産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
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ISSN-L : 1341-0725
61 巻 , 5 号
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Issue Information
調査報告
  • 新里 なつみ, 永田 昌子, 永田 智久, 森 晃爾
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 61 巻 5 号 p. 141-158
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/03/22
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究では,企業における健康施策決定プロセスと企業・労働者のニーズを踏まえた産業医の介入に関する実態を調査することで,健康施策において企業の意思決定が円滑になされるための産業保健サービスの要素・手法を探索的に調査・検討した.方法:企業における健康施策の立案に関与する10社11名の産業医を機縁法にて選定し,半構造化面接を実施した.Berelson, B.の内容分析に基づき質的帰納的に分析した.結果:本研究のテーマに対応した144カテゴリが形成され,社内健康施策の意思決定プロセス・産業医の介入・産業医の介入に関する補足要素の3要素に整理された.このうち産業医の介入は,「関係性の構築・相互理解の促進」,「根回し・調整」,「仮説に基づくニーズの可視化」,「統合的な企画づくり・提案」の4要素に関連する具体的な介入手法が示された.考察:企業の意思決定が円滑になされるための産業保健サービスの要素・方法として,1)健康施策における企業の意思決定の特徴や意思決定者の前提を踏まえて,合意形成を要する範囲やその影響を把握することや,2)産業保健への認識を高めるために,恒常的に産業保健に関する情報を経営情報へ翻訳しながら,提案を行うことが有効であると考えられた.産業医を中心とした産業保健専門職は,本研究にて明らかとなった手法を,活動の自己評価や改善に活用し,健康施策決定に貢献することが望まれる.

  • 森岡 郁晴, 寺下 浩彰, 宮下 和久, 生田 善太郎, 竹下 達也, 垰田 和史
    原稿種別: 調査報告
    2019 年 61 巻 5 号 p. 159-169
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2019/09/25
    [早期公開] 公開日: 2019/04/27
    ジャーナル フリー HTML

    目的:がんを抱える労働者の治療と仕事の両立支援は十分とはいえない.そのため,本研究では,事業場におけるがんを抱える労働者の治療と仕事の両立支援の取り組み状況を事業場の規模別に明らかにし,がんを抱える労働者に対する職場改善を検討することを目的とする.対象と方法:和歌山産業保健総合支援センター及び地域産業保健センターがこれまでに支援した県内の事業場リストから無作為に抽出した770の事業場を対象に,無記名の質問票を郵送により配布した.質問票は,事業場,支援制度,就労中のがん経験者やがん治療中の労働者(以下,がんを抱える労働者),がんを抱える労働者の復職,がんを抱える労働者の復職や雇用の推進,回答者の職種について尋ねる内容とした.結果:質問票は188事業場から回収された(回収率:24.4%).小規模事業場(労働者数50人未満)のうちがん検診を実施または受診勧奨している事業場は55%であり,この割合は中規模(労働者数50–99人)や大規模(労働者数100人以上)の事業場と比較して高かった.治療しながら働くための支援制度がある事業場は約20%で,「時間単位の有給休暇制度」がある事業場は,中規模や大規模事業場より小規模事業場で多かった.正規労働者に対し病気休職制度がある事業場は,小規模事業場が51%であり,この割合は有意に少なかった.正規労働者に対し病気休職期間中に賃金の支給がある事業場は20%台であった.がんを抱える労働者が職場復帰を希望したら可能な事業場は80%以上であった.復帰が可能な条件は「主治医による復職可能の診断書が提出された場合」が最も多かったが,小規模事業場では「職場の同僚に受け入れ意思がある場合」が多かった.結論:がんを抱える労働者に対する職場改善として,がん検診の受診勧奨,時間単位の有給休暇や病気休職の制度化が重要となることが示された.

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