判断している。 ・汚染登録簿によって情報が公開されるのは,指定区域に限られている.

  • 森澤眞輔,米田 稔,坂内 修
    2003 年 42 巻 6 号 p. 375-382
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    汚染した地層や地下水の修復事例が増加しつつある.汚染の存在を確認し,汚染範囲を推定して修復工事の規模を設定し,工事終了後には修復の効果を確認するなど,モニタリングが果たすべき役割はますます大きくなっている.本稿では,土壌・地下水汚染の態様を把握するためのモニタリング網(試料採取地点の数とその位置)を最適配備する手法を紹介する. 地下水層中での汚染物質の動態を推定・評価するためには決定論的な数学モデルを活用できるのに対し,土壌中での汚染物質の動態を評価するためには,確率論的なモデルが必要になる.こうした事情を反映して,地下水汚染モニタリング網の設計と,土壌汚染モニタリング網の設計には相違が見られる。 それぞれのモニタリング網の最適配備例を提示することにより,地圏環境モニタリング網設計の概要を 明らかにする.

  • 奥村興平,大洞輝雄
    2003 年 42 巻 6 号 p. 383-391
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    汚染土壌の直接摂取および汚染地下水の摂取に伴う人の健康被害(リスク)の防止を目的とした「土壌汚染対策法」(以下「法」と記す)が平成15年2月15日に施行となった.本稿では,法第3条(調査義務)および法第4条(調査命令)に基づく土壌汚染状況調査と法第7条(措置命令)を行うための詳細調査の技術的内容について述べる.調査対象となる有害物質は,揮発性有機化合物,重金属等,農薬等と物理化学的な物性が異なること,これらの物質による土壌・地下水の汚染は,蓄積性で局所的に発生すること,さらに汚染の発見が難しい地下の問題であることから適切で信頼性の高い技術的能力が 必要とされる。

  • 貴田 晶子
    2003 年 42 巻 6 号 p. 392-400
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    平成15年3月に土壌汚染対策法のもとで土壌のリスクの考え方に基づく新たな試験方法が提示された.土壌リスクとして従来からの地下水汚染リスクに加えて直接摂食リスクが加えられた.地下水汚染リスクの対象物質は土壌環境基準に設定されている25項目,直接摂食リスクは無機物質9項目である.直接摂食リスクに対応する含有基準,汚染土、壌に関する分析方法,および分析における問題点を述べ た。また汚染、土壌に関する海外の試験方法の動向も紹介した,

  • 平田 健正
    2003 年 42 巻 6 号 p. 401-408
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    土壌汚染対策法が平成15年2月15日に施行された.新しい法制度には,汚染土壌の直接摂取と地下水摂取のリスク管理をべ一スに,汚染土壌の浄化に加えて土地利用状況に応じた大きな経費負担を伴わない柔軟な健康リスクの低減措置が含まれている.このように土壌汚染対策が新たな展開を見せる中で,汚染対策としてどのような技術が必要とされているのか,揮発性有機化合物に焦点をあて,地下環境中における存在形態と挙動,技術開発の現状と将来の課題についてまとめた.

  • 若松 尚則
    2003 年 42 巻 6 号 p. 409-414
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    土壌・地下水汚染は蓄積性の目に見えにくい地下現象であり,調査に時間やコストを要することから,段階を踏んで調査・評価・対策が進められる.よって,各段階において情報の信頼性とサンプリングの代表性が十分に保たれていることが重要であり,そのために法律等で一定の調査方法が定められている.土壌・地下水汚染のリスクとしては,人の健康に関するリスクのほかに,土地の経済的価値の面からのリスクもあり,現在ではこれら両面からの調査が行われているのが実態である.対象物質の範囲,低エネルギーの浄化方法,リスク評価による対策目標設定,といった解決すべき課題がある.

  • 一リスク管理の一環として一
    大内 功
    2003 年 42 巻 6 号 p. 415-420
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    化学物質を取り扱う企業は,多少の差はあれ土壌汚染間題を抱えている.この間題が,突如明らかになった場合,どのような対応をとればよいのか,メディア,地域住民,行政対応を含め緊急時の対応が 必要となる. ここでは,法規制を含め土壌汚染問題をリスクとして把握し,リスクマネジメントの一環として,危機管理マニュアルを作成するなかで,緊急時の対応を着実に行うための方策を提言する.

  • 姜 永根
    2003 年 42 巻 6 号 p. 421-427
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    「土壌汚染対策法」が今年2月に施行し,土壌汚染問題が社会的に姐上に載せられるようになった.他の環境汚染問題とは異なり,私有財産という観点から土壌汚染に関わる利害関係者はきわめて多岐に わたるため,その情報の取り扱い方によって汚染原因者や事業者は環境影響とは別のたいへん大きなリ スクを抱えることとなる。 本論は,「利害関係者に対する汚染情報の適、正な開示と真摯なリスクコミュニケーションが結果的には土壌汚染問題の早期解決に繋がる」という視点で私見を述べたいと思う.

  • 吉田幸司,保賀康史
    2003 年 42 巻 6 号 p. 428-434
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    土壌汚染やダイオキシン類汚染の修復(調査・対策)にあたっては,作業者の安全確保,周辺環境のリスク低減を図ることは実際の修復作業の計画・実施する上でも重要な要素の一っである.また,特にダイオキシン類汚染においては,単に周辺環境のリスクを低減するのではなく,周辺住民とのコンセンサスをいかにとっていくかが事業を進めていく上で重要である.ここではその事例として,和歌山県橋本市で行っている工事の内容を紹介する.

  • 一本木 真史
    2003 年 42 巻 6 号 p. 435-440
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー

    土壌汚染対策法が2003年2月に施行され,浄化費用の負担,第三者への損害賠償,資産価値の下落・蝦疵担保責任および社会的信頼の失墜等,事業者が抱えるリスクは増大した.このような環境下にか しおいて,事業者は,汚染状況の把握,汚染の防止等のリスクコントロールを強く求められており,リスクコントロールの補完としてリスクファイナンシングを必要とする.リスクファイナンシングには多様な手法があるが,具体例として二つの保険商品の商品内容につき紹介する.一っは,事業者が所有,使用または管理する「施設」から生じた環境汚染に起因する法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する環境汚染賠償責任保険であり,もう一つは,売買契約等に規定された表明保証条項に基づき支出される汚染浄化費用を補償する土壌汚染浄化費用保険である.

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