潰瘍性大腸炎患者42例の血清LDHアイザイムを,セルロース・アセテート膜で分析し,LDH anomalyを認めた4例について,LDH結合イムノグロブリン(Ig)の検索を行なった.4例のセ・ア膜上でのアイソザイム像にはいずれも,分画の易動度の変化,テーリングが見られ,通常のLDH4と5の間に,過剰バンドが出現していた.また,これらの血清をSephadex G-200を用い,pH7.2 phosphate bufferでゲル濾過したところ,4例ともG分画に高分子なLDH活性が確認された.また,4例中3例では,正常分子サイズLDHもG-A分画に認められた.
結合Igの検索には,酵素免疫電気泳動法,immunodiffusion法を用いたが,4例中2例しか同定できなかった.そこで,被検血清と抗血清を混合し,得られた免疫沈降物中のLDH活性を直接測定する混合法を用いることで,全例の結合Igが同定しえた.すなわち,4例中1例がIgG-kappa,他3例がIgG-lambdaであり,IgG-lambdaへの偏位が観察された.この偏位は,すでに報告されている潰瘍性大腸炎におけるALP結合IgG-lambdaと一致し,LDH結合Igの同疾患に特異な偏位と考えられた.このように,今回の検索により,潰瘍性大腸炎とLDH結合Igの関連性が示唆されたことは大変興味深い.
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