産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
Print ISSN : 1341-0725
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55 巻 , 1 号
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原著
  • 須賀 万智, 三輪 祐一, 小野 良樹, 柳澤 裕之
    55 巻 (2013) 1 号 p. 1-10
    公開日: 2013/02/26
    [早期公開] 公開日: 2012/11/30
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    目的:東京都内の健診機関のデータベースを用いて,心血管危険因子の有所見率の10年間の推移を検討した.方法:公益財団法人東京都予防医学協会が管理するデータベースから,2001–2011年度の定期健康診断の結果を分析した.各年度の事業所数は平均1,159ヶ所,各年度の受診者数は平均119,956人(男性73,842人,女性46,114人)であった.心血管危険因子として知られる1)肥満,2)高血圧,3)高コレステロール血症,4)糖尿病,5)喫煙について,各年度の有所見率を受診者全体と5歳年齢階級別に計算した.結果:男性において,2001年度の有所見率(粗率)は肥満26.9%,高血圧19.0%,高コレステロール血症22.7%,糖尿病6.9%,喫煙49.4%,2011年度の有所見率(粗率)は肥満28.5%,高血圧19.9%,高コレステロール血症26.6%,糖尿病5.9%,喫煙34.4%であった.年齢調整率で高コレステロール血症の上昇傾向を認め,年齢階級別にみると,50歳以上の高年齢層で肥満,高血圧,高コレステロール血症,糖尿病の有所見率が上昇した.女性において,2001年度の有所見率(粗率)は肥満10.4%,高血圧7.1%,高コレステロール血症19.1%,糖尿病1.7%,喫煙11.6%,2011年度の有所見率(粗率)は肥満11.6%,高血圧7.4%,高コレステロール血症16.7%,糖尿病1.7%,喫煙10.3%であった.年齢調整率で高コレステロール血症の低下傾向を認め,年齢階級別にみると,40–59歳で高コレステロール血症の有所見率が低下した.喫煙の有所見率は男女とも漸次的に低下した.考察:心血管危険因子の有所見率は総じて横ばいで推移しており,粗率・年齢調整率とも上昇したのは男性の高コレステロール血症のみであった.年齢階級別にみると,男性の50歳以上の高年齢層は心血管危険因子の有所見率が上昇しており,問題あるサブグループとして認められた.
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調査報告
  • 吉村 健佑, 川上 憲人, 堤 明純, 井上 彰臣, 小林 由佳, 竹内 文乃, 福田 敬
    55 巻 (2013) 1 号 p. 11-24
    公開日: 2013/02/26
    [早期公開] 公開日: 2012/12/21
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    目的:本研究では,職場におけるメンタルヘルスの第一次予防対策の実施が事業者にとって経済的利点をもたらすかどうかを検討することを目的とし,すでに公表されている国内の研究を文献検索し,職場環境改善,個人向けストレスマネジメント教育,および上司の教育研修の3つの手法に関する介入研究の結果を二次的に分析し,これらの研究事例における費用便益を推定した.対象と方法:Pubmedを用いて検索し,2011年11月16日の時点で公表されている職場のメンタルヘルスに関する論文のうち,わが国の事業所で行われている事,第一次予防対策の手法を用いている事,準実験研究または比較対照を設定した介入研究である事,評価として疾病休業(absenteeism)または労働生産性(presenteeism)を取り上げている事を条件に抽出した結果,4論文が該当した.これらの研究を対象に,論文中に示された情報および必要に応じて著者などから別途収集できた情報に基づき,事業者の視点で費用および便益を算出した.解析した研究論文はいずれも労働生産性の指標としてHPQ(WHO Health and Work Performance Questionnaire)Short Form 日本語版,あるいはその一部修正版を使用していた.介入前後でのHPQ得点の変化割合をΔHPQと定義し,これを元に事業者が得られると想定される年間の便益総額を算出した.介入の効果発現時期および効果継続のパターン,ΔHPQの95%信頼区間の2つの観点から感度分析を実施した.結果:職場環境改善では,1人当たりの費用が7,660円に対し,1人当たりの便益は点推定値において15,200–22,800円であり,便益が費用を上回った.個人向けストレスマネジメント教育では,1人当たりの費用が9,708円に対し,1人当たりの便益は点推定値において15,200–22,920円であり,便益が費用を上回った.上司の教育研修では2論文を解析し,Tsutsumi et al. (2005)では1人当たりの費用が5,290円に対し,1人当たりの便益は点推定値において4,400–6,600円であり,費用と便益はおおむね同一であった.Takao et al. (2006)では1人当たりの費用が2,948円に対し,1人当たりの便益は0円であり,費用が便益を上回った.ΔHPQの95%信頼区間は,いずれの研究でも大きかった.結論:これらの研究事例における点推定値としては,職場環境改善および個人向けストレスマネジメント教育では便益は費用を上回り,これらの対策が事業者にとって経済的な利点がある可能性が示唆された.上司の教育研修では点推定値において便益と費用はおおむね同一であった.いずれの研究でも推定された便益の95%信頼区間は広く,これらの対策が統計学的に有意な費用便益を生むかどうかについては,今後の研究が必要である.
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