全身状態が良く, 合併症が認められない妊婦24人に, 塩酸ケタミンを静注, 筋注, 点滴静注にて投与し, 産科麻酔をこころみた. 同時に分娩後直ちに, 臍静脈血および母体静脈血を採集し, その中のケタミン濃度を測定することにより, 塩酸ケタミンの胎盤移行について観察した.
臨床的に0.8mg-1.0mg/kgの塩酸ケタミンの静注法が, 児に対する影響が少なく, 産科麻酔に適していた.
塩酸ケタミンは胎盤をすみやかに移行しているようであり, 臍静脈中ケタミン濃度と, 母体静脈中の濃度とは, 相関関数γ=0.836050が認められた.
アプガール, スコアと, 臍静脈中のケタミン濃度との間には, 一定の関係が認められなかった.
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