IV期2例・III期4例の子宮頸癌患者に腹膜外式リンパ廓清後, 卵巣動静脈・内腸骨動脈分岐部, 内腸骨動脈の子宮・膀胱・腟・外陰の各動脈を除く枝および内腸骨静脈の子宮静脈流入部より中枢側を結紮し, 内腸骨動脈の結紮部より末期にマイトマイシンC40~60mgを注入してプーリングさせ, その後1ヵ月毎に骨盤血管造影を行い主として中仙骨動脈より副血行路が形成される数ヵ月後にTelecobalt6400~7000R追加した.
この方法では側・後腹膜外腔に硬い瘢痕癒着を形成するため腫瘍縮小率での効果判定が不可能なため, コルポスコープ診下に細胞診, 組織診を最初の二ヵ月は一週毎に, その後は一ヵ月毎に反復して経過をみると共に生存年数で予後を判定した. 細胞診, 組織診では経膣的に採取可能な範囲で3~5週後には悪性はみられなくなったが, IV期の1例は4ヵ月後に, 他のIV期1例とIII期の2例は9ヵ月後に再び悪性を認めた. 後者の1例は再発後広汎全別の目的で再開腹し癒着強度のため単純全別にとどまったが, この化学療法で治癒せず残存した癌組織が副血行形成につれ増殖を再開するものと思われ, IV期の2例はこの方法で侵達し得ない部位では侵潤が既存するために, III期の2例は濃度依存性の抗癌剤であるMMCの量不足が原因と考えられた.
副障害については全例に強度の脱毛, 白血球減少・水腎症をみ, 1例に腹膜外膿瘍を形成し, 両側に腎水腫を来したIV期の2例は共に腎不全で2年以内に死亡したが, III期の3例は再発なく6年3ヵ月, 4年, 2年4ヵ月生存し, 1例は再発後Telecobaltの追加で1年3ヵ月生存している.
抄録全体を表示