産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
Print ISSN : 1341-0725
57 巻 , 3 号
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原著
  • 畑中 陽子, 玉腰 暁子, 津下 一代
    原稿種別: 原著
    2015 年 57 巻 3 号 p. 67-76
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/15
    [早期公開] 公開日: 2015/03/09
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    目的:在職中の虚血性心疾患の発症を防ぐため,そのリスクを年齢群別に検討することを目的に,8年間の診療報酬明細書(レセプト)データに基づき,デンソー健康保険組合に加入する男性従業員を追跡したので報告する.対象と方法:2003年時点で30歳から55歳である男性従業員27,945人のうち,2003年の定期健診データが存在する19,742人(70.6%)について,レセプトデータの入院歴と資格喪失データから虚血性心疾患の発症リスクを年齢群別にCox比例ハザードモデルを用いて検証した.結果:多変量解析の結果,虚血性心疾患の発症リスクは30–39歳の群では,BMIが25.0 kg/m2未満の非肥満者に比べ,BMI 25.0–27.5 kg/m2未満の肥満者は2.21倍(95%CI : 1.01–4.84),LDLが120 mg/dl未満の者に比べ,160 mg/dl以上の者は3.85倍(95%CI : 1.62–9.14),空腹時血糖(以下FPG)が110 mg/dl未満者に比べ,160 mg/dl以上の者は6.43倍(95%CI : 1.02–40.63)であった.同様に比較すると,40–55歳の群では,LDLが160 mg/dl以上の者では1.95倍(95%CI : 1.28–2.98),140–159 mg/dlの者も1.97倍(95%CI : 1.34–2.90)と,有意なリスク上昇を示した.さらに,40–55歳の群では,高血圧および脂質異常症の治療者は,無治療者に比べ,それぞれ1.94倍(95%CI : 1.27–2.97),1.61倍(95%CI : 1.08–2.40)の有意なリスク上昇が認められた.喫煙歴については,非喫煙者に比べ,1日21本以上の喫煙者では,30–39歳の群で3.12倍(95%CI : 1.21–8.06),40–55歳の群で1.81倍(95%CI : 1.25–2.62)の有意なリスク上昇が認められた.各要因と年齢群との有意な交互作用は認められなかった.考察:虚血性心疾患の発症について,30–39歳の群はBMI,LDL,FPGの数値が高い者や21本以上の喫煙者でリスクが上昇し,40–55歳の群は高血圧や脂質異常症の治療者でリスクが上昇した.働き盛り世代の男性における虚血性心疾患の発症を予防するためには,若い時期から肥満予防や禁煙支援を行うとともに,高血圧,糖尿病,脂質異常症を発症しないよう長期的なリスク管理を行うことが重要である.
  • 川村 小千代, 山田 和子, 森岡 郁晴
    原稿種別: 原著
    2015 年 57 巻 3 号 p. 77-84
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/15
    [早期公開] 公開日: 2015/04/07
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    目的:「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が新たに創設された.この制度によって家族の負担は減少するが,このサービスを提供する介護職者の負担は増加する.そこで本研究の目的は,このサービスを提供する施設の介護職者の疲労徴候を明らかにするとともに,職場における関連要因を検討することである.方法:無記名の自記式調査用紙を用いて,施設の介護職者96名を対象に調査を行った.質問内容は,蓄積的疲労徴候インデックス,勤務状況,職場における支援,属性であった.解析では対象者を午後6時から午前8時に勤務がある有夜勤者と日勤しかない常日勤者の2群に分け,疲労徴候と勤務状況等との関連を2群間で比較検討した.結果:有夜勤者は47名で,平均年齢42.3歳,平均経験年数は6.0年,前月の訪問介護人数9人(中央値)であった.常日勤者は49名で,平均年齢44.6歳,平均経験年数は5.9年,前月の訪問介護人数9.5人であった.年齢と性別は両者間に有意差を認めなかった.勤務時間とケア内容を除いて,仕事の状況,職場の支援に有意差を認めなかった.両者とも疲労徴候は高く,有夜勤者の身体不調は常日勤者より強かった.仕事の満足,心の健康への教育研修,訪問時の交通安全配慮は両者とも疲労を軽減する要因であった.ここ1年以内に介護の知識・技術を学習した経験,有給休暇のとりやすさは,有夜勤者で疲労徴候と関係していなかった.この点は常日勤者と異なっていた.結論:両者とも疲労徴候に対して対策が必要であるが,有夜勤者に対する対策は常日勤者への対策に加え,さらに有効な対策を探り,実施していく必要がある.
