農業施設
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  • 於保 拓高, 海老原 格, 若槻 尚斗, 水谷 孝一
    2023 年 54 巻 4 号 p. 88-100
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/11
    ジャーナル オープンアクセス
    コナジラミ類は,葉体背軸面に付着し,葉を脚部で加振することで,音あるいは振動が別の個体に伝わり,個体同士が音響交信(音響コミュニケーション)をする特徴的な生態があることが知られており,この音響交信が配偶行動において重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。本稿では,コナジラミ類が葉体で行う音響交信を観察するために,専用の狭間隔マイクロフォンアレイ(16ch-MA)を作製し,発音位置推定システムを構築した。発音位置の推定には,指標A(到来時間差)と指標B(到来音圧差)の2 種類を比較・検証した。本システムは,指標をヒートマップ化して,これを発音位置推定とした。その結果,コナジラミ類のいる位置と,ヒートマップが示す位置が概ね一致することが確認できた。コナジラミ1 頭が葉上にいる場合や,雄雌2 頭がつがい(ペアリング)になっている場合,雄雌2 頭が葉体の異なる位置にいる場合,などについても,発音位置が推定でき,音響交信と行動が生態モニタリング可能であった。また,10 頭放飼した場合にも,発音位置を推定できた。なお,葉体の種類によって,最適な指標が異なり,実験では,キュウリ葉には指標A(到来時間差)が適し,シソ葉(大葉)には指標B(到来音圧差)が適する傾向があった。
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