応用老年学
Online ISSN : 2759-4556
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8 巻, 1 号
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巻頭言
巻頭論文
原著論文
  • ―SD法による高齢者イメージの検討―
    安永 正史, 村山 陽, 大場 宏美, 野中 久美子, 藤原 佳典
    2014 年 8 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

     短期集中的な世代間交流プログラムが児童に与える影響について高齢者イメージを指標に検討することを目的とした。交流の内容は絵本の読み聞かせを日常的に行っている高齢者ボランティアが総合学習の時間7校時分を使って6年生に読み聞かせ手法を指導するものであった。対象は川崎市A小学校6年生84名であった。測定にはSD(Semantic Differential)法による高齢者の情緒的イメージ尺度短縮版(「評価性」因子6項目と「活動性・力量性」因子3項目)を用いた。両因子と各項目の平均得点に対して、介入の前後、介入の有無を要因とする2要因の分散分析を行ったところ、介入後に「活動性・力量性」因子と項目「弱い-強い」の平均得点の上昇が介入群に認められた。

     児童の高齢者イメージへの「交流授業」の影響が示されたことから、世代間交流プログラムは短期間であっても効果が期待できることが示唆された。

  • 小池 高史, 安藤 孝敏
    2014 年 8 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

     団地に暮らす高齢者の周縁的社会関係の実態を明らかにするために、どのくらい相手のことを知っているかを基準に、団地内の知り合いの人数を3分類し、それぞれ具体的な人数を調査した。そして、それぞれの相手の人数の多寡に関連する個人属性要因について分析した。65~84歳の独居高齢者250人を対象として、質問紙調査を実施した。有効回答は139票(回収率55.6%)であった。名目独居高齢者は分析対象者から外し、周縁的社会関係の量を従属変数とした重回帰分析を行った。結果、名前だけ知っている人や住所も名前も知らない顔見知りといった友人未満の他者が多数いることが分かった。外出頻度の多い人、近距離別居子がいる人、団地居住年数の長い人で住所と名前を知っている人の数が多かった。近距離別居子がいる人、団地居住年数の長い人で名前だけ知っている人の数が多かった。学歴の高い人、団地居住年数の長い人で顔見知りの人数が多かった。独居高齢者の孤立問題を考える場合、周縁的な社会関係の検討も重要である。

  • 澤岡 詩野
    2014 年 8 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

     高齢層へのインターネットの普及に伴い,社会活動や社会関係のあり方も大きく変わりつつあることが考えられる.本研究では,後期高齢期にある都市部の企業退職者が,活動や交流においてどのようにインターネットを位置づけているかを,中高齢期からそれらを利用してきた後期高齢男性8名の語りから明らかにすることを目的とした.

     研究協力者は,退職後にICTに関する知識や経験を活用して【社会的役割の創出】を始めるのと同時に,趣味や知識を広げる【安価で客観的な情報源】や【知的好奇心や生涯の学びの探求】,子供や友だちといった【既知のつながりの維持・強化】,【自身の想いや知識の承認】を行う手段としてインターネットを利用していた.老いを自覚していくなかで,【社会的役割の創出】においては活動への関わり方の再構築など,新たな位置づけを見出していた.この結果,今後の人生に向けた【老いを見据えた可能性】をインターネットに感じていた.

  • ─政策予算配分に対する態度の世代間比較からの考察─
    小田 利勝
    2014 年 8 巻 1 号 p. 40-53
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/09/18
    ジャーナル フリー

     無作為抽出された成人男女3,000人を対象とする郵送調査から得られた1,361人の調査データを用いて、政策予算に対する態度から世代間対立が実際に存在するのか否か、存在するとすれば、どの程度の対立かを分散分析によって明らかにした。若年世代向け教育関係予算、若年世代向け就労関係予算、高齢世代向け予算のそれぞれに対する態度には世代が単独で強い影響を与えているということはないことが明らかになった。年齢階層で一括りされた若年世代や高齢世代という集団それ自体が相互に対立的と言えるほど自世代利益志向的な態度を持っているわけではないということである。そして、所得や経済的ゆとり感、学歴といった社会経済的変数が相互に関連しあいながら予算の増減に対する態度に影響を与えていたことは、世代内対立の問題をより考慮すべきことを示唆していると言えよう。

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