産婦人科の進歩
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52 巻, 2 号
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  • 後藤 栄, 高倉 賢二, 竹林 浩一, 増田 善行, 中西 桂子, 廣瀬 雅哉, 木村 俊雄, 秋山 稔, 野田 洋一, 山本 嘉昭, 喜多 ...
    2000 年 52 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    当科では1998年4月にIVF-ETプログラムにおいて採卵日をあらかじめ設定する採卵日固定法(固定法)を導入した.同法は採卵日を月~ 水曜日に固定し,採卵から胚移植までを金曜日までに終了させることにより,週末の採卵・胚移植を避け,患者ならびにIVF-ETに携わるスタッフの負担の軽減を図ることを目的として開発された卵巣刺激法である.本研究では,卵巣刺激開始後の卵胞発育にあわせて採卵日を決定する従来法と,固定法との問で,キャンセル率,受精率,臨床妊娠率などについて比較検討を行った.従来法は1996年1月~1997年12月にIVF-ETを施行した30症例,52周期を対象とし,固定法は1998年4月~1999年6月に施行した22症例,31周期を対象とした.卵巣刺激法は,従来法ではshort protocol下に月経周期3日目からhMG(FSH)を投与し,secondleading follicleの長径と短径の合計が35mmを超えた時点でhCG5000単位の投与を行った.固定法ではlongProtoco1下に予定した採卵日の11日前よりFSH2251Uを4日間,ついでhMG 150IUを5日間投与し,刺激9日目にhCG5000単位を投与した.従来法および固定法において,それぞれキャンセル率は21.1%,19.4%であった.臨床妊娠率は13.9%,39.1%であり固定法のほうが有意に高率であった.また固定法では88.0%が予定採卵日に採卵ができた.流産率,多胎妊娠率,OHSS発症率などの合併症には差を認めなかった.固定法は当科における従来法と比較して有意に高い妊娠率を得ることができ,また採卵日があらかじめ設定できるため患者ならびにIVF-ETに携わるスタッフの負担の軽減を図ることが可能であり,有用な卵巣刺激方法であると考えられた.〔産婦の進歩52(2);115~119,2000(平成12年3月)〕
  • 笠原 恭子, 高倉 賢二, 竹林 浩一, 木村 文則, 中西 桂子, 野田 洋一
    2000 年 52 巻 2 号 p. 120-131
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    性ステロイドホルモンとヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が,ヒト子宮内膜間質細胞(ESCs)の脱落膜化に及ぼす影響を検討した.hCGは着床期の胚から分泌される主要なホルモンであるだけでなく,不妊患者の黄体期治療薬として頻用されていることから,hCGの脱落膜化に及ぼす影響の解明は,着床期子宮内膜に対する作用を知るうえで重要であると思われた.まず,ESCsに17β 一エストラジオール(E2)とプロゲステロン(P)を加えて培養し,ESCsの形態変化および培養上清中のPRL値上昇を惹起することによって,ESCsのznvitro脱落膜化の系を作製した.invitro脱落膜化が起きるためのE2,Pの至適濃度は,それぞれ10nM,100nMであった.一一方,hCGをESCsに加えたところ脱落膜化は起こらず,E2+Pによる脱落膜化を促進することもなかった.さらに,高濃度のhCGは,E2+Pによる脱落膜化を阻害した.また,hCGによって脱落膜化が起きるとする報告も散見され,この場合,hCGにより産生されるcAMPが脱落膜化を誘発するものと考えられているが,cAMP誘導体のdb-cAMPはinvitroでESCsの脱落膜化を惹起しなかった.今回の実験結果から,高用量のhCG投与による黄体期管理は,子宮内膜の脱落膜化を阻害して着床に不利に働く可能性が示唆された.〔産婦の進歩52(2);120~131,2000(平成12年3月)〕
  • 中岡 幸治
    2000 年 52 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    妊孕現象に伴い昇圧物質に対する不応性がみられることはよく知られている.そして少量のアンギオテンシンーII(A-II)の投与では子宮血流量が増加することも認められている.そこで妊娠家兎を対象としてA-IIの子宮動脈血流量への影響について検討するとともに,その血流増加作用機序についても検討した.子宮動脈血流量は電磁血流計により測定した.A-II は80ng/kg/min.で10分間投与した.妊娠17~22日目の家兎を2群に分け、1群ではL-nitro-N-arginine(LNNA)投与後とその後大量のL-arginine(LArg)投与後のA-IIに対する血圧,子宮動脈血流量の変動をこれら薬物投与前と比較した.II群ではibuprofen(IBPF)投与後とその後LNNA投与後のA-IIに対する血圧,子宮動脈血流量の変動をこれら薬物投与前と比較した.その結果,1群においては母獣血圧はA-Hにより上昇したが,各薬物投与前後で有意差はなかった.子宮動脈血流量はA-IIによりLNNA投与前は40.7±15.9%増加.LNNA投与後は15.1±5.3%減少.そしてL-Arg投与後には15.5±2.4%増加した.さらに,子宮動脈血管抵抗はA-IIによりLNNA投与前は11.3±7.5%減少.LNNA投与後は50.3±14.3%増加.そして,L-Arg投与後は12.2±6.1%増加した.II群においては母獣血圧はA-IIにより平均血圧にしてIBPF投与前には15.7±3.1%上昇.IBPFおよびLNNA投与後は26.5±5.6%上昇した.子宮動脈血流量はA-IIによりIBPF投与前は23.3±9.3%増加.IBPF投与後には16.0±5.5%の増加.LNNA投与後には32.3±0%減少した.さらに子宮動脈血管抵抗についてはA-Hにより4.5±6.2%減少.]]3PF投与後には7.9±5.7%増加.0方,LNNA投与後には97.7±25.5%増加した.以上のことより家兎妊娠中期にはA-IIにより子宮血流量は増加し,その増加作用にはnitricoxideが大きく関与することを認めた.〔産婦の進歩52(2);132~138,2000(平成12年3月)〕
  • 峯 眞紀子, 小嶋 哲矢, 広瀬 多満喜, 志村 研太郎, 伏見 尚子
    2000 年 52 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
    薬物療法を必要とされていた家族性高脂血症IIa(家族性高コレステロール血症)症例において,挙児希望のため薬物療法を一時中断していたところ妊娠成立となった.妊娠初期には,食事療法のみを行い薬物療法は再開せずに管理を行い得たが抗高,妊娠20週より急激な血清脂質の上昇のため,脂血症剤の内服を余儀なくされた.妊娠期間を通じ血清脂質は高値であったが脂血症,黄色腫などの高帝による合併症は認めず,胎児胎盤機能に問題はなかった.妊娠38週,児頭骨盤不均衡のため王切開術にて児を娩出した.児はAFDであり,出生時に行った児の血清脂質は異常高値を認めずその後の発育も良好,であった.家族性高脂血症は,比較的頻度の高い疾患であるが,本症の及ぼす妊娠中の母児への影響は明らかではない.われわれは,正常値を大きく逸脱する高脂血症は母児の予後に悪影響を与えると考え事療法に加え抗高脂,食血症剤の投与を行い母児ともに良好な結果を得た.妊娠中の脂質の上昇の母体長期予後への影響はいまだ明らかになっていない.また,抗高脂血症剤の胎児,新生児への影響も症例数が少なく明らかではない.今後,症例を集積することにより,妊娠中の母児の管理応,薬物療法の適について一定の指針が確立されることが望まれる.〔産婦の進歩52(2);139~142,2000(平成12年3月)〕
  • 2000 年 52 巻 2 号 p. 143-188
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
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