産婦人科の進歩
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25 巻, 2 号
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  • 安田 哲哉
    1973 年 25 巻 2 号 p. 99-125
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    細胞自動節別装置の客観的判定基準設定のために子宮腟部扁平上皮の浸潤癌23例, 上皮内癌12例, 異形成18例, 正常上皮10例の計63例のパパニコロウ染色での子宮頚部擦過塗沫標本上に出現せる各種細胞5, 724個について, Ocularmeterにより核の長径の短径を, Planimeterにより核細胞質比(N-C比)の計測を行ない, 次の結果を得た.
    1. 核の長径と短径の算術平均径は, 中層細胞8.28±1.49μ, 労基底細胞834±1.35μ, 核異型細胞10.19±2.55μ, 悪性細胞(上皮内癌)10.27±2.07μ, 悪性細胞(浸潤癌)11.15±3.08μであった.
    2. N-C比は, 中層細胞16.46±6.52%, 労基底細胞27.65±9.99%, 核異型細胞37.05±12.75%, 悪性細胞(上皮内癌)42.54±10.12%, 悪性細胞(浸潤癌)38.98±14.69%であった.
    3. 長径のみの判定基準では, 16μ以上の細胞は異型細胞, 23μ以上の細胞は異形成か浸潤癌由来の細胞, 28μ以上の細胞は浸潤癌由来の細胞であった.
    4. N-C比のみ判定基準では, N-C比60%以上の細胞は異型細胞, 75%以上は悪性細胞であり, 10%以下は悪性細胞でないといえる.
    5. 核径とN-C比の組み合せによる核径11μ以上, N-C比35%以上の判定甚準では異形成18例, 上皮内癌12例, 浸潤癌23例の全例を陽性として判定し得た.
  • ―交叉熱電対法による検討―
    黒住 晃司
    1973 年 25 巻 2 号 p. 127-145
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    妊娠末期の家兎およびヒト帝王切開例について, 交叉熱電対法により子宮胎盤血流量を測定した. 自然の子宮収縮により子宮胎盤血流量は50%以内の減少を示した. オキシトシンの静注では子宮胎盤血流量は60%以内の減少を示した. 血管収縮剤の静注では, 全身血圧の上昇および羊水内圧の上昇を認め, 同時に子宮胎盤血流量の減少が起こった. 血管拡張剤の静注では, 全身血圧の下降につれて子宮胎盤血管抵抗の減少を認めた. フローセン吸入麻酔では, 血圧下降が軽度の間は子宮胎盤血流量の増加を認めた. ペントレンにおいては, 同じ条件下で著変を示さず, また笑気は特に影響を与えなかった. 以上のことより子宮胎盤血流量に与える諸種の因子を検討し, fetal distressに対する予防と治療の基準を示唆した.
  • 椹木 勇, 田中 正明, 浜田 寧
    1973 年 25 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    走査電顕用試料作製に重要な臨界点乾燥法(Critical point drying method)には, 移行液としてFreon, Carbon dioxideおよびNitrous oxideが使用され, Freon法にはさらに3種類がみられるが, その中で臨界圧が38.2気圧と最も低いFreon 13を使用して人子宮内膜の表面構造を走査電顕で観察した.
    本法では, glutaraldehyde-osmic acidによる二重固定後, 上昇ethanol系列で脱水し, 媒介液としてのDaiflon 113でethanolを置換し, さらにこれを加圧下で液体Freon 13に置換し, 加温・乾燥させるが, 1試料についての操作が20分内外と短かく, かつ比較的低圧であるため, 臨界点を観察しながら操作し得る便利さがある.
    得られた結果は炭酸ガス法に比して線毛などがやや繊細な傾向がみられたが, 粘着・亀裂もなぐ十分実用に供されると認められた.
  • 椹木 勇, 田中 正明, 浜田 寧
    1973 年 25 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    走査電顕用試料の作製に際して最も留意すべきことの1つは, その表面構造を可及的自然の状態に保ちつつ乾燥させ, 観察に供する点にある. この点, 従来から頻用されている空気中自然乾燥法では, 水分または脱水剤が液相から気相に転換するにあたって著明な表面張力による変化ないしは破壊を免れず, 凍結乾燥法においても, 液相から固相, そして気相への転換時に同様の要素が問題となる.
    これに対して臨界点乾燥法においては, 臨界点において液相と気相の境界が消失し, 上述のような張力変化が全く惹起されることなく液相から気相への転換, すなわち乾燥が可能となり, 試料の損傷を排除し得ることとなる. 本法を利用して人卵管粘膜を走査電顕にて観察し, 従来の自然乾燥法による像とは全く異なった線毛あるいはmicrovilliの所見を得たので, 比較検討した.