調査報告
  • 高信 健司, 相磯 成敏, 梅田 ゆみ, 妹尾 英樹, 齋藤 美佐江, 片桐 卓, 伊川 直樹, 石川 寛明, 峯 多加志, 武 信, 晴佐 ...
    原稿種別: 調査報告
    2015 年 57 巻 3 号 p. 85-96
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/15
    [早期公開] 公開日: 2015/03/09
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    はじめに:化学物質の発がん性試験で使用されたF344/DuCrlCrljラットの自然発生腫瘍の発生率と2年生存率について調査した.方法:調査対象は日本バイオアッセイ研究センター(JBRC)のデータベースから,直近10年に実施した発がん性試験の対照群の動物とし,吸入試験で雄14試験699匹,雌11試験550匹,経口試験で雌雄各10試験500匹のデータを集計した.各試験では,4週齢のSPF(specific pathogen free)動物をブリーダーから購入,2週間の検疫・馴化の後,発がん性試験の対照群として2年間(104週間)飼育した.全ての動物について詳細な肉眼観察と病理組織学的検索を行った.各試験は,優良試験所基準(安衛法GLP)に対応した試験として実施した.結果:腫瘍は,吸入試験,経口試験ともに,精巣の間細胞腫が最も高い発生率(吸入試験86.1%,経口試験68.6%)を示した.6%を超える発生率を示した腫瘍は,下垂体の腺腫,甲状腺のC-細胞腺腫,脾臓の単核球性白血病(LGL白血病)が雌雄に,皮下組織の線維腫,副腎の褐色細胞腫,膵臓の島細胞腺腫が雄に,子宮内膜間質性ポリープ,乳腺の線維腺腫が雌に認められた.上記以外の腫瘍は,いずれも稀な発生であった.吸入試験と経口試験では自然発生腫瘍に大きな違いを認めず,これまで報告されているF344/DuCrlCrljラットのデータとも大きく異なることはなかった.2年生存率は吸入試験,経口試験ともに77%程度で性差はみられず,JBRCで用いたF344/DuCrlCrljラットは,米国国家毒性プログラム(NTP)で使用されているF344/Nラットでの報告と比べて2年生存率が高かった.その1つの要因として,F344/DuCrlCrljラットでのLGL白血病の低発生率が考えられた.結論:F344/DuCrlCrljラットに自然発生した腫瘍の直近10年の調査では,吸入試験と経口試験で大きな違いはみられず,吸入試験,経口試験ともに,これまで報告されているものと類似した結果であった.また,F344/Nラットの報告と比較して,2年生存率も良好であった.吸入試験でのF344/DuCrlCrljラットの自然発生腫瘍の報告は初めてであり,化学物質の毒性評価に貢献できる.
  • 三澤 朱実, 由田 克士, 福村 智恵, 田中 太一郎, 玉置 淳子, 武林 亨, 日下 幸則, 中川 秀昭, 大和 浩, 岡山 明, 三浦 ...
    原稿種別: 調査報告
    2015 年 57 巻 3 号 p. 97-107
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/15
    [早期公開] 公開日: 2015/03/20
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    目的:従業員食堂を中心とした長期間の食環境介入が野菜類の摂取量に及ぼす効果を検討する.対象と方法:対象は福井県現業系事業所の従業員約1,200人(19–61歳)である.野菜摂取量を増加させるため,日本型の3要素(主食・主菜・副菜(野菜))を組み合わせた食事の摂取を推進した.適切な食物選択を導くための食環境整備として,従業員食堂の全ての献立表示を3色で示した(3要素順に,黄色・赤色・緑色).食事の代金清算時に,3要素を組み合わせて食事を選択するよう栄養教育を実施した(適切選択者).同時に適切選択者の割合も評価した.介入前後に,半定量食物摂取頻度調査法に準じた質問紙調査を実施した.野菜類の摂取頻度と摂取目安量を質問し,1人1日当たりの推定摂取量の平均値を求めた.結果:適切選択者は,介入1年後63.5%から,介入2年後82.1%(p<0.001),介入3年後80.0%(p<0.001)へと有意に増加した.介入3年後では,朝食時(p<0.001),昼食時(p<0.001),夕食時(p=0.011)の野菜,野菜ジュース(p=0.030)の推定摂取量は,有意に増加した.漬物は有意に減少した(p=0.009).これにより野菜類摂取量は,男性では167.3 gから184.6 g,女性では157.9 gから187.7 gに増加したと推定された.考察:従業員食堂を中心とした長期間の食環境介入によって(3年間),野菜の推定摂取量の増加,漬物の推定摂取量の減少が認められ,野菜類の摂取量に望ましい効果が示された.
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