安全工学
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特集号: 安全工学
44 巻 , 6 号
安全工学_2005_6
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
会告
巻頭言
水素利用技術と安全特集
  • 丸林 啓太
    2005 年 44 巻 6 号 p. 364-372
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    燃料電池は,従来の内燃機関等に比べエネルギー効率が高く,環境負荷低減効果なども期待できることから,21 世紀におけるエネルギー・環境分野のKey Technology として期待されている.本稿においては,燃料電池に関する最近の国内・国際動向を述べるとともに,包括的規制の再点検の取組みなど燃料電池の実用化・普及に向けた政府の取組みを述べる.

  • 田中 誠二
    2005 年 44 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    環境負荷の少ない水素を燃料として使う燃料電池に関する政府導入目標(2010 年燃料電池自動車5 万台,定置用燃料電池220 kW2020 年燃料電池自動車500 万台,定置用燃料電池1 000 kW)の達成に向けて,6 法律28 項目の規制再点検を効果的・効率的に行うこととなった.この目標達成のためNEDO が推進している水素利用技術開発プロジェクト「水素安全利用等基盤技術開発」と「固体高分子形燃料電池システム普及基盤事業」の2 事業を主体に紹介する.

  • 佐藤 保和
    2005 年 44 巻 6 号 p. 378-385
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    例えばメタンに比べると水素には,空気中での浮力が大きい,拡散が速い,ガス体積当りの燃焼熱が小さい,火炎の輻射率が小さいなどの安全側に働く性質がある一方で,ガス貯蔵で高圧を要する,可燃限界が広い,着火エネルギーが小さい,化学量論濃度において燃焼速度が大きいので爆風圧が大きい,爆ごうしやすい,火炎を視認しにくい,金属材料を脆化するなどの不安全な性質もある.水素の火炎伝播速度は濃度や乱流強度に大きく影響される.燃焼の伝播が管内あるいは障害物存在下で進むと,伝播がしだいに加速し,ついには爆ごうに転移することがある.可燃性ガスの体積の(13)乗で補正した換算距離を用いることで,ガスの種類,濃度,障害物の状況等が同一であれば,ガスの体積によらずに換算距離とピーク過圧の関係が定まる.

  • 山隈 瑞樹
    2005 年 44 巻 6 号 p. 386-390
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    水素の静電気感度に関する既存の知見とデータをまとめた.常温・常圧における最小着火エネルギーは,空気との混合気では0.011 0.019 mJ であり,炭化水素の約110 の値である.酸素との混合気の場合には0.000 9 0.001 3 mJ である.水素・空気混合気の爆発範囲は4.0 75.6 vol%ときわめて広い.最小着火エネルギーおよび爆発限界は温度,圧力,酸素濃度等の影響を受ける.産業現場における災害発生機構を知るうえで重要な帯電現象および放電着火に関する研究例を紹介する.

  • 岡林 一木・野中  剛・坂田 展康・武野 計二, 平嶋 秀俊, 千歳 敬子
    2005 年 44 巻 6 号 p. 391-397
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    水素ステーションでの漏洩事故として,口径0.25 mmφ~2 mmφのピンホールからの定常漏洩と,口径10 mmφの配管破断による非定常大漏洩の二つの代表的なシナリオを取り上げ,40 MPa 高圧水素ガスの開放空間での拡散特性を野外実験により調査した.この結果,定常漏洩においては,等価口径を用いて,無次元化された距離と濃度の関係から,理論流量における可燃下限界濃度の発生距離を求めることができる事を示した.また,非定常大漏洩では,濃度センサの応答遅れの問題があることから,新たに開発した濃度変動計測装置を適用し空間的な濃度分布の時間変化をとらえることができた.両漏洩形態ともに,運動量の影響が極めて強く,可燃下限界濃度以上の拡散領域では,ほとんど浮力の影響を受けないことがわかった.

  • 武野 計二・橋口 和明・岡林 一木, 千歳 敬子, 串山 益子・野口 文子
    2005 年 44 巻 6 号 p. 398-406
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    今後,利用拡大が期待される水素の安全性に関する基礎資料を得る目的で,最大40 MPa までの高圧水素の噴流に着火させて形成される拡散火炎,および噴出開始から時間遅れを伴い着火させた場合に起こる爆発について,水素圧力,噴出口径,着火遅れ時間等を変化させた実験を行った.その結果,拡散火炎については,保炎条件や火炎スケールの実験式を提示することができた.爆発については,直径10 mm の開口から40 MPa の水素を噴出させ,噴出から2 s 後に着火させると900 ms を超える速度で火炎が伝播し,着火点から4 m 位置で20 kPa 以上の過圧が計測された.これは,高圧噴出により高乱流の予混合気が形成され,その中を高速で火炎が伝播したものと考察された.

