産婦人科の進歩
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20 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 井上 正二
    1968 年 20 巻 4 号 p. 243-248
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    Oxytocinと分娩発来機序との関連性を文献的に考察した, 下垂体後葉より種々の刺激により血中に放出されたoxytocinは血清oxytocinaseにより分解されるが, 妊娠進行とともに上昇したそのoxytocinase活性は分娩直前および分娩中に下降しない, それで分娩発来が血清oxytocinase活性低下によるoxytocin作用増強に基因するとは考えられない. 血中oxytocin量測定成績をみても血中oxytocin量と分娩発来とに緊密な関係はみいだされない. 近時oxytocinに対する子宮筋の感受性の変化が注目されている. しかし分娩直前に感受性が上昇して分娩に至るとする考えと, 感受性は妊娠末期より分娩直前にかけほぼ不変であるとする考えがあつて, 分娩発来を完全に説明しえない.
  • 大田 尚司
    1968 年 20 巻 4 号 p. 249-270
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    子宮卵管造影用自動注入器を試作し, 子宮卵管造影時造影剤注入圧を電気的に記録, 同時にimage intensifier, cut film changerにてX線像を得, 圧曲線と比較検討し圧曲の解析を行なつた.
    自動注入器を臨床的に使用するにあたり, 嘴管抵抗, 嘴管先端圧と導入圧との同調の問題, 又造影剤注入速度の問題を検討臨床的に応用出来る事を知り臨床的に応用した. 圧曲線の解析にて子宮卵管各部位の疎通性の程度並びに機能状態を知る事が出来, 圧曲線の解析分類の結果, 正常型, 痙攣型, 閉塞型, 脈管内侵入型と分類出来た. 圧曲線の解析を含む子宮卵管造影法にて従来の造影法より診断的価値を高めた.
  • 三上 護
    1968 年 20 巻 4 号 p. 271-292
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    新生児血清ビリルビン値をLathe-Ruthven氏法に準じた微量定量法により測定し, 分娩様式, 仮死, 頭部出血等各種産科因子の新生児血清ビリルビン値に対する影響について検討した.
    即ち分娩様式別では真空遂娩術例, 骨盤位分娩例, 鉗子分娩例等機械的圧迫を呈したものに高値を示し, 中でも帽状腱膜下出血例, 仮死例はいづれも正常群に比して高値を示した. 以上のことから帽状腱膜下出血による溶血, 又は仮死による二次的な肝障害が高ビリルビン血症の原因となることが推定された.
  • 辻 秀明
    1968 年 20 巻 4 号 p. 293-301
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌患者104例にテレコバルト術前照射を行ない, 摘出リンパ節について, 組織学的, 臨床的検索を行なつた.
    リンパ節転移巣の組織学的変化:2000R~4000R照射例では癌細胞の核濃縮, 膨化, 核膜および核質の溶解, 細胞質の空胞変性, 癌細胞の筋壊が軽度または中等度に, 5000R照射例ではほとんどの癌細胞が崩壊し, 間質結合綴が増殖して転移巣の修復がみられる.
    リンパ節転移頻度1照射線量の増加に従つて減少する傾向がみられ, 特に5000R照射例の転移率はII期癌9.1%, III期癌25.0%で, 非照射例のII期癌21.6%, III期癌60.0%と比較して著減している. 転移率の低下は微小転移巣が破壊, 消失する結果であると考えられ, この仮説は推計学的に有意である.
  • 浜田 春次郎, 西川 潔, 大田 尚司
    1968 年 20 巻 4 号 p. 303-306
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    更年期後の子宮出血患者に於いてその原因を追求するとエストロゲン剤の服用等による事を往々経験する.
    今回私達はこれらエストロゲン綱を含有した市販家庭薬剤に起因したと思われる更年期後の子宮出血患者の症例について検討を加えた結果, これら薬剤の長期連用に起因する事を認めた. 併せて動物小実験を行つた. 即ち去勢白鼠並びに幼若白鼠にこれら市販薬剤を投与し子宮を検するに, 子宮肥大, 増殖像を呈しエストロゲン作用を認めた. こゝに於いて民間保健薬の性ホルモン含有量を記載すると共に高年者の性器出血患者の取扱いに際しこれら医原性要素の存在にも注意すべきことを強調した.
  • 藤本 昭
    1968 年 20 巻 4 号 p. 307-310
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    人魚体とは, 下肢が癒合して単脚となつた下肢癒着奇形を云い, 本邦では極めて稀な奇形とされている.
    私は偶々妊娠8ヵ月で自然早産した児に本症の一例を経験し, 外観上, レ線写真所見により, FörsterのいわゆるSympus Monopusに属するものと思われる.
  • 出木谷 金作, 王 秋雲, 岡野 順子, 蒲生 松助, 城戸 一哉
    1968 年 20 巻 4 号 p. 311-314
    発行日: 1968/07/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    脊椎披裂は稀な奇形であるが, 本症例は1母体より連続3児に発生した極めて稀な症例である. 第1, 第2, 第3児に腰椎部に皮膚欠損を認めた. 第1, 第2児は脳水腫を合併し第3児は無脳児であつた. いづれも病理解剖を行つた. 発生頻度は(0.02%)3とされ. 1250億の分娩に1例と推定される. 発生原因は遺伝, 梅毒, 子宮内炎症, トキソプラスマ症, 機械的影響等がいわれている.
    本症例では梅毒(-), 子宮内炎症(-)トキソプラズマ症(-)で, 染色体も末梢白血球で異常を認めなかつたが, 家系に於て父の従兄弟に脳水腫を1人認めている. 以上その原因は不明であるが, 遺伝関係が濃厚であると考える.
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