産婦人科の進歩
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53 巻, 2 号
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研究
原著
  • 出田 和久, 山辺 晋吾, 大森 伸哉, 丸尾 猛
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 53 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/09/27
    ジャーナル 認証あり
    【目的】インテグリンαv·β3は子宮内膜間質細胞では月経周期を通じて発現しているのに対して, 子宮内膜上皮細胞では着床期にのみ発現し, 初期着床に関与している可能性が注目される. そこで子宮内膜におけるインテグリンαv·β3発現の調節機構を調べる目的で子宮内膜の間質細胞と上皮細胞を分離培養し, 性ステロイド添加の影響を検討した. 【方法】増殖期正常ヒト子宮内膜組織を5例の子宮筋腫患者の同意のもとに採取し, コラーゲナーゼ処理後, マイクロメッシュの通過性の違いと培養ディッシュへの接着性の違いを用いて上皮細胞と間質細胞に分離した. それぞれの単離培養系に培養開始24時間後より17β-estradiol(E2) 1ng/ml, progesterone(P4) 100ng/mlを添加し, 添加72時間後にインテグリンαv·β3の発現を免疫細胞染色法およびWestern blot法により調べた. 【結果】培養子宮内膜間質細胞でのインテグリンαv·β3の蛋白発現は少なく, 性ステロイド添加の影響を受けなかった. 培養子宮内膜上皮細胞でのインテグリンαvの蛋白発現量はE2の添加により増加し, E2+P4同時添加によりさらに増加することを認めた. 他方, 培養子宮内膜上皮細胞でのインテグリンβ3蛋白発現はE2添加により増加したが, E2+P4の添加時にはE2単独添加時に比較して低下する傾向を認めた. 【考察】正常ヒト子宮内膜上皮細胞におけるインテグリンαv·β3の発現は性ステロイドによって調節され, 性ステロイドはインテグリンの発現を介して着床に関与することが示唆された. また, 子宮内膜間質細胞のインテグリンαv·β3の発現に対しては性ステロイドの関与は少ないものと思われた.
  • 横田 光, 山辺 晋吾, 船越 徹, 丸尾 猛
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 53 巻 2 号 p. 92-98
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/09/27
    ジャーナル 認証あり
    Insulin-like growth factor (IGF)は卵胞発育に必須の因子である. このIGF作用を修飾するIGF binding protein (IGFBP)はIGFBP-1が発育卵胞に, IGFBP-2, -4は閉鎖卵胞に発現することが報告されている. そこでIGF-IGFBP系の卵の成熟と受精後の胚発育における役割を検討する目的で, 体外受精の採卵時に患者の承諾を得て卵胞液を採取し, 卵胞液中のestradiol (E2), testosterone (T), total IGF-I, free IGF-I濃度を測定した. また, 125I-IGF-IIを用いたWestern ligand blotにより, 卵胞液中と血漿中のIGFBPプロファイリングを行い, バイオイメージングアナライザーを用いて定量化した. 本研究では, 得られた卵胞液が含んでいた卵の成熟度により卵胞は成熟(M)群と未成熟(IM)群に分け, また受精後の胚発育程度により胚発育良好(HP)群と胚発育不良(LP)群に分けて, 卵胞液中のホルモン濃度, IGFBP組成を各群間で比較検討した. 卵胞液中E2, T濃度は, M群とIM群の間, HP群とLP群の間で有意の差がなかった. 卵胞液中total IGF-I濃度はIM群に比較してM群で高く, またHP群でLP群に比較して高値を示した. 卵胞液中free IGF-I濃度はM群でIM群に比較して高値を示したが, HP群とLP群の間には有意の差を示さず, むしろHP群で低値を示す傾向にあった. 卵胞液中IGFBP-2, -3, -4はIM群に比較してM群で有意に高値を示した. また, 卵胞液中IGFBP-1, -2, -4はHP群でLP群に比較して明らかに高値であった. 卵胞液中IGFBP-2はどの群の卵胞においても血漿レベルより高値を示した. これらの成績より, 成熟卵を含む卵胞や胚発育が良好である卵を含む卵胞ではtotal IGF-I濃度, IGFBP濃度が未成熟卵を含む卵胞や受精後の胚発育が不良な卵を含む卵胞での値に比較して高く, IGF-IGFBP系は卵の成熟と, 受精能獲得に重要な役割をもつことが示唆された. また, IGFBP-2は血漿レベルより卵胞液中レベルが高く, 排卵直前には卵胞局所で産生されていることが推測される.
