安全工学
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特集号: 安全工学
56 巻 , 6 号
安全工学_2017_6
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
会告
巻頭言
「気象災害」特集
  • 三隅 良平
    2017 年 56 巻 6 号 p. 409-415
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    風水害による犠牲者数は,長期的には減少しているが,最近20 年間は,予測技術や伝達技術の急速な進歩にもかかわらず,減少傾向が見られない.その理由を調査するため,2013 年以降に起こった3 つの気象災害について,被災した地方自治体による検証報告書に注目して課題を整理した.その結果,①気象情報を的確に分析し判断に生かすことができない,②市町村役場が電話対応に追われ機能不全に陥っている,③避難勧告や避難指示が間に合わない,④広域調整メカニズムが欠如している,⑤危機管理体制の不備,⑥現場対応する消防団員間の情報共有のしくみがない,⑦役場から住民へ確実に情報が伝わっていない,⑧気象災害に対する危機意識が希薄であることが課題として存在することがわかった.

  • 倉内 利浩
    2017 年 56 巻 6 号 p. 416-423
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    台風情報や大雨警報などの防災気象情報は,その情報に盛り込んでいる危機感を含め,防災関係機関はもとより国民・住民に迅速かつ正確に伝わり利用されてこそ,その効果が発揮されるものである.このため,気象庁・気象台では,平常時においては,これらの防災気象情報が自治体等の防災計画に適切に反映されるよう,また,情報を受け取った住民が的確な行動がとれるよう,周知・広報に努めている.大雨時等においては,情報が利用者に迅速・確実・正確に届きかつ理解されることが重要であり,最新の情報通信技術の導入や情報内容や表示の改善等を進めてきている. ここでは,台風・集中豪雨対策を中心に,特に大雨による気象災害の危機感を的確に伝えるための取り組みに焦点を当て,市町村の行う避難勧告等の判断や各人の安全確保行動の判断に資する取り組みを紹介する.

  • 本間 基寛
    2017 年 56 巻 6 号 p. 424-429
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    災害時の被害,とりわけ人的被害の発生を軽減させるための取り組みとして,地域住民の避難行動の促進を目的とした,災害情報の内容や提供・伝達方法の問題,地域住民の災害情報に対する理解特性やそれを踏まえた行動特性に関する問題など,様々な研究が行われている.また,昨今では土砂災害警戒情報の新設,市町村毎の警報発表,竜巻注意情報の新設,特別警報の新設,警報の危険度分布情報など,多くの災害情報が整備されてきた.しかし,このように高度化,精緻化された災害情報が住民に的確に伝達されたとしても,全ての住民が情報発信者である行政や専門家の意図を正確に理解し,その情報を対応行動に適切に反映させているとはいえない.本稿では,災害情報に対する住民の受容特性に関する研究動向について概説し,今後の防災気象情報の方向性について議論する.

  • 常松 展充
    2017 年 56 巻 6 号 p. 430-438
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    東京都心では高温化が著しく,過去100 年間に年平均気温が3.3℃上昇し,最高気温35℃以上となる猛暑の日が増加する傾向にある.こうした状況のもと,都内では熱中症患者数の増加が顕著であり,2010 ~2015 年の統計では区部だけで毎年2 千を超える人が熱中症で救急搬送されている.また,昼間に住居で高齢者が熱中症を発症するケースが多い.このため,高齢化率の高い木造住宅密集地域等において暑熱対策を充実させることが急務となっている. 都市高温化は地表面状態に強く依存することから,緑化や遮熱・保水性舗装化により蓄熱を緩和して地表面から大気へ輸送される熱量を減らす対策が実施されてきた.一方,たとえば区部のオフィス・商業施設街を対象とした暑熱対策では,日除けやドライミストの設置等,コストが比較的安く即効性の高い対策が積極的に導入されるようになっている.

  • 吉野 純
    2017 年 56 巻 6 号 p. 439-446
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    地球温暖化の進行は将来のハリケーンや台風といった熱帯低気圧の強さにまで影響すると懸念されている.我が国の長中期的な防災・減災対策を講じてゆく上で,将来気候下における台風強度の変化を高精度に定量化することが火急の課題となっている.本稿は,台風強度に関する将来予測技術として,台風の内部構造を効率的かつ高精度に表現可能な高解像度台風モデルを用いた台風強度に関する擬似温暖化実験の結果について紹介するものである.

