産業衛生学雑誌
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55 巻 , 4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
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原著
  • 塩崎 万起, 宮井 信行, 森岡 郁晴, 内海 みよ子, 小池 廣昭, 有田 幹雄, 宮下 和久
    55 巻 (2013) 4 号 p. 115-124
    公開日: 2013/08/15
    [早期公開] 公開日: 2013/05/15
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    目的:警察官は他の公務員と比べて心疾患による休業率が高く,在職死亡においても常に心疾患は死因の上位を占めることから重要な課題となっている.本研究では,A県の男性警察官を対象に,近年増加傾向にある虚血性心疾患に焦点をあて,各種危険因子の保有状況とその背景要因としての勤務状況や生活様式の特徴を明らかにすることを目的として検討を行った.対象と方法: 症例対照研究により,虚血性心疾患の発症に関連する危険因子について検討した.対象はA県警察の男性警察官で,1996–2011年に新規に虚血性心疾患を発症した58名を症例群,脳・心血管疾患の既往がない者の中から年齢と階級をマッチさせて抽出した116名を対照群とした.虚血性心疾患の発症5年前の健診データを用いて,肥満,高血圧,脂質異常症,耐糖能障害,高尿酸血症,喫煙の有無を両群で比較するとともに,多重ロジスティック回帰分析を用いて調整オッズ比を算出した.続いて,男性警察官1,539名と一般職員153名を対象に,横断的な資料に基づいて,各種危険因子の保有率およびメタボリックシンドローム (MetS) の有所見率,勤務状況および生活様式の特徴を年齢階層別に比較検討した.結果: 虚血性心疾患を発症した症例群では,対照群に比べて発症5年前での高血圧,耐糖能障害,高LDL-C血症,高尿酸血症の保有率が有意に高かった.多重ロジスティック回帰分析では高血圧(オッズ比 [95%信頼区間]:3.96 [1.82–8.59]),耐糖能異常 (3.28 [1.34–8.03]),低HDL-C血症 (2.26 [1.03–4.97]),高LDL-C血症 (2.18 [1.03–4.61]) が有意な独立の危険因子となった(モデルχ2p<0.001,判別的中率:77.0%).また,警察官は一般職員に比べて腹部肥満者 (腹囲85 cm以上)の割合が有意に高く(57.3% vs. 35.3%, p<0.001),年齢階層の上昇に伴う脂質異常症や耐糖能障害の有所見率の増加もより顕著であった.45–59歳の年齢階層では個人における危険因子の集積数(1.8個 vs. 1.4個, p<0.01)が有意に高く,MetS該当者の割合も高率であった(25.0% vs. 15.5%, p<0.1).さらに,MetS該当者では,交替制勤務者が多く (33.6% vs. 25.4%, p<0.01),熟睡感の不足を訴える者 (42.5% vs. 33.7%, p<0.01),多量飲酒者 (12.8% vs. 6.3%, p<0.01)の割合が高くなっていた.結論:警察官においても高血圧,耐糖能障害,脂質異常症などの既知の危険因子が虚血性心疾患の発症と関連することが示された.また,警察官は加齢による各種危険因子の保有率およびMetS該当者の割合の増加が一般職員よりも顕著であり,その背景要因として,交替制勤務や長時間労働などの勤務形態と,飲酒や睡眠の状態などの生活様式の影響が示唆された.
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  • 榊原(関) 圭子, 石川 ひろの, 木内 貴弘
    55 巻 (2013) 4 号 p. 125-134
    公開日: 2013/08/15
    [早期公開] 公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー HTML
    目的:メンタリングとは,知識や経験の豊かな者(メンター)が,未熟な者(メンティ)に対し,キャリアや心理社会面での発達を目的に継続して行う支援行動であると定義される.欧米の実証研究では,メンターからの支援が多いほど,メンティはキャリアにより成功し,精神健康が良好で,仕事と仕事以外の生活間での葛藤が少ないことが報告されている.本研究では,欧米の研究で頻繁に用いられているメンタリング尺度であるMentoring Function Questionnaire 9項目版(MFQ-9, Castro et al, 2004)の日本語版を作成し,信頼性および妥当性の検討を目的とした.対象と方法:2012年1月に,インターネットリサーチ会社のモニター登録者のうち民間の事業会社に勤務する男女を対象にWEB調査を行い,メンターを有する357名を分析対象とした.調査項目は,個人属性の他,日本語版MFQ-9,職務満足感,組織コミットメントなどであった.結果:内的整合性は,日本語版MFQ-9全体,下位尺度ごとの合計値ともα係数は0.7以上を示した.因子妥当性では,想定した通り,キャリア支援,心理社会的支援,ロールモデル的支援の3因子が抽出された.確証的因子分析では,GFI=0.96,AGFI=0.94,CFI=0.92,RMSEA=0.05と良好な適合度を得た.併存妥当性については,日本語版MFQ-9全体と職務満足感(r=0.20, p<0.01),組織コミットメント(r=0.17, p<0.01)との関連性が示された.下位尺度については,キャリア的支援,心理社会的支援,ロールモデル的支援と職務満足感とで正の相関が示され(順に,r=0.14, 0.14, 0.15, いずれもp<0.01),キャリア的支援,ロールモデル的支援と組織コミットメントとの間では正の相関が見られた(順にr=0.17, 0.14, いずれもp<0.01).心理社会的支援と組織コミットメントの間には相関が示されなかった.結論:併存妥当性の検討で,心理社会的支援と組織コミットメントに相関が見られなかったことなど検討課題は残されたが,日本語版MFQ-9の一定の信頼性・妥当性を示すことができた.
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