本研究の目的は社会的要因と傾聴ボランティア活動、およびその他の社会的活動との関連性を明らかにする。さらに、傾聴ボランティア活動が心理的健康に寄与する要因となりうるかを検討することである。
分析対象は傾聴ボランティア養成講座を1999年から2004年8月の間に修了した1713名である。平成16年8月~9月の間に郵送法による調査を実施し505名 (30.2%) の回答を得た、有効回答者の中で、年齢のはずれ値を除いた494名 (29.6%) を分析対象とした。
調査内容は傾聴活動の有無、抑うつ、孤独感、生活満足度、社会的活動参加の有無、および基本属性である。
結果は、傾聴活動に参加する人は、女性においては、収入のある職業を持っていない人、友達つき合いや近所つき合いがある人、町内会や自治会活動に参加し、市民講座や学習会活動、および傾聴以外のボランティア活動によく参加する人であった。男性においては、いずれの変数も有意な違いは認められなかった。また、抑うつ得点を従属変数とした共分散分析において交互作用が認められたのは、傾聴活動の有無と市民講座や学習会活動のみであった。
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