応用老年学
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3 巻, 1 号
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巻頭言
巻頭論文
  • 柴田 博
    2009 年3 巻1 号 p. 4-8
    発行日: 2009年
    公開日: 2025/09/19
    ジャーナル フリー

     20世紀に入って欧米諸国の平均寿命は軒並み50歳を突破したが日本人の平均寿命は30歳代の後半に低迷していた。動物性たん白質と脂肪不足が短命の原因であった。第二次世界大戦後、日本人の平均寿命は50歳を超え、その後30年の間に世界のトップランクの長寿国となった。動物性たん白質と脂肪の摂取増が、結核死や脳血管死を減少させたことによる。しかも、1980年代には脂肪の摂取量も頭打ちとなり、欧米諸国の虚血性心疾患の増加という轍を踏まずに済んだ。

     しかし、1980年代以後の日本人の栄養状態は低下してきている。エネルギー摂取は1946年のレベルを割り込み、たん白質、脂肪の摂取も低下している。年代別にみると中高年の栄養状態は横這いを続けており、若い世代 (とくに女性) と乳幼児・学童の低栄養が著しい。

特別寄稿
産官学民の交差点
原著論文
  • ―行動変容関連指標および費用に対する効果―
    西方 佳子, 柴田 愛, 中村 好男, 岡 浩一朗
    2009 年3 巻1 号 p. 26-35
    発行日: 2009年
    公開日: 2025/09/19
    ジャーナル フリー

    目的 : 本研究は、ソーシャル・マーケティングを活用した3つの介護予防の普及活動の行動変容関連指標への効果および費用対効果について検討した。

    方法 : 調査は、介護予防の普及プログラム全7回 : 大規模講演会 (1回)、小規模講演会 (3回) および自由参加型 (3回) に参加した高齢者684名を対象に、行動変容関連指標 (知識、動機付け、セルフ・エフィカシー、クチコミ力) の各得点について、各プログラムの差異を検討した。費用対効果は行動変容関連指標の目標到達者を効果とし、参加者一人当たりの費用および目標到達者一人にかかった費用を算出した。

    結果 : 自由参加型は小規模講演会と大規模講演会に比べ、行動変容関連指標への影響が有意に低かった。参加者一人当たりの費用と目標到達者一人当たり費用は小規模講演会が高く、自由参加型が低かった。

    結語 : 講演会形態のプログラムは、高齢者の行動変容を促進する情報を効果的に提供することができた。自由参加型では目標到達者一人当たりの費用は少ないが、目標到達者を生み出すには有効性は低かった。

  • 安藤 誠, 柴 喜崇, 上出 直人, 柴田 博
    2009 年3 巻1 号 p. 36-44
    発行日: 2009年
    公開日: 2025/09/19
    ジャーナル フリー

     要介護高齢者の主介護者における主観的介護負担および客観的介護負担と抑うつとの関連を調べ、さらに主観的介護負担が高い介護者の対処方略 (コーピング) の特徴を検討した。要介護高齢者の主介護者34名 (平均年齢69.3 ± 14.4歳) を対象とした。抑うつの評価として抑うつ自己評価尺度 (CES-D)、主観的介護負担の指標としてZarit介護負担尺度日本語版 (J-ZBI)、客観的介護負担の指標として身体的自立を評価するBarthel Index (BI) を用いた。また、コーピングの評価には、ストレスコーピング尺度を用いた。結果、CES-DとJ-ZBIとの間には有意な正の相関を認めたが (r=0.63, P < 0.001)、CES-DとBIとの間には有意な相関は認められなかった。コーピングに関しては、主観的介護負担が高い介護者では、主観的介護負担が低い介護者よりも気分転換型の得点が有意に低かった(P < 0.05)。

  • 荒居 和子, 兪 今, 長田 久雄
    2009 年3 巻1 号 p. 45-53
    発行日: 2009年
    公開日: 2025/09/19
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は社会的要因と傾聴ボランティア活動、およびその他の社会的活動との関連性を明らかにする。さらに、傾聴ボランティア活動が心理的健康に寄与する要因となりうるかを検討することである。

     分析対象は傾聴ボランティア養成講座を1999年から2004年8月の間に修了した1713名である。平成16年8月~9月の間に郵送法による調査を実施し505名 (30.2%) の回答を得た、有効回答者の中で、年齢のはずれ値を除いた494名 (29.6%) を分析対象とした。

     調査内容は傾聴活動の有無、抑うつ、孤独感、生活満足度、社会的活動参加の有無、および基本属性である。

     結果は、傾聴活動に参加する人は、女性においては、収入のある職業を持っていない人、友達つき合いや近所つき合いがある人、町内会や自治会活動に参加し、市民講座や学習会活動、および傾聴以外のボランティア活動によく参加する人であった。男性においては、いずれの変数も有意な違いは認められなかった。また、抑うつ得点を従属変数とした共分散分析において交互作用が認められたのは、傾聴活動の有無と市民講座や学習会活動のみであった。

  • ―沖縄県老人クラブ会員を対象に―
    山城 久弥, 島貫 秀樹, 崎原 盛造, 芳賀 博
    2009 年3 巻1 号 p. 54-67
    発行日: 2009年
    公開日: 2025/09/19
    ジャーナル フリー

     本研究は、沖縄の在宅高齢者が家庭や地域で担っている役割を明らかにし、それらの役割と生活満足度との関連について検討することを目的とした。調査は、沖縄県の老人クラブに所属する700名を調査対象に、留置法による調査を実施した。このうち、年齢や性別に欠損のない503名を分析対象とした。

     家庭内での役割については、中心的家事活動を主に多く担っており、地域の団体との関わりについては、町内会・自治会活動、老人会などに関する活動への参加が大半を占めていた。役割と生活満足度との関連については、先行研究において生活満足度との関連が指摘されている変数と役割変数を説明変数とし、生活満足度を目的変数として重回帰分析を行った。その結果、中心的家事活動、所属団体数、役員就任所属団体数が多いほど、その他家庭内活動が少ないほど生活満足度が高くなることが認められた。

事例報告
資料論文
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