産婦人科の進歩
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51 巻, 6 号
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  • 喜多 伸幸, 後藤 栄, 廣瀬 雅哉, 和久田 晃司, 石 紅, 竹林 浩一, 高倉 賢二, 野田 洋一
    1999 年 51 巻 6 号 p. 551-561
    発行日: 1999年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    マウス初期胚・マクロファージ共培養系ならびに胞胚移植系を用い,共培養が移植後の胚発生効率に及ぼす影響を検討した.また,培養によって得た移植胚の超微形態学的変化をin vivo胚と比較し検討した.過排卵処理により得られたマウス前核期胚を,2種の基本培養液;0.3%BSA+BWWおよび0.3%BSA+α-MEM(control群),ならびにそれぞれの基本培養液+モルモット腹腔マクロファージ(co-culture群)の4条件下にてそれぞれ培養を行った.control群における胞胚率は32 .0%(40/125;BWW)および48.1%(26/54;α-MEM)であったのに対してco-culture群ではそれぞれ77.8%(123/158),85.2%(52/61)と有意に改善された.しかし,引き続いて偽妊娠マウスに移植を行ってもco-culture群(3.7%,2/54;BWW.,33.3%,11/33;α-MEM)は,control群(3.7%,2/54;BWW,27.2%,9/33;α-MEM)に比して有意な着床率の改善を示さず,さらに,in vivo胚の高い着床率(52.8%,75/142)にははるかに及ばなかった.見かけの発生効率の改善と,これに伴わない低い着床効率のギャップの原因を検索するため行った透過型電子顕微鏡による胚の超微形態学的検討では,胚発育促進効果が認められた共培養胚においても,また基本培養胚においても,invivo胚と比しミトコンドリアは高率に変性所見(クリスタの崩壊,ミエリン形成)を呈しており,さらにそのelectron dense matrixが高度に淡明化していることから,ミトコンドリアの機能的障害の存在を示唆する所見が得られた.以上のことから,胚発育促進効果をもたらす共培養系を導入しても,着床率の改善には至らなかった一因として,ミトコンドリアの変性・機能障害の関与が推察される実験的根拠が得られた.〔産婦の進歩51(6);551~561,1999(平成11年11月)〕
  • 堤 明裕, 近藤 良介, 山越 統雄, 斉藤 滋子, 中村 滋, 尾崎 美紀, 安田 勝彦, 神崎 秀陽
    1999 年 51 巻 6 号 p. 562-567
    発行日: 1999年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    症例は12歳の女児で,下腹部痛と便秘にて小児科を受診した.当初は下剤にて軽快したが,4日後に再び下腹部痛にて来院した.小児科では確診がつかず,コメディカルによる腹部超音波検査が施行されたところ,膀胱背側に細かい点状エコーを有する嚢胞様病変が認められた.病変の内容は・患児のわずかに拡張した子宮と連続しており,子宮膣留血腫が疑われてただちに当科に紹介された・外来での外陰部所見では処女膜は完全に閉鎖しており,液がわずかに透見され,本症を確診し,外来にて穿刺小切開を施行して約300mlの暗褐色の貯留血を排除した.急速に症状は改善され,全身所見ならびに内分泌学的検索も異常なく,術後18日目の超音波検査にても膣腔,子宮腔に拡張等の異常所見を認めず,術後42日目に月経の発来をみた.本症例では腹部単純X線撮影と超音波検査以外の画像診断を併施することもなく,また入院の必要もなく終始した.以上のことから婦人科的疾患に対するコメディカルの超音波検査の有用性を確認した.〔産婦の進歩51(6);562~567,1999(平成11年11月)〕
  • 片山 和明, 水谷 不二夫
    1999 年 51 巻 6 号 p. 568-572
    発行日: 1999年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    兵庫県下の帝切の現状を知る目的で,年間分娩数が250例以上あると推定される98産婦人科施設に1997年の1年間における分娩および帝切に関するアンケート調査を行った・回答数は72で,回収率は73.5%であった.アンケート参加施設におけるこの間の総分娩数は34152例でそのうち4652例に帝切が行われ,帝切率は13.6%であった.また施設別の平均帝切率は14.0%であった・帝切率は常勤医師数の多い施設,NICUをもつ施設で高い傾向にあった.帝切の適応としてもっとも多いのは前回帝切であり,これに骨盤位,CPD,胎児仮死がつづいた.また,前回帝切,骨盤位,多胎の施設別平均帝切率はそれぞれ845%,7&1%,55.9%であり,症例別帝切率もほぼ同様であった.なお,前回帝切,骨盤位の帝切適応については,帝切への傾向が強いものの施設問で方針に大きな差がみられた.〔産婦の進歩51(6);568~572,1999(平成11年11月)〕
  • 高原 得栄, 坂井 昌弘, 池田 篤, 桜井 幹己
    1999 年 51 巻 6 号 p. 573-578
    発行日: 1999年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    今回,われわれはまれな子宮頸部非ポジキンリンパ腫を経験したので報告する.症例は86歳で性器出血を主訴に当科を受診した.内診所見として子宮頸部腫大と子宮傍結合織の硬結を認めた.子宮頸部・体部細胞診は陰性で子宮頸部生検では中型の胚中心細胞様細胞がびまん性に増殖しており,リンパ球細胞表面マーカーによる免疫組織化学的検索で,B細胞マーカーであるL26が陽性,T細胞マーカーであるUCHLIが陰性で,腫瘍細胞の病理組織診断はB-cell lymphoma,diffuse mediumsized type(LSG分類)であった.CT,MRI,Gaシンチグラフィーの結果,臨床進行期は、AnnArbor分類IIE期であった.治療として化学療法(CHOP変法)を行い,3コースの化学療法終了時に治療効果の評価をしたところ,MRIで子宮の病巣は著明に縮小していた.リンパ腫の化学療法に対する反応が良好であったためCHOP変法を2コース追加した.計5コースの化学療法後,Gaシンチグラフィーで異常所見がみられず,子宮頸部生検でリンパ腫組織は認められなかった.化学療法により臨床的寛解が得られ,寛解導入後約8ヵ月間,再発徴候は認めていない.〔産婦の進歩51(6);573~578,1999(平成11年11月)〕
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