産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
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60 巻 , 2 号
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原著
  • 吉田 麻美, 三木 明子
    2018 年 60 巻 2 号 p. 31-40
    発行日: 2018/03/20
    公開日: 2018/04/03
    [早期公開] 公開日: 2018/02/01
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    目的:プレゼンティーズムには,仕事のストレッサーに加えて,ワーカホリズムの働き方やうっかり者などと形容される失敗傾向が関連すると考える.また,加齢変化に伴う健康上の問題の増加により,中高年看護師のプレゼンティーズム対策は若年看護師と異なる可能性がある.以上より本研究では,若年看護師と中高年看護師それぞれにおけるプレゼンティーズムに関連する要因を明らかにすることを目的とした.対象と方法:10病院に勤務する全看護師2,006名に無記名自記式質問紙調査を実施し,40歳未満の若年看護師761名,40歳以上の中高年看護師536名を対象とした.プレゼンティーズムは日本語版Stanford Presenteeism Scaleの労働障害指数を,関連要因は仕事のストレッサー,ワーカホリズム,失敗傾向を測定した.労働障害指数を従属変数,関連要因を独立変数とする重回帰分析を行った.結果:健康上の問題がある若年は70.8%,中高年は82.5%であり,労働障害指数は若年の方が中高年と比べて有意に高かった(p < 0.001).また,若年は,「仕事の困難さ(β = 0.28, p < 0.001)」のストレッサーの高さやワーカホリズムの下位尺度である「働き過ぎ(β = 0.18,p < 0.001)」の傾向,「アクションスリップ(β = 0.14,p < 0.01)」および「認知の狭窄(β = 0.11,p < 0.05)」の失敗傾向と有意な関連をみとめた.一方,中高年は,「認知の狭窄(β = 0.29,p < 0.001)」の失敗傾向や「働き過ぎ(β = 0.17,p < 0.001)」の傾向,「仕事の困難さ(β = 0.12,p < 0.05)」および「連絡・コミュニケーション不足(β = 0.13,p < 0.01)」のストレッサーの高さと有意な関連をみとめた.考察:中高年看護師は健康上の問題は増加するが,労働能力が低下するとは限らないことが明らかとなった.また,中高年看護師は若年看護師に比べて,仕事のストレッサーよりも失敗傾向の高さがプレゼンティーズムに関連していた.注意の狭小化により適切な行動がとれない経験は,自身の労働能力低下を自覚しやすいものと考えられる.このような失敗傾向のある者については特に配慮を必要とするとともに,疲労や緊張状態などは注意の狭小化を起こしやすくすることから,これらリスクの低減やミスの起こりにくい作業環境の調整の必要性が求められる.

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