産業衛生学雑誌
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51 巻 , 5 号
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原 著
  • 黒木 直美, 宮下 奈々, 日野 義之, 茅嶋 康太郎, 藤野 善久, 高田 幹夫, 永田 智久, 山瀧 一, 櫻木 園子, 菅 裕彦, 森 ...
    原稿種別: 原 著
    2009 年 51 巻 5 号 p. 49-59
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    [早期公開] 公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
    小規模事業場において良好実践を行っている事業者の産業保健ニーズに関する質的調査:黒木直美ほか.産業医科大学医学部公衆衛生学―本研究では,小規模事業場における事業者の産業保健ニーズあるいは良好実践の動機を把握することを目的とした.これまでの調査では小規模事業場における産業保健活動の遅れが報告されている.これらの知見は主に質問紙調査から得られたものである.しかし,小規模事業場には事業者の意識が直接反映されるという特徴があり,積極的に産業保健活動に取り組んでいる事業場も存在している.このような小規模事業場の良好実践例において,事業者のニーズを分析した研究はこれまでにない.産業保健に対する事業者の動機を明らかにすることは小規模事業場間に良好実践を水平展開する一助となると考えられる.そこで,我々は産業保健活動の良好実践が行われている小規模事業場10社の事業者と半構造化面接を行い,その逐語録をKJ法を用いた質的手法で分析した.その結果,事業者はもっぱら「よい会社」,「よい経営」を強く意識していることが明らかになった.「よい経営」のための要素には「人材確保」,「取引先の信用」,「社会的信用」,「社長自身の健康」という4つがあった.事業者はこれらの要素を達成するため職場の安全,従業員の健康に関する活動は当たり前であると考えていた.さらに,具体的な活動には「コストの問題」,「担当者の問題」,「時間がない」,「外部資源」という既知の制約があった.調査結果から,経営と安全衛生活動を関連づけることが小規模事業場における安全衛生活動の向上に寄与すると考えられた.
    (産衛誌2009; 51: 49-59)
調査報告
  • 藤野 善久, 永田 智久, 黒木 直美, 土肥 誠太郎, 上原 正道, 小山 一郎, 梶木 繁之, 森 晃爾
    原稿種別: 調査報告
    2009 年 51 巻 5 号 p. 60
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    [早期公開] 公開日: 2009/08/05
    ジャーナル フリー
    某グループ企業における安全衛生活動の新方針案に関するHealth Impact Assessment:藤野善久ほか.産業医科大学公衆衛生学教室―本研究では,S化学企業における安全衛生に関する新方針の提案に対してHIAを実施した.S企業は,約13,000名の従業員を擁すグローバル企業である.産業医,疫学者,公衆衛生専門家らで構成する学際的なHIA実施グループによってHIAは実施された.S企業の事業担当者もHIAの全プロセスに参加した.新方針によって起こりえる健康影響を把握するために,文献検索,健診データの分析,利害関係者らのインタビューを実施した.新方針による健康上の便益,不利益を広範囲に把握し,新方針実施のための推奨意見を作成した.産業保健や安全衛生に関する方針の企画に際して,HIAは有効な手法となりうる.
    (産衛誌2009; 51: 60-70)
話 題
  • 竹内 亨
    原稿種別: 話 題
    2009 年 51 巻 5 号 p. 71
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    [早期公開] 公開日: 2009/07/16
    ジャーナル フリー
  • 石川 浩二
    原稿種別: 話 題
    2009 年 51 巻 5 号 p. 74
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    [早期公開] 公開日: 2009/08/11
    ジャーナル フリー
    産業衛生における学術研究に関するアンケート調査の結果:石川浩二.日本産業衛生学会東海地方会学術連携研究会―日本産業衛生学会として学会員の学術研究を振興するには何をすべきかを明確にする目的で,産業衛生における学術研究に関するアンケート調査を,産業衛生学会東海地方会員に実施した.776名へ郵送し,287名から回答を得た(回収率37.0%).調査内容は,「研究における立場」,「研究の現状」,「問題点」,「学術研究実践」に必要なものである.研究における立場では「指導・助言をする立場」が15.7%,「自分で研究を進めていける立場」が27.2%,「指導者の下に研究を進めていける」が12.9%だったが,最も多かったのは「学術研究を進めることは困難」34.5%であった.研究活動における現状としては「しっかりできている」は10.8%にとどまり,「いろんな問題があってできない」との回答が大半(74.9%)を占めた.研究活動における問題点としては「時間がない」が71.4%と最も多く,次いで「研究方法が分からない」および「予算の問題」であった.研究に必要なものでは,「時間的余裕」が70.0%と最も多く,次いで「知識」「指導者」「資金」「意欲」「フィールド」の順であった.以上の結果を,年齢別,職種別,職場別で比較検討した.年齢別では,60代以上で「指導・助言をする立場」の割合が多く,40代・50代では,「自分で進めていける立場」と,「学術研究は困難」が多かった.また20代・30代では「学術研究は困難」が最も多かった.研究活動における問題点に各群間に有意差を認めなかったものの,研究活動に必要なものとしては40代・50代で時間的余裕が突出して多かった.また20代・30代では,「指導者」,「知識」と答えた人が多かった.職種別では,医師群において「学術研究は困難」が最も多かったものの,比較的「指導助言する立場」「自分で研究を進めていく立場」の割合が高かった.看護職群では「学術研究を進めることは困難」の回答が多かった.問題点としては,医師群で「プライバシーなどの倫理問題」が多く,看護職群では「研究方法が分からない」が特徴的であった.必要なものは,看護職群は他群に比し「指導者」「知識」「意欲」が多かった.職場別では,大学群において「指導・助言をする立場」,「自分の判断で学術研究を進めていける立場」の割合が高く,一方,産業現場では「学術研究を進めることは困難」と回答が多かった.現状としては,大学群は「しっかり研究ができている」の割合が高かったものの,「いろんな問題があってできない」という回答も3割を超えていた.産業現場では「したいという気持ちはあるができない」という回答が四分の三以上を占めた.問題点としては,大学群で「予算」を上げる人が多く,産業現場での「研究方法が分からない」と好対照を示した.以上の結果から,日本産業衛生学会の会員は学術研究に対して意欲が高いものの,いろいろな問題から実践論文発表などの結果に繋がっていないことが判明した.大学(研究機関)や産業現場など,それぞれの職場で働くいろんな職種の会員がお互いに連携を取り合い,問題点を克服することが必要と考えられた. (産衛誌2009; 51: 74-80)
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