理学療法さが
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4 巻, 1 号
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原著
  • 満丸 望, 平川 信洋, 山田 道廣, 八谷 瑞紀, 大田尾 浩
    2018 年 4 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    [目的]一枚のテーピングを足関節に貼付し,立位バランスへ及ぼす効果を検証した。[対象]対象は健常な若年成人41名(平均年齢18.9±0.3歳,男性28名,女性13名)とした。[方法]すべての対象者に 2 条件(テーピングなしとテーピングあり)を設定し,それぞれの足圧中心移動軌跡を測定し,裸足のノーマル群(N 群)とテーピングを施した介入群(I 群)で足圧中心移動軌跡を比較した。足圧中心移動軌跡は,安静立位および両足つま先立ち位で測定した。[結果]安静立位では N 群と I 群とのあいだに有意差は認められなかった。一方で,両足つま先立ち位では N 群と I 群とのあいだに総軌跡長(N 群:177.06±51.60 cm,I 群:158.05±35.81 cm)および単位軌跡長(N 群:5.90±1.72 cm/sec,I 群:5.27±1.19 cm/sec)において有意差(p <0.01)が認められた。[結語]一枚のテーピングを足関節へ貼付することで,不安定な立位を安定させる効果がある。

  • 久保 温子, 平方 敬, 増永 明子, 齊藤 愛美, 古後 晴基
    2018 年 4 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    【目的】骨や筋肉ならびに周辺組織を評価する方法として,超音波画像法を用いた評価が普及してきている。本研究では,幼児を対象として超音波画像法を用いた大腿四頭筋筋厚が筋の量的評価として活用出来るか,可能性を探るため大腿四頭筋筋厚と下肢筋力および大腿周径との関連を検討することとした。【対象】健常年長児67名とした。【方法】身長と体重を計測後,下肢筋力として大腿四頭筋筋力,足把持力を測定した。それに大腿周径を加えた5 項目と大腿四頭筋筋厚とを調査した。統計解析は,大腿四頭筋筋厚と各測定値の関係を,ピアソンの相関係数を用いて検討した。さらに,大腿四頭筋筋厚を従属変数,有意な相関が認められた項目を独立変数として,重回帰分析を用いて分析した。【結果】単相関分析の結果,大腿四頭筋筋厚は,大腿四頭筋筋力と大腿周径と相関が認められた。一方,大腿四頭筋筋厚とその他の項目は有意な相関は認められなかった。重回帰分析を行った結果,大腿四頭筋筋厚に独立して関与する要因として大腿四頭筋筋力と大腿周径が抽出された。【結語】大腿四頭筋筋厚に大腿四頭筋筋力が独立して関与するパラメータ―として抽出されたことにより,幼児においても超音波画像法による大腿四頭筋筋厚評価が活用出来る可能性が示された。

  • ―認知機能正常群と軽度認知障害(MCI)疑い群との比較―
    八谷 瑞紀, 上城 憲司, 大田尾 浩, 田中 真一, 古後 晴基, 岸川 由紀, 久保 温子, 満丸 望, 大川 裕行, 溝田 勝彦
    2018 年 4 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高齢者の認知機能のなかでも特に軽度認知障害(MCI)に着目し,認知機能と身体機能,注意機能との関係を明らかにすることとした。地域在住高齢者54名の認知機能をミニメンタルステート検査により正常群49名と MCI 疑い群5名の2群に分けた。評価は,握力,大腿四頭筋筋力,上体起こし,長座体前屈,片足立ちテスト,30秒椅子立ち上がりテスト,Timed Up & Go Test,5 m 歩行テスト,50 m ラウンド歩行テスト,Trail Making Test(TMT)part A および B を測定した。その結果,正常群は MCI 疑い群と比べて,50mラウンド歩行テストの合計時間,構成要素のラップ 2 ,5 および TMT-B において有意に所要時間が短かった。今回の結果から,MCIが疑われる高齢者は,中距離の歩行能力や注意機能が低下している可能性が示された。このため,認知症対策のスクリーニング検査では,認知機能とともに,身体機能や注意機能も含めた包括的な視点で対象者を捉える必要がある。

