I.ビタミンD
2負荷と高肪脂食飼育によってラットに実験的に動脈硬化を発症させる際の,血中コレステロール値の変動について検討し,以下の成績を得た.
1.血清コレステロール量は実験食で最初著しい増加をみせた後,plateauに達した.
2.HDL-コレステロールの絶対量は,2週のみ,両実験食群で低下した他,対照群より増加をみせた.しかし総コレステロール量に対するHDL-コレステロール量の割合は,低下していた.
3.α-リポ蛋白脂質の百分比はHDL-コレステロール量とパラレルな推移を示しながら低下していた.
4.VLDL+LDL濃度は,血清コレステロール量と全く同じ推移をみせ,pre β+β-リポ蛋白脂質%も同様に増加していた.
II.同条件下での肝コレステロール代謝について検討し,以下の成績を得た.
1.肝コレステロールは対照ラットのそれに比べて実験群では著しく増加をつづけ,10週目に18~20倍にも達した.
2.実験ラットにおける
14C-酢酸の肝コレステロールへの取り込みは,in vivoでもin vitroでも著しく低下しており,feed back阻害が観察された.
III.同時に実施した血管壁の病理組織学的検索によれば,第2週目付近で動脈硬化につながる病変が起こり始め,10週まで持続したが,病変のみられない例もあり,生化学的データとの間に特に密接な関連は認められなかった.
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