  • 山本 晴彦
    2017 年 56 巻 6 号 p. 447-454
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    2011 年以降にわが国で発生した大規模な豪雨災害を対象に,2011 年台風12 号,2012 年7 月梅雨前線, 2013 年台風26 号,2014 年8 月秋雨前線に伴う豪雨災害の特徴を紹介した.さらに,「平成24 年九州北部豪雨」により熊本市の白川流域で発生した洪水災害について,被災した住宅地の地形的特徴を明らかにすると伴に,土地利用の変遷について空中写真により解析し,洪水リスクの高い農地の住宅地への転用の問題点を指摘した.

  • 加藤 亮平
    2017 年 56 巻 6 号 p. 455-462
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    マスコミ等で「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局地的大雨は,河川の急な増水や道路の浸水などを通じて時には人的被害をも引き起こすため,そのメカニズム解明と予測技術の開発・高度化は重要な研究課題である.本稿では局地的大雨について,その実態とメカニズムについて現在の知見を紹介し,その予測技術について解説した.実態とメカニズムについては,局地的大雨を引き起こす積乱雲について,その構造と発生条件を解説し,局地的大雨が起こるプロセスを考察した.予測に関しては,一時間程度の非常に短い予測時間に対し,積乱雲に伴う強雨の時間発展を予測する技術に焦点を当て,補外ベースのナウキャストとデータ同化を用いた数値予測について解説した.最後に局地的大雨研究の今後の展望を述べた.

  • 檀上 徹
    2017 年 56 巻 6 号 p. 463-469
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    日本では毎年のように豪雨による土砂災害が全国各地で発生し,人命,財産,社会基盤への被害が生じている.土砂災害による被害を軽減するためには,土砂災害がなぜ発生するのか?どこで発生するのか? いつ発生するのか?について正しく理解することが重要である.そこで本稿では,降雨に伴う土砂災害の種類について解説し,災害発生の要因となる素因と誘因について述べると共に,土砂災害が発生するメカニズムについて示す.また,土砂災害が,「どこで発生するのか?」「いつ発生するのか?」という疑問に対する,研究または実際に利用されている手法について解説する.

  • 坂本 貴啓
    2017 年 56 巻 6 号 p. 470-474
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,平成27 年関東東北豪雨に伴う,鬼怒川水害に対し,災害発生当日の2015 年9 月10 日から断続的に調査を行い,鬼怒川氾濫により発生した外力に対し,関係主体がどのように反応し,洪水プロセスに対応する一連の諸活動のことを「被災地初動応答」として捉え整理した.本報告では氾濫域の地理的・人為的規定要因に加え,避難・水防・救助・復旧を中心に聞き取りや現地被災状況確認調査を行い,その内容について分析し,被災者側の視点から本水害の全体像を明らかにした.

  • 足立 透
    2017 年 56 巻 6 号 p. 475-481
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    近年の相次ぐ甚大な気象災害の発生を受けて,防災・減災のための取り組みが進められている.気象災害に強い安全・安心な社会づくりには,より迅速かつ正確な気象予測情報が必要であり,このためには,基盤となる観測技術の高度化が欠かせない.近年,これまでにない高い頻度で全天の3 次元空間を観測する,気象用フェーズドアレイレーダーが登場した.極めて高い時空間分解能を持つこの最新レーダーは,突発的に発生する気象災害の予測を高度化するための革新的技術と考えられ,現在,防災利用のための研究開発が進められている.本稿では,フェーズドアレイレーダーに関する研究開発の動向と,気象災害予測への活用に向けた今後の展望をまとめる.

  • 下瀬 健一
    2017 年 56 巻 6 号 p. 482-489
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2017/12/15
    ジャーナル 認証あり

    竜巻は,他の気象災害と比べ発生頻度は高くなく被害が及ぶ範囲も狭いが,ひとたび発生し我々の生活圏を直撃した場合,構造物や農作物への被害による経済的損失のみならず,人的被害を引き起こす.そのため,竜巻の予測・監視が防災上非常に重要であるが,竜巻は短時間かつ局所的に発生する現象であるため,竜巻を直接観測することは困難であり,その発生メカニズムは未だ十分に解明されていない.ゆえに,竜巻の予測・監視技術は発展途上であり,竜巻の発生メカニズムと予測・監視技術は今なお積極的に研究開発が続けられている.本稿では,これまでの研究でわかってきた竜巻発生のメカニズムとそれを基に気象庁で開発されている予測・監視技術について解説し,竜巻発生時に必要とされる避難行動などを日本における竜巻の事例を交えながら紹介する.

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