  • 戸田みずき , 新里 渚, 荒木 優茄, 田中 真一
    2018 年 4 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,地域の野球クラブと剣道クラブに所属している小学生を対象に,文部科学 省の示した新体力テスト(握力,上体起こし,長座体前屈,反復横とび,50 m 走,立ち幅跳び,およびソフトボール投げ)の 7 項目に大腿四頭筋筋力,足趾把持力,肩関節内外旋可動域を加えた合計10項目の測定を行い,習慣的に運動している種類の違いにより,運動能力に差があるかないかを検討した。その結果,肩内旋可動域は剣道クラブが有意に大きかった。野球クラブにおいて有意に足趾把持力は強く,ソフトボールを投げる距離は遠く,反復横とびの回数は多かった。習慣的に実施するスポーツの違いで,学童期という比較的早い時期から運動能力に違いがでることが示唆された。

  • 古澤 拳人, 森 架月, 森 健朗, 久保 温子, 満丸 望
    2018 年 4 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    要旨:幼少期からの運動器障害は将来的なロコモティブシンドローム予備軍となる可能性が指摘されている。子どもたちの健全な発達のため,身体の特徴を自分自身で興味を持ち,把握できるようになることは,生涯にわたり,運動を継続できるきっかけとなる。今回,小学校低学年の運動器健診にも取り入れられるしゃがみ込みを,年長児でも実施し,柔軟性の指標として使用可能かどうかを検討した。その結果,上肢を後ろで組んだしゃがみ込み動作は,年長児においても足関節可動域のスクリーニングテストとして使える可能性が示唆された。

  • ―足指機能評価の有用性の検証―
    釜崎大志郎 , 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 井原 雄彦, 中村 正造, 久保 温子, 大川 裕行
    2018 年 4 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    要旨:[目的]足指把持力と足指圧迫力は,どちらがより有用な身体機能の評価法なのかは明らかにされていない。本研究は,足指把持力ならびに足指圧迫力と各身体機能との関連を比較検討した。[対象]通所リハビリテーションを利用している要介護高齢者115名(男性39名,女性76名)とした。[方法]測定項目は,足指把持力,足指圧迫力,握力,大腿四頭筋筋力,開眼片足立ち,CS-30(the 30-second chair stand test),FRT(functional reachtest),ECFRT(functional reachtest with eyes closed),TUG(timedup and go test),5m歩行時間とした。足指把持力ならびに足指圧迫力と各身体機能との関連を Spearman の順位相関係数から検討し,その相関係数の差の検定を行った。[結果]要介護高齢者の足指把持力および足指圧迫力が強いほど,各身体機能は高かった。また,相関係数の差の検定は,有意差は認められなかった。[結語]要介護高齢者の足指把持力と足指圧迫力は,身体機能の評価法としていずれも有用である可能性が示された。

短報
症例報告
  • ―足底圧分布計測装置 Go-tec を用いた検討―
    吉竹 陽介, 藤木 良平, 今里 篤志, 横尾 匠, 西 紘希
    2018 年 4 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/06/06
    ジャーナル フリー

    要旨:[目的]回復期脳卒中患者に対し,歩行神経筋電気刺激装置ウォークエイド®(帝人ファーマ社製:以下 WA)が歩行動作へ及ぼした効果を,足底圧分布計測装置 Go-tec GP Mobile Data(バンキフ社製:以下足底圧分布計測装置)を用いて検証することを目的とした。[対象と方法]対象は右被殻出血により左片麻痺を呈し,140病日経過した40歳代女性である。研究デザインはシングルケースデザイン(ABA 法)を用いて検証した。期間はそれぞれ A1 期(ベースライン期間 4 週間),B 期(介入期間 4 週間),A 2 期(介入撤回期間 2 週間)とした。介入方法は,ベースライン期には通常の理学療法のみ60分間行い,介入期には通常の理学療法に WA を用いた歩行訓練を20分間加えて実施した。介入撤回期には再度通常理学療法のみ60分間行った。効果検証は足底圧分布計測装置を用いて計測を行った。[結果]A1 期には麻痺側の後足部における平均足底圧は踵中央部に集中していたが,B 期において,より後方へと変位し,A2 期には,再度前方へ変位していた。また,その際の背屈角度を測定したところ,A1 期と比較すると B 期に背屈角度の改善を認めた。[結語]WA の使用により,脳卒中片麻痺患者の麻痺側遊脚期〜初期接地の背屈角度を改善できる可能性が示唆された。

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