目的:認知機能の低下が歩行機能に影響をおよぼすことが報告されており,二重課題条件下での歩行状態が悪化することや快適歩行の速度が遅延することが示されている.しかし,認知症者の快適歩行の規則性についての検討は十分ではない.今回,アルツハイマー型認知症者を対象に歩行を録画し動画解析を行った.本研究は対象者の認知機能と歩行機能の関連性を明らかにすることである.
方法:対象は当デイサービス利用者のなかでアルツハイマー型認知症の診断を有している72名とした.対象者に認知機能や歩行機能,また生活機能の評価を行いそれぞれの項目について相関関係及び関連性を検討した.歩行機能の評価として動画解析アプリケーション「トルト」による分析を実施した.トルトは歩行機能を速度,規則性,左右差を評価できる.
結果:認知機能と関連性が見られた項目は手段的日常生活動作,歩行規則性,歩行速度であった.
結論:今回使用した動画解析アプリケーション「トルト」は医療専門職以外のスタッフでも測定が可能であること.また,アルツハイマー型認知症者の認知機能と歩行機能は関連性が見られることが示唆された.
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