産婦人科の進歩
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60 巻, 3 号
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研究
症例報告
  • 岡澤 美佳, 松崎 慎哉, 光田 信明, 鹿戸 佳代子, 前田 真紀子, 大須賀 智子, 久松 武志, 岸本 朋也, 水島 恒和, 岩瀬 和 ...
    2008 年 60 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/27
    ジャーナル 認証あり
    症例は20歳代の女性.腹痛,腹部膨満感を主訴に当院産婦人科を受診.左右ともに10cmを超える両側卵巣腫瘍を認めた.Krukenberg腫瘍を疑い全身検索を行ったが卵巣以外に病変は認めなかった.腫瘍マーカーはSCCのみ3.1ng/mlと上昇を認めた.産婦人科にて子宮全摘・両側付属器摘出術,大網部分切除術を施行.病理組織検査では印環細胞癌で転移性卵巣腫瘍と診断された.術後,再度上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃体上部大弯後壁に径5mm大のIIc病変を認め,生検にて印環細胞癌と診断された.胃原発微小印環細胞癌の両側卵巣転移(StageIV)と診断し,化学療法を施行した.Krukenberg腫瘍が胃原発病変に先立ち発見されることはまれではない.しかし,自験例のような胃微小病変を原発とするKrukenberg腫瘍はきわめてまれであり,文献的考察を加えて報告する.〔産婦の進歩60(3):219-223,2008(平成20年8月)〕
  • 森崎秋乃 , 土屋 宏, 大嶋 一也
    2008 年 60 巻 3 号 p. 224-228
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/27
    ジャーナル 認証あり
    今回われわれは,子宮脱手術の2年後に腟断端からS状結腸脱出をきたした1例を経験したので報告する.症例は70歳代女性,2回経産婦.2年前に子宮脱および膀胱瘤に対して腟式子宮全摘術および前後腟壁形成術を施行,その1年後に直腸脱を発症して外科にて手術施行され,その際にenteroceleを指摘されていた.子宮脱手術から2年後,突然下腹痛と外陰部違和感を自覚し,半日ほど経過をみたが改善しないため当院救急受診された.腟からのS状結腸脱出を認め,同日緊急開腹手術(S状結腸還納+腟断端縫合)を施行した.術後経過は良好であった.経腟内臓脱出症はまれな病態ではあるが,今後高齢化や腹腔鏡下子宮全摘術の普及に伴い増加することが懸念される.子宮全摘術後で経腟内臓脱出症のリスクを有する症例には,腟断端縫合法の工夫や,術後の慎重なフォローが重要と考えられた.〔産婦の進歩60(3):224-228,2008(平成20年8月)〕
  • 林 美佳, 神田 隆善, 佐藤 直美, 岩井 恵美, 棟方 哲
    2008 年 60 巻 3 号 p. 229-234
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/27
    ジャーナル 認証あり
    成熟嚢胞性奇形腫は外胚葉,中胚葉,内胚葉の成分を有し,卵巣良性腫瘍のうちでもっとも一般的な疾患である.しかし,その1型である胎児型奇形腫は非常にまれな疾患であり,文献的にも本例を含め28例の報告しかない.われわれは成熟嚢胞性奇形腫の診断で手術を施行したが,手術後に胎児型奇形腫と診断された症例を経験したので報告する.症例は22歳の未妊婦で月経過少を主訴に外来を受診した.初診時超音波画像で径2.0cm大の卵巣腫瘍を認めた.成熟嚢胞性奇形腫と卵巣機能不全の診断で3ヵ月毎に経過観察およびホルモン療法を施行していた.4年間で腫瘍が径5.0cm大としだいに増大し,さらにその3ヵ月後径7.0cm大と急激に増大してきたため腹腔鏡手術を施行した.摘出標本は径5.0cm×7.0cm大の嚢胞性腫瘤で,内部に充実性部分を有していた.充実性部分は頭部,体幹,四肢様構造をもち胎児に類似していた.組織学的には脳,脊椎,皮膚,毛髪,歯牙,骨,気管,消化管さらに骨格筋などを認めた.胎児型奇形腫の診断で現在外来で経過観察中である.また胎児型奇形腫と類似した形態を示す封入奇形腫,卵巣妊娠との相違点,胎児型奇形腫の発生についても文献的考察を加えた.〔産婦の進歩60(3):229-234,2008(平成20年8月)〕
  • 高井 由紀, 辻 なつき, 錢 鴻武, 熊倉 英利香, 濱田 啓義, 榊原 敦子, 西岡 良泰, 松下 克子, 永野 忠義, 古山 将康, ...
    2008 年 60 巻 3 号 p. 235-238
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/27
    ジャーナル 認証あり
    機能性子宮を有する腟欠損症はきわめてまれな疾患である.今回われわれは機能性子宮を有し,子宮腟留血腫を認めた先天性下部腟欠損症の1例を経験したので報告する.症例は15歳,未妊女性で,周期的な下腹部痛および原発性無月経を主訴に近医を受診したところ,腟口閉鎖および下腹部腫瘤を認めたため精査目的にて当科紹介された.超音波断層法,MRIにて子宮腟留血腫を伴う下部腟欠損症と診断し,腟式血腫ドレナージおよび腟形成術を施行した.術後のMRIでは正常子宮を認めており,腟の再閉鎖も認められず,経過は良好である.〔産婦の進歩60(3):235-238,2008(平成20年8月)〕
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