産婦人科の進歩
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59 巻, 1 号
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研究
症例報告
  • 井庭 貴浩, 井庭 裕美子, 板持 広明, 津崎 恒明
    2007 年 59 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/31
    ジャーナル 認証あり
     子宮体癌と卵巣癌との同時発生(重複癌)はまれである.子宮内膜と卵巣に同時に癌がみられた場合は,子宮体癌の卵巣転移,卵巣癌の子宮内膜転移あるいは両者の重複癌の可能性があり,診断に苦慮する場合も少なくない.さらに,転移性癌と重複癌では臨床的取り扱いやその予後が異なるため,これらの鑑別は一般臨床においてきわめて重要である.われわれは,子宮体癌と卵巣癌の重複癌と診断し得た1例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.症例は40歳代,2経妊2経産の女性.不正性器出血を主訴に受診し,子宮内膜病理組織診断にて子宮体癌と診断した.子宮全摘術,両側付属器摘出術および骨盤内リンパ節郭清術を施行し,術後の病理学的検索により子宮体部と卵巣に高分化型類内膜腺癌を認めた.UlbrightらおよびReeらの診断基準に従い,子宮体癌と卵巣癌の重複癌であると診断した.いずれも初期癌であったため術後の追加治療は省略した.現在再発徴候はみられず経過良好である.重複癌と転移癌では治療法や予後が異なるため的確な診断が要求される.近年,重複癌の診断に分子生物学的解析を用いた報告がみられるようになってきた.今回の症例は初期癌であったため分子生物学的解析は行っていないが,今後重複癌の診断をより確実に行うためには必要となってくるであろうと考えられた.〔産婦の進歩59(1):1-5,2007(平成19年2月)〕
  • 原田 直哉, 春田 典子, 延原 一郎, 常見 泰平
    2007 年 59 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/31
    ジャーナル 認証あり
     非妊娠時における子宮捻転の報告はごくまれである.症例は83歳.腹痛および食欲不振を主訴に近医内科を受診し,巨大な石灰化をともなう腫瘤が下腹部にあると当院に紹介となった.子宮腟部は萎縮するも可視,骨盤腔より臍上にまでおよぶ可動性良好の腫瘤を認め,右側腹部に圧痛を認めた.筋性防御や反跳痛はなかった.MRI(T2強調矢状断)では子宮頸部は描出されているものの子宮体部が不明瞭で,悪性卵巣腫瘍を疑った.入院直後より発熱などの感染徴候を認め,入院後11日目に膿瘍形成も疑ったため緊急開腹術とした.明らかな感染巣を認めず,子宮漿膜下に筋腫を認め,子宮は子宮頸部の腟上部から子宮峡部周辺で子宮長軸を軸として反時計回りに540度捻転していた.両側付属器は著明な鬱血を認めるのみであった.子宮頸部や子宮傍組織が脆弱であったので,腟上部子宮摘出術および両側付属器切除術を行った.術後の経過は良好だった.疾患の認識があればMRIが術前診断に役立つ可能性があると考えられた.〔産婦の進歩59(1):6-9,2007(平成19年2月)〕
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第114回近畿産科婦人科学会内分泌・生殖研究部会記録
「子宮内膜症を取りまく諸問題-最新の考え方と治療動向-」
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