高齢層へのインターネットの普及に伴い,社会活動や社会関係のあり方も大きく変わりつつあることが考えられる.本研究では,後期高齢期にある都市部の企業退職者が,活動や交流においてどのようにインターネットを位置づけているかを,中高齢期からそれらを利用してきた後期高齢男性8名の語りから明らかにすることを目的とした.
研究協力者は,退職後にICTに関する知識や経験を活用して【社会的役割の創出】を始めるのと同時に,趣味や知識を広げる【安価で客観的な情報源】や【知的好奇心や生涯の学びの探求】,子供や友だちといった【既知のつながりの維持・強化】,【自身の想いや知識の承認】を行う手段としてインターネットを利用していた.老いを自覚していくなかで,【社会的役割の創出】においては活動への関わり方の再構築など,新たな位置づけを見出していた.この結果,今後の人生に向けた【老いを見据えた可能性】をインターネットに感じていた.
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