要旨:本研究の目的は,測定の環境が異なる Timed Up & Go Test(TUG)を実施し,信頼性および誤差を明らかにすることを目的とした。対象は地域在住高齢者120人とした。TUG はセンサーマットを用いて所要時間を測定し,床面はフロア条件(TUG-フロア)・畳条件(TUG畳)に分けて実施した。相対信頼性の検討には級内相関係数(ICC),絶対信頼性の検討にはBland-Altman分析を用いた。系統誤差の確認後に測定の標準誤差(SEM),最小可検変化量(MDC)を求め測定誤差を検討した。測定値の誤差が臨床応用上,問題となるかを検討するため許容範囲を算出し推定した。分析の結果,TUG-フロアの ICC(1,1)は0.97であった。TUG-フロアでは系統誤差は認められなかった。また,SEM,MDC を算出した結果,TUGフロアの SEM は0.4秒,MDC は1.1秒であった。一方,TUG-畳での TUG の ICC(1,1)は0.95であった。固定誤差,比例誤差を認め系統誤差を確認した。今回の結果より,畳条件よりフロア条件で測定を行うほうが被検者の能力を正確に把握できることが示唆された。
抄録全体を表示