産業衛生学雑誌
Online ISSN : 1349-533X
Print ISSN : 1341-0725
ISSN-L : 1341-0725
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
Issue Information
原著
  • 佐々木 那津, 津野 香奈美, 日高 結衣, 安藤 絵美子, 浅井 裕美, 櫻谷 あすか, 日野 亜弥子, 井上 嶺子, 今村 幸太郎, 渡 ...
    原稿種別: 原著
    2021 年 63 巻 6 号 p. 275-290
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究では,医学研究における患者・市民参画(PPI: Patient and Public Involvement)の枠組みを用いて日本人女性労働者の就労上の悩みと期待する職場での研究を把握し,研究の課題発見と優先順位を決定する.対象と方法:日本の女性労働者を対象に,インターネット調査を利用した横断研究を行った.独自の調査票を用いて「女性労働者の就労上課題となる生物心理社会的な要因(身体症状,精神症状,月経の悩み,妊娠・出産の悩み,ワーク・ライフ・バランスなど)」,「女性労働者が活用できる制度の利用状況」,女性労働者が「期待する職場での研究テーマのニーズ」を尋ねた.「就労上課題となる生物心理社会的な要因」と「期待する職場での研究テーマのニーズ」は基本的属性(年齢,配偶者の有無,子どもの有無,未就学児同居の有無,勤務形態,職種)別にχ2 検定および残差分析を行い,また期待する職場での研究テーマとして頻度の高い4項目に関して症状の有無との関連をχ2 検定で検討した.調査は2019年7月に実施した.結果:本調査では416名から回答を得た.就労上課題となる生物心理社会的な要因として,なんらかの就労に支障がある症状を持つ者の割合は,身体症状(89%),月経に関する悩み(65%),精神症状(49%),ワーク・ライフ・バランスの悩み(39%),妊娠出産に伴うキャリアの悩み(38%)の順で多かった.制度利用の状況として,回答者本人の利用率は不妊治療連絡カード(0%),フレックスタイムやテレワーク(1~3%),生理休暇(4%),短時間勤務制度(8%)であった.期待する職場での研究は,「肩こりや腰痛をやわらげる研究」(45%),「女性のメンタルヘルスを向上させる研究」(41%),「月経と仕事のパフォーマンスに関する研究」(35%),「ワーク・ライフ・バランスを向上させる研究」(34%)の順に多かった.20代/30代・配偶者がいない・こどもがいない・フルタイム勤務という要因をもつ対象者では「メンタルヘルス」と「月経」に関する研究への期待が高かった.未就学児同居の対象者では「産後の精神的な支援」「産後の身体的な支援」「産後うつ予防」の研究への期待が有意に高かったが,「ワーク・ライフ・バランス」に関する研究への期待は有意差がなかった.月経の悩みやワーク・ライフ・バランスの課題を抱えていることと,それらの研究を期待することには有意な関連が見られたが,有症状者のうち介入を期待した者の割合はいずれも48%であった.男性労働者にも共通する心身の課題を除くと月経に関する悩みは最も頻度の高い女性労働者の就労上課題となる生物心理社会的な要因であった.考察と結論:就労上困難を感じる症状として月経に関連したものは頻度も高く,女性労働者の健康課題として婦人科に関連した心身の状態は今後研究の対象となることが期待された.しかし,悩みや困難を抱えていることと職場での研究を希望しているかどうかについては,個別の文脈で慎重に検討する必要があると考えられる.

  • 吉川 悦子, 安部 仁美, 横川 智子, 久保 達彦, 立石 清一郎, 森 晃爾
    原稿種別: 原著
    2021 年 63 巻 6 号 p. 291-303
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/25
    [早期公開] 公開日: 2021/01/07
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究の目的は,熊本地震で被災した事業場の産業保健専門職が自身の経験を通じてとらえた,災害時に必要な産業保健専門職のコンピテンシーを明らかにすることである.対象と方法:研究デザインは質的記述的研究である.熊本地震に被災した事業場で産業保健実務に携わり,その後も同じ事業場に勤務する産業保健専門職8名を対象に,半構成的インタビューを実施した.データ分析はMilesらが示す質的データ分析のプロセスに沿って行った.インタビュー逐語録を精読し,災害時の産業保健専門職コンピテンシーに関する内容に着目しつつコード化した.災害サイクルによる対応の視点をふまえながら,コードの同質性,異質性から共通性を見出す中で抽象度を上げてサブカテゴリ,カテゴリを抽出した.分析には質的データソフトウェアNVivo12 Plus for WINDOWSを用いた.本研究は日本赤十字看護大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(2018-083).結果:災害時の産業保健専門職に必要なコンピテンシーとして29のサブカテゴリ,9つのカテゴリが抽出された.災害発生時に求められるコンピテンシーとして【災害によって生じる健康への影響を総合的に把握して本質を見抜く】【時間の経過とともに変わる状況を適切にアセスメントしながら業務の優先順位をつける】【自身の安全や健康を確保しつつできることから取り組み始める】【状況に柔軟に対応しながら効率的な方法を工夫し産業保健実践を継続する】【チームとして各々の役割を発揮できるよう環境を整え協調的な行動をとる】【組織内での産業保健部門の立ち位置を調整しネットワークを活用する】が示された.災害発生時に備え平時から求められるコンピテンシーとして【産業保健専門職の基盤となる個人特性を備え持つ】【社員や会社から信頼される関係性を築く】【災害時の経験を今後の産業保健実践につなげる】が明らかになった.結論:災害時に必要な産業保健専門職のコンピテンシーは,災害発生時に求められるものと発生時に備え平時から求められる2つの側面を有し,産業保健専門職としての多角的なアセスメント力と状況に応じた柔軟な実践力を基盤に,日々の産業保健実践の積み重ねによる事業者・労働者との関係性構築やネットワークによる組織的アプローチを含む,産業保健専門職の戦略的で創造的な思考力から構成されていることが示唆された.

事例
調査報告
  • 佐藤 ゆき, 岩切 一幸, 佐々木 毅, 吉川 徹, 高橋 正也
    原稿種別: 調査報告
    2021 年 63 巻 6 号 p. 310-318
    発行日: 2021/11/20
    公開日: 2021/11/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/11
    ジャーナル フリー HTML

    目的:パートタイム労働者数は年々増加し労働力の確保において欠かせない存在になってきていることから,その健康確保は今後の重要な課題である.そこで本研究ではパートタイム労働者の健康管理の一つである一般定期健康診断(定期健診)の実施状況について検討した.対象と方法:郵送によるアンケート調査を産業(業種)および事業場規模別の層化抽出法により全国14,000事業場を無作為抽出して実施した.解析は回収数4,718件から,不備を除いた4,652件(有効回収率:33.2%)を対象とし,パートタイム労働者は一般社員の所定労働時間の3/4以上(区分1),同1/2以上・3/4未満(区分2),同1/2未満(区分3)に分類した.結果:定期健診の実施率は正社員では97.2%であった.しかし,パートタイム労働者では所定労働時間が短いほど実施率が低く,区分3の者では32.2%であった.また,事業場規模が小さいほど定期健診の実施率は低く29人以下の事業場の区分3の者では27.9%と最小であった.更に,事業主による費用の全額負担の割合は正社員(93.7%)に対し,区分1(90.5%),区分2(87.7%),区分3(85.0%)とも低かった.考察と結論:事業場での定期健診実施率はパートタイム労働者の所定労働時間が短く,また事業場規模が小さいほど低かった.事業場における労働形態の多様化を踏まえた,定期健診のあり方を含む健康確保策対策の拡充が必要と思われた.

資料
編集者への手紙
話題
feedback
Top