著者らは22種の哺乳動物の肝組織のLDHアイソザイムの分画像について報告して来たが,今回は新たに得られた哺乳動物12種の肝組織のLDHアイソザイムの分画像を補遺したい.
材料:スイロク,カモシカ,シロオリックス,ニルガイ,カーマハーテビースト,イノシシ,トナカイ,ヤクシカ,キリン,ロバ,マレーバク,ライオン,タヌキ,ホンドギツネ,リスザル,ニホンザル,ダマワラビイの各肝.
方法:前報と同様,水平式ポリアクリルアマイドゲル電気泳動法を用いた.
結果及び考察:ライオンの肝組織のLDHアイソザイム分画像はLDH-5が高く,前報の“Carnivora型”の分画像を示した.ロバ,マレーバクでもLDH-5が比較的高いが,これはウマと同じ“Perisodactyla型”と思われる.偶蹄類に属する動物の肝組織は,何れもLDH-1が高く,即ちA型優位のパターンを示した(“Artiodactyla型”).その中でも,シカの類はLDH-2が比較的高く,LDH-5又はLDH-4とLDH-5を欠く分画像を示し,分類学上のfamilyレベルでの特徴が,アイソザイムセも見られることを示唆した.ダマワラビイは有袋類に属する動物であるが,LDH-5が特に高く,LDH-1,LDH-2を欠き,Rodentiaにやや類似した分画像を示した.
抄録全体を表示