産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
Print ISSN : 1341-0725
59 巻 , 4 号
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原著
  • 三橋 祐子, 錦戸 典子
    2017 年 59 巻 4 号 p. 95-106
    発行日: 2017/07/20
    公開日: 2017/08/18
    [早期公開] 公開日: 2017/06/07
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    目的:地域保健との連携に関する産業看護職のコンピテンシーを明らかにする.対象と方法:事前に質問紙調査および,電話インタビューによって地域保健担当者との連携実施の有無やその内容について確認した上で,より充実した連携活動を実施している産業看護職10名を選択して対象とした.インタビューガイドを用い,半構造化面接法によるインタビューを実施した.分析方法はMayringの提唱する要約的内容分析を用いた.データをコード化した後,「日頃の取り組み」,「連携の実践」,「組織の理解を得るための取り組み」,「連携の基盤となる意識・姿勢・考え方」という4つの側面毎に分け,類似するものをまとめてサブカテゴリー,カテゴリーを生成した.結果:19のサブカテゴリー,9つのカテゴリーが生成された.≪地域保健情報の収集≫,≪地域保健担当者との関係性の構築≫,≪従業員の家族の問題抽出≫,≪従業員・家族と地域保健担当者との結び付け≫,≪地域保健が持つ社会資源の活用≫,≪地域保健との連携の重要性の提示≫といった地域保健との連携における産業看護職の具体的なコンピテンシーが明らかになった.また,≪従業員の人生全体や従業員の家族の要因を捉える姿勢と視点の保持≫,≪産業看護職自ら地域保健との連携を推進する姿勢の保持≫,≪産業看護職の存在意義の認識≫のように連携の基盤となる産業看護職の姿勢や考え方等も明らかになった.考察:これからは従業員やその家族も含めた生活全体,人生全体をみる姿勢や考え方を基盤として地域保健との連携に取り組むことが求められ,産業看護職がこれらのコンピテンシーを習得するための機会が必要であると考えられた.また,研究参加者らは,産業看護職1名体制のような専門職の人的資源が乏しい環境であっても≪地域保健担当者との関係性の構築≫や≪地域保健が持つ社会資源の活用≫等のコンピテンシーを用いながら地域保健と連携し支援の充実を図っていることが伺えた.

調査報告
  • 鈴木 庄亮
    2017 年 59 巻 4 号 p. 107-118
    発行日: 2017/07/20
    公開日: 2017/08/18
    [早期公開] 公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー HTML

    目的:勤務医の長時間労働と健康(心身のストレス・疲弊)の現況を,開業医との比較および同年代の大企業社員との比較によって明らかにすることを目的とした.方法:対象者は,2006と2007年に首都圏の某県医師会主催の産業医実地研修に参加した医師285人のうち,女医,パート医師,THI参加2回目の医師などを除いた,勤務医75人と開業医95人である.調査方法は,心身の訴えや自覚症状,生活習慣など130項目から成る質問紙「健康チェック票THI,Total Health Index」を用い,フェイスシートには,氏名,性,年齢,週労働時間,睡眠時間など既存の項目の他に,勤務・開業医の別や当直回数を加えた.結果:勤務医と開業医の週労働時間の平均値は,それぞれ55.7時間と51.3時間で,週60時間以上の長時間労働者の割合はそれぞれ44.0%と27.4%であった.勤務医は開業医と比べて,喫煙率がやや高く,運動習慣が乏しく,パソコン時間が長く,寝不足を訴える者が多かった.勤務医のTHIの尺度得点の平均値は,長時間労働のため生活不規則性(夜型)が強く,情緒不安定で,不定愁訴が多く,うつ病,神経症,心身症に傾いていた.またTHIの個別質問項目で,勤務医は開業医と比べて「自分の生き方は間違っていたと思う」や「金持ちがうらやましい」者が多く,自負・自尊心の低下がみられた.40,50歳代の勤務医47人と同年代の会社員集団227人とを比較した結果も同様で,週労働時間の平均値は,それぞれ57.0時間と46.0時間で,週60時間以上の長時間労働者の割合はそれぞれ51.1%と6.2%であった.THIの個別質問項目では,勤務医は会社員集団と比べて,仕事がきつい,ストレス状態である,イライラする,憂うつ,寝不足,腰痛あり,などの者が悪い方に高度に有意に多かった.結論:勤務医は長時間・過重労働で疲弊して,神経症およびうつ病の傾向が強くなっており,労働条件の改善と心の健康確保対策が必要と思われた.

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