  • 佐藤 保和
    2005 年 44 巻 6 号 p. 407-411
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    開放空間における均一濃度水素の爆燃実験で,過圧,火炎伝播速度,輻射熱を測定した.等水素濃度の場合,小ガス体積の爆燃では燃焼熱の(13)乗で補正した換算距離に対してピーク過圧をプロットするとガス体積によらず同一の曲線で表わすことができた.一方,ガス体積が大きいとピーク過圧はこの曲線より高い側にシフトする傾向がみられた.大気中に放出された水素が着火した時に発生する圧力は,静置均一濃度の場合より大きくなった.放出に伴う強い乱流が火炎伝播速度を増大させたものと思われる.模擬トンネル中央の一部分で均一濃度の水素を爆燃させると開放空間の場合より大きなピーク過圧を生じた.一方,模擬トンネル内に水素を20 秒間継続的に放出させた場合は水素濃度が高くなりにくく,その燃焼で発生する圧力は安全上十分に低かった.化学量論比濃度の爆燃で水素はメタンより 1 桁大きなピーク過圧を発生させた.

  • 中山 良男
    2005 年 44 巻 6 号 p. 412-420
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    野外での大規模な爆発実験は,爆発現象の規模効果を検討するための重要な研究手法である.ここでは,国内において行われた大規模野外実験の例,文献調査によるTNT や開放空間におけるガス爆発などの代表的な研究を概説する.つぎに,筆者らが行っている野外実験の実施方法や計測方法について具体的に紹介する.最後に,研究事例として筆者らが行った水素の爆発実験について報告する.

  • 矢田部 勝
    2005 年 44 巻 6 号 p. 421-426
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    水素製造方法は,実用化されている化石資源を利用する方法から,基礎研究段階の非化石資源利用方法まで多種多様である.外販水素は,副生水素の利用が主力であるが,メタノール改質,天然ガスの改質等も採用している.水素輸送の形態としては,国内では圧縮水素ガスの輸送が主力であるが,米国では液化水素輸送が主力である.日本国内では27 年前から液化水素輸送が開始され,現在は普及段階に来ている.製造から輸送にわたって安全性の確保は必要不可欠である.安全性確保の基本的な考え方を整理する.

  • 諏訪 好英
    2005 年 44 巻 6 号 p. 427-434
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    水素エネルギーは環境影響も少なく,石油に依存しない次世代エネルギーとして期待されている.しかし,水素は引火性・爆発性の高い物質であり,水素エネルギー利用の普及には,安全技術の確立が最重要課題である.筆者らは,平成15 年度からの2 年間,NEDO の委託業務「水素安全利用等基盤技術開発」の一環として自動車用水素ガス供給ステーションの安全技術開発を実施してきた.本稿では,その成果を中心に水素ステーションの安全技術について報告する.

  • 寺尾 勝廣
    2005 年 44 巻 6 号 p. 435-439
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    燃料電池・水素技術をめぐる国際標準化活動は,近年活発化の一途をたどっています.水素技術を取り扱うISO TC 197,燃料電池技術を取り扱うIEC TC 105,電気自動車を取り扱うISO TC 22 SC 21.しかしながら,燃料電池・水素技術を“工業製品”としてみた場合,まだ未成熟な技術であるため,安全性要求に関しては十分注意を払う必要があります.安全性が担保された国際標準は危険物輸送に関する規制緩和にも利用されており,安全に関する項目が一段と重要になってきています.

論文
  • 茂木 俊夫・西田 啓之・堀口 貞茲
    2005 年 44 巻 6 号 p. 440-446
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    燃料電池自動車用水素ステーションの高圧設備で配管やバルブ等の破壊で瞬間的に大量漏洩を起こした場合を想定して,直径6.3 12.7 mm14 12 インチ)のノズルから圧力20 および40 MPa の水素を放出し拡散挙動の測定を行った.放出量に関しては,ノズル内の音速流から求めた計算式で近似できることが明らかになった.水素の拡散濃度はノズル口径が大きくなるに従い上昇し,圧力40 MPa でノズル口径12.7 mm の場合,距離40 m の地点で10 vol.%以上の濃度に達した.放出軸および横方向に拡がる水素ガスの爆発危険性範囲は従来の拡散に関する経験式から予測することが可能である.

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