産婦人科の進歩
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58 巻, 4 号
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研究
臨床研究
  • 岩さき 武輝, 那須 芳, 森 洋一, 森 治彦, 小畑 義, 安田 迪之, 武部 力, 寺西 二郎
    2006 年 58 巻 4 号 p. 339-344
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル 認証あり
     京都府医師会では,京都府の子宮がん検診事業に参加している5ヵ所の検査所から毎月無作為に抽出された陰性標本を細胞診専門医により精度管理しており,場合により医療機関や検査所に注意指導を行っている.子宮がん検診事業における細胞診の精度管理について,過去4年間の2,694例の陰性標本の検鏡で指摘された810項目では,染色不良がもっとも多く(220項目,27.2%),ついで判定不一致(163項目,20.1%),サンプリング不良(158項目,19.5%)であった.京都府医師会子宮がん検診委員会による子宮がん検診事業参加の医療機関および検査所に対する外部精度管理として,子宮頸がんについては1978年より,子宮体がんについては1989年より独自に実施してきた.京都府医師会が全国に先駆けて実施してきたこの細胞診の精度管理は,検診事業に関わる医師と細胞検査士へのフィードバックとしてぜひ必要と考えられ,今後も発展的に継続したいと考えている.〔産婦の進歩58(4)339-344,2006(平成18年11月)〕
症例報告
  • 田中 一範, 加藤 稚佳子, 中山 毅
    2006 年 58 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル 認証あり
    腹腔鏡手術を行った骨盤内血腫の1例を経験したので報告する.症例は19歳の女性.腹痛,不正出血を訴え救急受診.内診,画像所見などから卵巣腫瘍茎捻転による内出血,出血性卵巣嚢胞,内膜症嚢胞などを疑った.翌日,症状が増悪したため,腹腔鏡で観察,手術を行った.骨盤内,子宮右側から直腸右側にかけて血腫を認め,これを順に取り除いたが明らかな出血源はみつけられなかった.病理組織で血腫表面に上皮成分を認めた.骨盤腹膜に内膜症病変(散布状黒斑)を認め,これより採取した生検組織に間質細胞と思われる細胞塊が見られた.血腫の原因は不明であるが,腹膜表面の内膜症病変からの出血による血腫,原因不明の広靭帯内血管の破綻による血腫,卵巣出血が広靱帯内へ進展し血腫を形成した可能性などが考えられた.なお,血腫除去により痛みは消失し,術後経過も順調である.〔産婦の進歩58(4)345-350,2006(平成18年11月)〕
  • 安田 勝行, 植田 政嗣, 寺井 義人, 金村 昌徳, 西山 浩司, 恒遠 啓示, 大道 正英
    2006 年 58 巻 4 号 p. 351-355
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/28
    ジャーナル 認証あり
    子宮頸部すりガラス細胞癌(glassy cell carcinoma : GCC)は全頸癌の 1~2 %とまれであり,放射線療法や化学療法に対して抵抗性を示すことから予後不良とされている.今回われわれは動注化学療法後に根治手術を行い,放射線化学療法を追加して予後良好であったGCCIIIb期の1例を経験したので報告する.症例は37歳の未妊婦で不正性器出血を主訴に近医を受診し,頸癌の疑いで当科紹介となった.初診時,子宮腟部はカリフラワー状の易出血性腫瘤により占拠されており,右傍結合織に骨盤壁に達する抵抗が触知された.頸部擦過細胞診はクラスV,生検組織診でGCCが検出された.GCCIIIb期との診断で,動注化学療法(CDDP:100mg + MMC:20mg + THP:20mg + 5-FU:500mg)2コースを行ったところ,腫瘍の著明な縮小がみられたため,広汎性子宮全摘出術,両側付属器摘出術および骨盤リンパ節郭清術を施行した.追加治療として全身化学療法(CDDP:20mg + 5-FU:300mg 5日連続投与)3コースを併用して全骨盤照射50.4 Gyを施行した.治療終了後4年が経過しているが,現在まで再発徴候は認められない.術前動注化学療法,根治手術,術後放射線化学療法からなる集学的治療はGCCの予後向上に役立つ可能性がある.〔産婦の進歩58(4):351-355,2006(平成18年11月)〕
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第114回近畿産科婦人科学会第88回腫瘍研究部会
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