産婦人科の進歩
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31 巻, 2 号
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  • (免疫学的手法を用いての検討)
    本田 禎伸
    1979 年 31 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    奇胎娩出後に続発する絨毛性腫瘍の診断は, 最も高い診断指標となるhCGの測定技術が進歩している現在でも最低1ヶ月を要する. 絨毛性腫瘍のみならず悪性腫瘍の治療効果を向上させるには早期診断, 早期治療が望まれる. 著者は奇胎娩出前後の10例の患者の細胞性免疫能を連続測定した. その結果PHA刺激によるリンパ球幼若化能は, 続発変化発症群, 非発症群の間に有意差はなかったが, 患者血清中の免疫抑制効果は, 続発変化発症群では有意に強く, またすでに奇胎娩出前, すなわちmole in uteroの状態で, 強い活性を示す傾向が認められた. このことは今後奇胎娩出後における続発変化発症の予後を判定し得る可能性を示唆するものである.
  • (子宮頚癌患者を対象として)
    中森 宏
    1979 年 31 巻 2 号 p. 117-127
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    本研究は子宮頸癌患者を対象として, T細胞の機能分化に重要な役割を演ずる胸腺の機能を検討することから, 担癌個体の癌進展にともなう免疫不全状態発現に関する原因論的解析を企てたものである. まず, 可及的に純化した仔牛胸腺液性因子を用いT細胞の分化成熟の促進を検討する実験系の設定を企てた. ついで, その系を用い子宮頸癌患者におけるT細胞の動態を観察した. その結果, 初期子宮頸癌患者においては, 液性因子添加による末梢血リンパ球のCon Aに対する反応性は著明な上昇を示し, 癌の進行にともない, その反応性の上昇は減弱する傾向がみられた.
    以上の成績から, 初期子宮癌患者において, すでに胸腺機能の低下がみられ, 末梢血中において未熟なT細胞の蓄積が起こり, 癌の進行とともに骨髄におけるリンパ球産生能の低下がそれに付加される状態になると推論された.
  • 万井 正章
    1979 年 31 巻 2 号 p. 129-138
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    50例の性成熟期にあるヒト卵胞を用いて, ステロイド産生能動態の酵素組織化学的指標となる3βHSD, G6PDH活性さらにMAO活性をも含めて, 原始卵胞から排卵に至るまでの卵胞成熟過程のどの時期に, どの卵胞構成成分にこれらの酵素活性が初めて認められ, さらにそれらの機能が卵胞成熟ならびに排卵にむけて, どのように変化するのかといった点を酵素組織化学的に検討した.
    直径1.0mm前後の卵胞の内莢膜細胞に3βHSD活性がみられることから, この時期にestrogen産生が開始され, 排卵前の直軽10.0mm以上の卵胞の顆粒膜細胞にやはり同酵素活性がみられることから, この時期にprogesterone産生が開始されると考えられる. またMAO活性は3βHSD活性と相関関係を有し, ステロイド産生能の酵素組織化学的指標となりうる.
  • ―とくにそのFalse negative rateについて―
    野田 定, 岸上 義彦, 橋本 良夫
    1979 年 31 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
    子宮がん集検の目的で自己採取スミア法を用いた大阪府下某検診センターでの成績と, 大阪府立成人病センター婦人科外来での患者に対する医師による直接採取スミア法の成績とを, 最終組織診断が子宮頸部扁平上皮内がん, 初期浸潤がん, 浸潤がんであった症例に限ってそれぞれのfalse negative rateを算出したところ, 医師直接採取スミア法のそれは21.4%, 自己採取スミア法では8.1%であった. 検討対象集団, 検討時期および期間, 検討方法がそれぞれ異なるのでこの両者のfalse negative rateを直ちに比較することは出来ないが, がん専門病院外来における初診時の細胞診断の困難さを是定するとともに, 従来よりの自己採取スミア法に対する低評価を是正する成績を得た.
    以上のことから, 自己採取スミア法は細胞診自動診断装置に適用されるべき大量の検体の採取ならびにその均一化に役立ち, かつ, false ncgatlve ratcの比較的低い方法として, 今後, 器具の改良と共にさらに用いられるべきものと考える.
  • 1979 年 31 巻 2 号 p. 145-171
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2011/10/11
    ジャーナル フリー
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