産業衛生学雑誌
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45 巻, 1 号
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総説
  • 渡邊 美寿津
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/08/27
    ジャーナル フリー
    製造業に従事する労働者のストレスとその対策についてレビューした. 製造業における仕事のストレス要因として, 仕事の要求度が高いこと, 仕事上のコントロールが低いこと, 上司 · 同僚からの支援が低いこと, 仕事の役割や責任の曖昧さ, 職場の物理 · 化学 · 人間工学的環境, 作業スケジュールや交替制を含む勤務パターン, 将来の雇用についての不安などが挙げられる. こうした職場でのストレス対策として, 職場環境要因については, 製造業従事者の仕事上のコントロールを増して自立性や主体性を高める方策, 労働者の職務や責任を明確にする方策, コミュニケーションを円滑にして相互支援を高める方策, 付加的な報酬制度の導入などの方策が重要である. また, 個人やグループへの対策としては, 労働者本人, 管理監督者, 職場内の小集団など, 対象者の特性に応じた教育やスキルアップのための訓練, 相互研修などが必要である. これらの対策が有効に実施され, 継続されるためには, 経営トップの理解と支援のもとに, ストレス対策の実施体制を整えることが前提となる. また, 適切な指標を用いて対策の効果やそのプロセスを評価することが重要である.
  • 河野 啓子
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/08/27
    ジャーナル フリー
    近年, 過剰ストレスを訴える労働者が増えており, 職場におけるストレス対策は重要課題の一つとなっている.
    ストレス対策としては, 二つの方向からのアプローチ, つまり, 職場におけるストレッサーの軽減と労働者一人ひとりのストレス耐性の向上が必要とされていることから, それぞれにおける看護職の役割と職務についてまとめた. 看護職は, ファーストラインプロフェッショナルとして, 常に労働者の身近かにあり, 労働者一人ひとりが健康的にかつ自主的に生きていくことを支援し, QOLの向上に貢献することをめざしている. そのため, ストレス対策における看護職の役割は, 今後ますます重要性を増すといえよう.
  • 中島 弘
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/08/27
    ジャーナル フリー
    従来から痛風発作の扱いや治療, 高尿酸血症が痛風発作を伴う場合とそうでない場合の管理の方法について, 諸家の意見が述べられてきたが, 診療面での一定の規範がないことが一般診療での障壁となったきた. 1996年に開催されたコンセンサス · カンファランスで, 高尿酸血症 · 痛風がcommon disease (ありふれた病気) であり, 痛風発作の有無にかかわらず, 他の生活習慣病と同様にマルチプルリスクを念頭において管理するための均質な治療方針の必要が確認された. 発作の治療, 尿路結石症の予防や治療と管理, 長期合併症や腎機能の管理が討議された. これを契機に専門医集団の意見を尊重しながら, エビデンスを集約する作業が活性化した結果, 日本痛風 · 核酸代謝学会にガイドライン委員会が設置された. 2002年2月に新ガイドラインが公開され, 同8月に正式出版された. 全体を通して新ガイドラインが目指す目標のひとつとして, 生活習慣病としての高尿酸血症の位置付けと全人的な管理がある. 折りしも産業医学の場面で, 生活管理 · 保健指導の重要性が注目される中, 本ガイドラインが職域での健康管理に貢献する可能性が期待されている.
原著
  • 鄭 真己, 山崎 喜比古
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 1 号 p. 20-30
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/08/27
    ジャーナル フリー
    「健康職場モデル」の概念を用い, 組織特性を含めた労働職場環境特性が, ストレッサーとして労働者の心身の健康, 職務不満足及び離職意向に及ぼす影響を検証することを目的とし, 国内の情報サービス産業某社の従業員612名を対象に, 2001年7-8月に自記式質問紙調査を実施した(有効回答率96.2%). うち, コンピュータ · テクニカルサポートスタッフ488名を最終的な分析対象とした. フォーカスグループを用いて労働職場環境特性の項目を新たに作成し, 因子分析の結果から29項目7因子を得, 「評価制度の未熟性」「管理方式の未整備」「キャリア · 見通しの曖昧さ」を「組織特性」の尺度, 「同僚のサポートの低さ」「上司のサポートのまずさ」「作業環境の低い快適性」「仕事の量 · 質の要求度」を「作業 · 職場特性」の尺度とした. 重回帰分析の結果, 「組織特性」と労働者の健康及び離職意向との有意な関連性が認められ, 「組織特性」が重要であるという「健康職場モデル」の概念を支持する結果であった.
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