産業衛生学雑誌
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45 巻 , 4 号
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原著
  • 小嶋 純
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 4 号 p. 125-132
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/09/10
    ジャーナル フリー
    プッシュプル型換気装置では, 使用状況によって換気気流中に逆流が生じ曝露を引き起こすことが指摘されており, 局所排気装置でも同様の問題が懸念される。本研究では, 逆流が局所排気装置使用時に起す曝露および漏洩を調べるため, 外付け式および囲い式フードを備えた局所排気装置と等身大の人体模型を用い, スモークテストおよびトレーサーガスによる実験を行った。このトレーサーガスにはエタノール蒸気を用い, 有機溶剤作業を模したものとした. その結果, 外付け式フード使用の場合, 作業者が立位姿勢でフードと対面した際に逆流が発現し, 吸引風速0.4m/s以下で若干の曝露が確認された. また吸引風速に関わらず, 逆流による10ppm未満の漏洩が確認された. 囲い式フードでは, 曝露抑制に0.8m/s以上の吸引風速を必要とする場合があった. 囲い式フードでは漏洩の危険は少ないが, 作業者が座位の時には曝露の危険が高いことが判明した. 両フードの場合とも, 吸引風速の増加は逆流による曝露を抑制する効果があった.
調査報告
  • 松本 奈緒美, 横田 幸三, 城山 康, 高倉 敏行
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 4 号 p. 133-138
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/09/10
    ジャーナル フリー
    酸無水物類はエポキシ樹脂の硬化剤の一つで, 眼や鼻などの粘膜に対する強い刺激性物質であり, 低濃度の曝露でもアレルギー性鼻炎や喘息を起こすことが知られている. 平成14年4月には, 日本産業衛生学会の許容濃度に関する委員会からメチルテトラヒドロ無水フタル酸を気道感作性物質1群に分類し, 許容濃度として50μg/m3が提案された. 本邦では弱電部門で酸無水物系硬化剤が大量に使用されており, 疫学調査によって健康障害の結果が報告されていることから, 酸無水物によるアレルギー性呼吸器症状を予防するために作業環境管理が可能かどうか検討を行った. 我々は平成12年4月からヘキサヒドロ無水フタル酸, メチルヘキサヒドロ無水フタル酸, メチルテトラヒドロ無水フタル酸の管理濃度を40μg/m3と自主的に定めて, 酸無水物系硬化剤を使用している2工場について作業環境測定を行い, その結果に基づいて作業環境改善を実施して良好な結果を得た. 今回の経験から, 酸無水物系硬化剤の作業環境管理は他の有害物と同様に発生源の囲い込み, 局所排気装置の設置とメンテナンス, 空気取り入れ口の設置, また硬化炉からの漏洩をなくすことによって可能であり, 作業場への汚染を十分に抑制できることが明らかになった.
  • 斉藤 政彦
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 45 巻 4 号 p. 139-143
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/09/10
    ジャーナル フリー
    試験紙を用いた尿潜血検査は職域の定期健康診断においてごく一般的に実施され, 多くの人が陽性と判定されている. 尿潜血の原因は多岐にわたるものの, 多くは放置可能である. ただし, 稀ながら尿路悪性腫瘍の初発症状の可能性があるためその対応に苦慮する. 1999年から2002年までの4年間の健康診断結果およびその事後措置を通して, 尿潜血陽性者における特徴とその対処方法を検討した. 対象は某鉄鋼製造事業場の男性従業員(99年:1,135名, 00年:1,077名, 01年:994名, 02年:945名)である. 各年度における尿潜血の陽性率はそれぞれ8.6, 7.6, 7.8, 8.3%であった. 尿潜血を目的変数に, 健康診断結果から得られた項目を説明変数に多重ロジスティック回帰分析を行ったところ、年齢と尿蛋白が有意で, 高齢者ほど, 尿蛋白が陽性なほど潜血が出やすいという結果であった. 一般的に, 尿潜血の原因が尿路悪性腫瘍であれば, 経過中に肉眼的血尿をきたす. したがって, 尿潜血のみが繰り返されている場合には悪性腫瘍の危険性は低いと考えられる. この点を重視して尿潜血対応プロトコールを定めて対応した. その結果, 精密検査へ紹介した人数は4年間で6名で, 5名を泌尿器科, 1名を腎臓内科へ紹介した. 尿路悪性腫瘍を含め, 治療を要する疾患は発見されなかった.
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