免疫学的手法を用いて,メラノーマ細胞におけるチロシナーゼ生合成部位を検索するため,チロシナーゼの精製を行った.細胞のcrude homogenateを78,000g1時間遠心し生じたペレットをトリプシン処理して得たcrude extractから塩析,Sephadex G-100,DEAE-Sephadexおよびcelluloseを用いて約800倍まで精製した.この結果,湿重量90gのメラノーマ細胞から約3mgの精製チロシナーゼを得た.精製標品はポリアクリルアミドゲル電気泳動で,ほぼ単一な蛋白質として染色された.
精製チロシナーゼを抗原としてウサギを免疫し,抗チロシナーゼ抗血清を得た.抗血清はオクタロニーによりチロシナーゼのみと反応した.
次にメラノーマ細胞から定法により,遊離型,膜付着型リボソームを調製した.リボソームのA
260/A
235は1.5~1.6であった.その後,抗チロシナーゼ抗血清を用い,直接法,間接法によりチロシナーゼ合成リボソームを特異的に沈降させた.さらにリボソーム,ATP,GTP,エネルギー再生系,ラット肝臓cell sapからなるcell free系でチロシナーゼの生合成を観察した.その結果,チロシナーゼは90%以上膜分画に存在するにもかかわらず,遊離型,膜付着型リボソームで同程度生合成されていることが観察された.
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