産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
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62 巻, 4 号
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Issue Information
短報
調査報告
  • 深井 航太, 酒井 咲紀, 伊藤 遼太郎, 伊藤 直人, 小田上 公法, Jhason John J. Cabigon, Paul Mich ...
    原稿種別: 調査報告
    2020 年 62 巻 4 号 p. 154-164
    発行日: 2020/07/20
    公開日: 2020/07/25
    [早期公開] 公開日: 2019/12/06
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    目的:フィリピン共和国の労働衛生に関する制度および専門職育成に関する情報をもとに,日系企業の同国における適切な労働衛生体制の在り方を検討すること.対象と方法:情報収集チェックシートを用いて情報収集を行った.調査の対象として,文献およびウェブサイトによる情報収集とともに,現地事業場,労働衛生を担当する中央行政機関,専門産業医養成カリキュラムを設置する現地教育機関などを訪問してインタビュー調査を行った.結果:フィリピンにおける労働衛生行政は労働雇用省(Department of Labor and Employment)が管掌している.労働衛生に関する具体的な法的要求事項は,労働雇用省が発行している労働安全衛生基準(Occupational Safety and Health Standards)にまとめられている.2018年に制定された労働安全衛生基準順守強化法(共和国法第11058号)により,新たに,違反した場合の罰則規定(罰金)が定められた.労働衛生を担う専門職は,Safety Officerと産業医や産業看護職を含むOccupational Health Personnelに分類されており,労働雇用省の労働安全衛生センターや大学などを中心とした養成が行われている.基本的な医療保険制度,労災補償制度は,政府関係機関であるフィリピン健康保険公社および社会保障委員会によって運営されていた.考察と結論:フィリピンにおいて,労働安全衛生基準を基盤とした労働衛生法令が整備されていることを確認した.また,新たな法律の制定により,企業の労働安全衛生活動の法令順守の徹底が求められている.日系企業が外資系企業として適切な労働衛生管理を実施するためには,全社にわたる方針を示した上で,現地事業場における法令順守と専門性の高い人材の活用を支援するなどの対応が必要と考えられる.

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