無作為抽出された成人男女4,000人を対象とする調査から得られた有効票1,474人のデータを用いて、超高齢社会における老年観と老年規範意識を世代間の比較を通して分析した。総じて言えば、青年世代には、壮年世代や高齢世代よりも老年や高齢者の肯定的な面に同意する割合が高いが、若者の関心や行動を高齢者は理解していないということと高齢者は頑固であるという否定的な老年観の程度は高齢世代で低く、青壮年世代で高かった。高齢世代に比べて青壮年世代とくに青年世代には活躍規範意識を持つ人の割合が圧倒的に小さかった。老年観や老年規範意識を左右する要因では社会・人口学的要因のほかに、「生きがいや人生の目標を持ち続ける自信」や「寝たきりになる不安」の程度も影響を与えていた。高齢世代の社会的役割への期待が大きくなっている中で、世代間のパートナーシップ形成にとって老年観や老年規範意識の世代間の違いがどのように作用するか注目されるところである。
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