箱庭療法学研究
Online ISSN : 2186-117X
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ISSN-L : 0916-3662
26 巻, Special_Issue 号
震災後のこころのケア
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
総論
仙台・石巻地区 活動報告
仙台・石巻地区 事例論文
  • 箱庭に表現された「自己意識」の発達を中心に
    田中 雄大
    2014 年 26 巻 Special_Issue 号 p. 19-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル 認証あり
    ここに報告するのは,お腹や手や足が痛いと言って学校を休みがちとの主訴で来談するようになった当時小学3年生女児の事例である。この女児に満たされたり認められる体験が積み重なることを目標に関わっていたが,1年半ほどの心理面接を経た頃,東日本大震災が起こり,同胞を亡くすという大きな被災をした。家族は言葉で尽くせぬつらい思いをしたが,この女児にとっても自身の存在が消えてなくなってしまうような不安でつらい体験をすることになった。震災によって家族も病院も地域も大きく揺らいだが,この震災を契機に筆者が勤務する病院に箱庭が導入された。箱庭は女児に揺るぎない「枠」をもたらし,女児は箱庭を使いながら,“私”というものを立ち上がらせた。10歳頃の発達課題としての「自己意識」の確立は,この女児にとっては震災によって消えかけた自分自身を確かなものにしていくことと深く関係していたと考えられた。
  • 佐々木 暁子
    2014 年 26 巻 Special_Issue 号 p. 31-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル 認証あり
    本稿では,東日本大震災をきっかけに,不定愁訴を訴えることで母子密着を強め,愛着の危機に直面した8歳女児の事例について論じた。面接開始当初,クライエントは,自らが決めたテーマを下に,筆者とクライエントが並行で箱庭を制作し,途中絵本の読み聞かせを導入したことをきっかけに筆者とクライエントの関係性の密着が強まった。その後,クライエントから1つの箱庭で制作を希望した。このことは,クライエントが自らの意思と筆者の意思の違いに気づく契機となり,再び2つの箱庭が使われることとなり,そこでセラピストとの決定的な「分離」が生じた。本稿では,並行で箱庭制作を行ったことの治療的効果や,「分離」が成立したタイミングについて考察し,さらに箱庭のもつクライエントのレジリエンスを強化する役割についても言及した。このことからは,箱庭が「分離」と「愛着」の再構成という発達課題の達成の一役を担ったことが推察された。
  • 箱庭を用いた2事例を通して
    吉成 千絵
    2014 年 26 巻 Special_Issue 号 p. 41-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,2011年3月11日に起きた東日本大震災によって被害を受けた,宮城県石巻市にある小学校でのスクールカウンセラー活動の報告を行う。1年8か月にわたるスクールカウンセラーへの相談内容の推移からは,震災に遭った方もしくはそのコミュニティの心理的変化や,子どもと大人の回復過程の違いが見受けられた。また,派遣先の小学校において心理療法を行った2人の女児の事例を報告する。震災をきっかけにして開始された心理療法の中で,「震災」のみに固着せず,「自分の物語」が展開していく過程が見られ,その背景には,災害の後,人の心に起こり得る「大きな物語」から「小さな物語」への転換という流れがあることが考えられた。
仙台・石巻地区 コラム
福島地区 活動報告
福島地区 事例論文
  • 東日本大震災対策プロジェクトの実践
    冨森 崇
    2014 年 26 巻 Special_Issue 号 p. 79-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
    福島県は,東日本大震災において人類未曾有の地震・津波・原発事故・風評被害の4重苦に襲われた。特に原発事故による放射能汚染は,県民生活に大きな制限と分断をもたらし,今でもなお危機が続いている「イン・トラウマ」の状況にある。この状況下で福島県臨床心理士会は東日本大震災対策プロジェクトを立ち上げ,福島県からの委託事業,日本ユニセフ協会からの委託事業,ふくしま心のケアセンター等の県内外の多くの団体と連携・協力し,乳幼児とその保護者を対象に現地の団体だからこそできる地域に根ざした,自分たちにしかできない心理支援活動を展開してきた。本稿では,震災後の生活や福島県の現状,当プロジェクトの2年間の活動を報告する。
  • 角野 善宏
    2014 年 26 巻 Special_Issue 号 p. 95-96
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル フリー
福島地区 コラム
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