我が国の産業規制は規制緩和という大きい流れの中で見直され,一律の事前規制から事後規制に移行している.この規制改革により,民間には法令の枠を離れ幅広く安全を確保していくという自主保安が導入された.言い換えれば,最低要件である法令遵守に留まらず,自らが技術面,人材面,組織体制面で安全確保の取り組みを進め,事故・災害の発生を防止するという社会的要請に応えることを意味している.しかしながら,規制改革から一定の時間が経過した現在,法令遵守状況,事故の発生を見るに,どの程度,自主保安が浸透しているのか検証せざるをえない状況にある.国の審議会ではこのような視点も踏まえ,まさに議論が開始されたところである.これらの課題を如何に克服していくかがこれから行政並びに民間に問われている.
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