  • 常 玲
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 53 巻 2 号 p. 99-109
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/09/27
    ジャーナル 認証あり
    抗癌剤耐性化機構を解析する目的で, ヒト卵巣癌細胞株MCASおよびヒト子宮頸部扁平上皮癌細胞株ME180から, シスプラチン(CDDP)耐性株を樹立し, その耐性化機構を解析した. 両細胞株から同時にCDDP長期暴露法によりCDDP耐性細胞を誘導し, 限界希釈法により単細胞由来のCDDP耐性株を樹立した. CDDP耐性株は親株よりも50%細胞致死濃度が5∼125倍高く, CDDP誘発DNA断片化に耐性を認めた. MCAS由来CDDP耐性株は7株確立し, 5-フルオロウラシル(5-Fu)および4-hydroperoxycyclophosphamideに交差耐性を示し, 既知の多剤耐性遺伝子産物であるMDR-1, MRP, LRPの異常高発現を認めた. 一方, ME180由来CDDP耐性株は6株確立し, 今回検討した8種類の抗癌剤すべてに強い交差耐性を認めたが, MDR-1, MRP, LRPの発現には特徴的な変動を示さなかった. 同じ方法で樹立したにもかかわらず, CDDP耐性化に伴う遺伝子発現の変化はMCAS株とME180株で大きく異なっていた. これらのCDDP耐性株は, 抗癌剤耐性化機構の解析と, 耐性化克服法の検討に役立つと考えられる.
臨床研究
  • 生田 明子, 堀越 順彦, 神崎 秀陽
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 53 巻 2 号 p. 110-114
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/09/27
    ジャーナル 認証あり
    鉗子分娩術は, 吸引分娩術, 帝王切開術とならぶ急速遂娩術の1つである. 近年, 吸引分娩術の普及とともに各施設での鉗子分娩術の件数は減少しているが, 日本母性保護産婦人科医会において鉗子分娩術が急速遂娩時の選択肢の1つとして見直されつつある. そこで, 今回当院において最近5年間(平成7年1月∼11年12月)に施行した頭位鉗子分娩術を検討した. 【方法】同一術者によるNaegele氏鉗子による鉗子分娩術75例と自然分娩75例の計150例について, 牽引を主とした出口·低位鉗子51例と回旋が加わる中位鉗子24例を自然分娩と比較し, 母体, 出生児に及ぼす影響を検討した. 【結果】1)自然分娩に比べて, 鉗子分娩では分娩時出血量が多かったが, 重篤に至るものはなかった. 2)出生児に対して, 中位鉗子施行時, 頭蓋内出血を1例認めたが, 可逆的で発達遅延にはつながらなかった.
    以上より, その適応および要約を守って施行する鉗子分娩術は危険ではないことが示唆された.
  • 豊田 進司, 河 元洋, 井谷 嘉男, 山上 惠三, 平岡 克忠
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 53 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/09/27
    ジャーナル 認証あり
    当院で経験した子宮体部癌肉腫4例の臨床病理的特徴を明らかにするために後方視的に検討した. 最近10年間に扱った子宮体癌症例は95例で, うち4例(4.2%)が癌肉腫であった. 患者の年齢は60, 66, 69および75歳で, 平均年齢67.5歳であった. 主訴は全例不正性器出血であった. 既往歴では乳癌, 糖尿病をそれぞれ1例ずつ認めた. 術前の体部細胞診では3例が陽性で, うち2例が類内膜腺癌, 1例が内膜間質肉腫であった. 一方, 術前の内膜生検診断は内膜間質肉腫が2例, 類内膜腺癌と癌肉腫がそれぞれ1例であった. また全例に手術が施行され, 3例には術後追加療法として化学療法, 放射線治療, 両者併用がそれぞれ施行された. 腺癌部の分化度は高, 中, 低分化型が各1例, 2例, 1例であった. 進行期はI期2例, III期2例で, 転帰は腺癌部が中分化型であった進行期Ib期の1例のみが4年生存しているが, あとの3例は追加治療にもかかわらず肺転移が出現した. その後の治療にわずかに反応したものの結局, 術後10ヵ月, 1年4ヵ月, 2年5ヵ月で死亡した. 子宮体部癌肉腫では文献的記録は少ないものの肺転移はまれではないと考えられ, 初回治療後の経過観察においては胸部X線撮影などによる検索が重要と思われる.
臨床
臨床の広場
今日の問題
学会
第102回近畿産科婦人科学会周産期研究部会記録
「Preterm PROM」
第102回近畿産科婦人科学会内分泌・生殖研究部会記録
「エストロゲンの性器外作用」
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