  • 第1篇 正常子宮内膜表面の微細構造
    大島 正尚
    1973 年 25 巻 2 号 p. 163-180
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    正常人子宮内膜被覆上皮の表面構造を走査型電子顕微鏡的に観察し, 特に無線毛細胞および線毛細胞の周期性あるいは年令的変化について追求した性成熟期では無線毛細胞の細胞遊離縁の膨隆形態, 隣接細胞境界部の形状, 微絨毛の形態および分布, ならびに腺開口部の形態に著明な周期性変化が認められた. また線毛細胞は周期性変化にはきわめて乏しいが, 子宮腔内における分布の密度および形態には部位的な特徴のあることがわかり, 妊卵の着床や精子遊走に対する合目的性が推測された. 閉経期の萎縮性子宮内膜では, 細胞活性の衰退を暗示する所見が得られた.
  • 下村 禎宏
    1973 年 25 巻 2 号 p. 181-192
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    著者は非妊ラット子宮および大腿部皮下, さらに妊娠ラット子宮および大腿部皮下に吉田肉腫細胞を移植して腫瘍環境の相異による腫瘍の性状と, その放射線効果を検討した. 実験方法としては移植後7日目の移植率, 腫瘤直径, 組織像, 3H-Thymidine標識細胞率について検討し, さらにテレコバルト全身照射による1回照射法で, 500Rあるいは2000R照射し, 照射24時間および48時間後の腫瘍細胞につき3H-Thymidine標識細胞とその減少率, 組織学的変性度と, それから求めた非変性率および腫瘤直径とその縮小率を各移植群について検討した.
    非妊ラット子宮移植腫瘍の移植率は88%, 腫瘤平均直径は0.82cmであり, 腫瘤は定型的吉田肉腫の結節型を呈しており, その3H-Thymidine標識率は32.3%であった.
    大腿部皮下移植腫瘍の移植率は87%, 腫瘤平均直径は1.30cmで, 標識率は40.8%であった. 照射後では標識細胞減少率および非変性率は両移植群ともに線量の増加と時間の推移とともに減少することが認められた.
    妊娠ラット子宮移植腫瘍では移植率68%, 腫瘤平均直径は1.16cmで非妊ラット子宮移植腫瘍に比して移植率は低下するが, 腫瘤平均直径は妊娠ラットの方が有意に大であった. また両群の照射効果を比較すると非妊ラットに比し妊娠ラットでは500Rで著しく良好であるが, 2000R照射群では有意差を認めなかった.
    妊娠ラット大腿部移植腫瘍では移植率95%, 腫瘤平均直径は1.31cmで, 非妊ラットとの間には移植率, 腫瘤平均直径ともに有意差を認めなかった. 照射効果についてみると50oR照射群, 2000R照射群のいずれにおいても, 両移植群の間に著名な差を認めなかった.
    次に各移植群の腫瘍内間質血管数を比較すると, 子宮内移植腫瘍の血管数は大腿部移植腫瘍に比し豊富で, 妊娠子宮の血管数は非妊ラット子宮に比し有意に多かった. このことから血管数の増加がひとつの因子として照射効果に大きく関与していると推察された.
    以上のことより同一腫瘍であっても腫瘍環境が異なることによって腫瘍の照射効果が異なることを認めた.
  • 第3報 心理学的観察
    奥山 通雄
    1973 年 25 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    避妊リング利用者について, MASテストを中心として心理学的検索を行なった結果, 十分な指導を行なえば, その多くはほとんど不安もなく長期間でも利用させうることを知った.
    なお, リングについてのアンケートでは, 一般にはIUDに対する関心のうすい点が目立っている.
  • 第4報 レ線学的観察
    奥山 通雄
    1973 年 25 巻 2 号 p. 199-201
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    挿入中のIUDの異常状態をレ線学的に予知しうるならば, いろいろの副作用を未然に防止し得て大変好都合であると考え, 種々検討を重ねたが, 検診時にIUDの下降, 変形などの異常を指摘しうる症例も認められたが, 多くは識別不能であった.
    しかし, 患者と共にレ線撮影の結果について, 毎年リングの存在やさらには装着状況の良好な所見を確認することによって, 長期間装着に対する不安を除去し, 使用中の安心感を助長する点ではレ線撮影は家族計画遂行上大いに役立ったと考えている.
  • 安田 迪之, 江藤 勝磨, 大月 恭範, 田中 正明, 安田 哲哉, 重軒 正宏
    1973 年 25 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
  • 杉本 修, 小西 政長, 金子 義雄, 大島 正尚, 原田 攻, 青地 秀樹, 吉田 正美
    1973 年 25 巻 2 号 p. 209-212
    発行日: 1973/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    子宮脂肪腫は極めてまれな疾患であり, 本邦ではまだその報告を見ない. われわれは最近閉経後歪出血をきたした患者にヒステロスコピーを行ない, 子宮底部から発生した粘膜下腫瘤を発見した. 外観および血管走行から粘膜下筋腫として子宮全摘術を施行したが, 病理組織学的に純粋型脂肪腫であることが判明した. 欧米の文献を渉猟しても, これまで33例の報告しかなく, 特に粘膜下脂肪腫はわれわれの症例が第2例目である.
    これまで報告された症例をもとに, 発生学, 病理組織学, 臨床症状などについて考察を試みた.
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